2012年3月18日日曜日

規格外のポンカンで加工品を作りたい

これは、1月のポンカン園の様子である。たくさんのポンカンが落ちているが、これは、自然に落ちたものではない。商品にならない果実を、全て落としてしまった場面なのである。もちろん、普通はこんなに廃棄しないのだが、このポンカン園は生産を停止する予定であったために手入れを簡略化しており、廃棄が大量に生じたのだ。栽培を辞める予定だったところなので、私のような素人に貸してくれたわけである。

というわけで、今年は普通より相当多い量のポンカンが廃棄されたが、一般的に、一次産業の食品廃棄はかなり多い(と思う)。食品の廃棄というと、コンビニなど小売りでの廃棄が問題視されがちであるが、実際は消費者の手元に至るまでの様々な段階で廃棄は生じているのであり、目につく小売りでの廃棄のみを悪者視するのはおかしい。

農業において、生産物の廃棄が生じる原因は主に2つある。

第1に、豊作すぎて農産物の価格が暴落し、出荷するコストより生産物の価格が安くなってしまう場合。これは、ある意味ではやむを得ない。生鮮食料品は保存しにくく、消費量には限界があるため、消費量以上に収穫された農産物は、たとえ現場で廃棄しなかったとしても、どの道どこかで処分せざるをえないからだ。

第2に、収穫物が規格外のものだった場合。流通をスムーズにするためには、生産物の規格化は必須であるが、規格化によって、必然的に「規格外商品」が生じる。曲がったキュウリ、二股になった大根などだ。見た目だけでなく、味でも規格外は生じる。果実で糖度が足りない場合などがそれに当たる。

第1の場合は仕方ないとして、第2の場合ができるだけないように生産者は努力しなければならない。私も、今年はできるだけポンカンの廃棄がないように努力していきたいと思う。しかし、第2の場合は流通の問題でもあるので、ぜひ流通側においてもロスが少なくなるように工夫してもらいたいと思うところである。

また、規格外を減らすといっても、自然のものだから一定の割合でどうしても規格外になってしまう。それを廃棄せずに生かすためには、加工品を生産するのが一般的だ。加工品なら、原材料の見た目が悪くてもあまり関係ない。だから、果実では規格外のものはよくジュースやジャムの原料になる。

現在、大浦町でのポンカンの加工品に、これと言って目立ったものはない。もちろんないわけではないけれども、際だった商品はないと言わざるを得ない。ポンカンは加工に向いていると言われており、各地でもいろいろな商品化がなされているが、特に人気商品となっているような有名な商品はないようだ。

もしかしたら、「果物はそのまま食べてもらうのが一番で、加工品は余り物を処分するための次善の策」という考えがどこかにあって、果物の加工食品作りが盛んにならなかったのかもしれない。しかし、鹿児島のような大消費地から離れたところにある生産地では、食品を加工し、重量や嵩を減らしてから輸送することは、規格外生産物の有無にかかわらず重要なことである。

私は自分で生産することだけでなく、今ある資源をどう生かしていくか、ということに強い興味がある。だから、来年は収穫されたポンカンを使って、何か加工食品を作ってみたい。もちろん、すぐに商品化云々というわけではないけれども、ポンカンのうまい加工法を探りたいと思う。

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