2012年3月12日月曜日

電機メーカーは素敵なデザインの電力量計を作るべき

移住にあたって、曾祖父が建てた築約百年の古民家をちょっと改装したのだが、電気については、もともと10アンペアしか来ていなかったし、中の配電も相当古くなっていたので全部取り替えた。

当然、電力量計(いわゆる「電気メーター」)も取り替えたのだが、ほとんど取り替えたのがわからないくらい、オールドファッションなものがついている。

どうして、電力量計というのは、数十年前から形が変わっていないのだろう。この数十年間、電力量計にほとんど何のイノベーションも起こっていないというのはかなり不思議である。

もちろん、業務用のものには、時間あたりの最大電力を記録するというようなデジタル式のものがあり、また小型のものもあるらしいが、家庭用はほとんどこの昔ながらのアナログ式電力量計である。大きいし、不格好だし、見た目がよろしくない。

このようなレトロなものが生き残っている最大の理由は、価格だという。デジタル式のものは基盤の寿命が短いため、数十年はもたない。一方で、アナログ式のものはもとが安い上に部品を交換して数十年使える。さらに、アナログ式は不正がしにくく、精度もいいという。

しかし、電力量計の進歩が遅々として進まない最大の原因は、電力量計の製造が規制産業であることにあると思う。電力量計は法律に基づいて正しい計測を行うため、日本電気計器検定所という特別な法人による認可が必要である。この法人は以前は特殊法人だったが、今は「特別民間法人」となっている。これは、法律に基づく民間の法人で、民だか官だかよくわからない曖昧な存在だ。

業界と経産省との癒着がどうだとかいうつもりはないが、少なくとも、規制する方にイノベーションがないので製品にもイノベーションが起こらず、さらに参入障壁が高かったことが製品の進歩を阻害したのだと思う。

しかし、電力量計に技術的なイノベーションが起こらなかったことは、あまり気にならない。電力を正確に計測できれば、多少オールドファッションでもいいと思う。むしろ、デザイン的に進歩しなかったことが残念だ。外からよく見えるところに設置するものだし、大きいし、できれば見た目のよいものの方がいいというのが人情だ。にも関わらず、灰色以外の筐体の電力量計は見たことがないし、形も数十年間変わっていないにしては全く洗練されていない。

いつも目にするものだから、電機メーカーは素敵なデザインの電力量計を作るべきだと思う。例えば、日本家屋、特に古民家の雰囲気に合うものを作って欲しいし、逆に欧風のものがあってもよい。国全体の、こういう何気ないところに美しいデザインが見られるかどうかで、文化や生活の程度が推し量れるのではないだろうか。

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