2017年2月11日土曜日

「クラウドファンディング」の想い出


またまたクラウドファンディングの話。

発端は何だったかというと、私が主催する「海の見える美術館で珈琲を飲む会」の問い合わせメールだった。「今年はいつ開催するんですか?」という面識のない方からの問い合わせ。

その問い合わせには普通に返答したのだが、その方はクラシックのギタリストだという。前回の「海の見える美術館で珈琲を飲む会」はギターの即興演奏をメインイベントに据えたので、ギタリストからの問い合わせがあるなんて面白いなあ、なんて思っていたところ、暫くしてからまたその方からのメールが。

初めてのブラジル音楽のCDをリリースするにあたり、資金をクラウドファンディングで集めているので、よかったら協力して欲しいという。
このような形でCDを製作することを、皆さんどう思われるかな・・・ととても勇気が要りましたが、何かを実現するために恥も外聞もないと思いました。
と書いてある。直接会ったこともない人に、自分のためにお金を出してくださいなんてなかなか言えないことだ。いや、友人にだって言いづらい。そういうメールが来たのも何かの縁である。さっそくYoutubeにアップされたサンプル音源を聴いてみた(冒頭のYoutube動画)。

……これは、すばらしい! 私の好きな、ノリノリではなく哀愁の深い、陰影のあるブラジル音楽ではないか! ブラジル音楽には別に詳しくないので、ブラジル音楽としてどういうレベルにあるのか、なんて私には皆目判断ができないが、他の曲も聴きたくなる、そんな演奏である。

このギタリスト、竹之内美穂さんという。

【参考】竹之内美穂ホームページ
【参考】ギタリスト竹之内美穂日記。

竹之内さんは鹿児島市出身で、今も鹿児島を拠点に活動しているクラシックギタリスト。私もWEBサイトを見て知ったので、下手な紹介はしない。詳しくは上のWEBサイトをご覧ありたい。

それで、早速小額ではあるが3500円分支援をした(この支援を「パトロン」という)。

この前のテンダーさんのクラウドファンディングに続いての支援に、「この人いつもは貧乏自慢してるくせに、本当は金持ってんじゃないの?」と思うかもしれないが、誤解しないでほしい。私の年収は100万円ちょっとしかない! 本当にドビンボーである。国民年金すら支払い猶予してもらってる有様である。

そんな私がどうして(たぶん自分よりは余裕のある人に対して!)パトロンになっているかというと、これは10年前の経験が元になっている。

私は、もう随分長くHEATWAVEというバンドのファンなのだが、2005年くらいにこのバンドはレコード会社を離れて自分たちで新しいアルバムを作ろうとしていた。それで製作資金を捻出するためファンにカンパを呼びかけたのである。1口3000円。要するに事前にアルバムを買って下さいみたいなお願いだったように記憶する。「クラウドファンディング」という言葉もまだなかったころである。支払い方法もちょっとめんどくさかったような気がする(でも郵便振替とかではなかったような…)。これは、今だったら「クラウドファンディング」だろう。

私は、このバンドのCDはだいたい買っていたから、たぶん新しいCDも出来たら買うはずだった。だからカンパに協力するのはやぶさかではなかったのである。が、「まあコアなファンも多いバンドだし、別に私がしなくてもCDは出来るだろ」と思っていた。

2006年になってめでたくCDはリリースされた。やっぱりすぐに買った。「land of music」というアルバムだ。そして、ライナーノーツの後ろのページには、このCDへのカンパに協力してくれた大勢のファンの名前が全て、めちゃくちゃ小さい文字で印字されていた。当然、そこに私の名前はなかった。CDはリリースできたのだから、「別に私がしなくてもCDは出来るだろ」という私の見込みは正しかったし、そこに自分の名前がなくて残念という気もそれほどしなかった。

だが私は理解したのである。そこに並んだ、めちゃくちゃ小さな字で名前が書かれた人たちと、自分の間の懸隔に。商品が出来てからお金を出すのと、まだ何も出来ていない頃にお金を出すのは、同じお金でも違う意味があると。

大げさに言えば、新しいアルバムのためのカンパに協力した人たちは「創造的行為」をしていた。少なくとも、クリエイションに参与していた。CDを買っただけの私は、それをただ消費しているだけだった。まだ見ぬものに金を払うのは、もしかしたら無駄になるかもしれないが、ただ消費者であるだけの存在から抜け出す行為でもあったのである。

その時である。これから、誰かが何かをしようとしているとき、カンパしていたら積極的に協力してあげようと思ったのは。譬え自分が貧乏であったとしてもだ。

しばらくそういう機会は訪れなかったが、最近はクラウドファンディングがだいぶ普及してきたから、やろうと思えばいくらでもパトロンになれる。もちろん貧乏だから、そういうのにドンドン金を出していこうなんてとても出来ないが、縁があるものには、僅かずつでも協力していきたい。

先日紹介したテンダーさんのクラウドファンディングもまだまだパトロン募集中である。募集期間が終了間際まできているが、まだ半分もお金が集まっていないようで心配だ。ぜひ成功させて欲しい。
↓支援はこちらから。
鹿児島の廃校に、家も作れる日本最大のファブラボ「ダイナミックラボ」を作る!(Campfire)

というわけで、クラシックギタリストの竹之内さんの新しい一歩も、成功することを祈っています。
↓支援はこちらから。
実力派クラシックギタリストが変貌!耳欲をそそるブラジル音楽CDをリリースします。

2017年2月2日木曜日

【急告】大坂小跡を日本最大のファブラボにする大プロジェクトがカンパ中!

南さつま市金峰町の大坂(だいざか)で、電気水道ガスを契約しない(ある意味)最先端の暮らし、を送っている友人テンダーさんが、どえらいプロジェクトを立ち上げた。

廃校になった大坂小学校の校舎をまるまる借り切って、これを「ファブラボ」にしてしまおうという壮大な構想である。

「ファブラボ」というのは、ものすごく簡単に言うと「みんなが使える工作室」のことだ。大坂小学校を巨大な工作室に見立てて、ここをみんなでいろいろ作れる場所にしてしまおうというワケである。売り文句は「家も作れる日本最大のファブラボ」! 

ここだけの話、実は私も大浦町にファブラボを作ったら面白いんじゃないかと以前思ったことがある。というのは、ちょっとした工作をしてみるとすぐに分かるが、何か作ろうと思ったらまず重要なのは道具である。そして、その道具を揃えるのにはけっこうお金がかかる。毎度使う道具だったら買いそろえるのもやぶさかではないが、1年に1度くらいしか使わない径のスパナなんかを揃えておくのは(お金と)勇気がいる。でもそういうのを、何人かで共同購入すれば負担も少ないし、無駄も省ける。農業をやっているとちょっとした工作機械が必要になることが多いから、農家の多い大浦では「農家用の」ファブラボがあったら面白いんじゃないかと思ったのだ。

その考えは、結局実現しようという具体的な動きまでには至らなかったが、その考えを何倍も大きく深くした構想を、このたびテンダーさんがぶち上げてくれた。

具体的にどんな施設にしたいのか、というのはテンダーさん自身の書いている説明を読んで頂くとして、これは単なるDIYセンターじゃないというのは強調しておきたい。DIYというより、物事をイチから作り出すことを通じて、社会の仕組みまで見直してみよう、いっそのこと、新しい社会の仕組みまでここからつくってみよう! みたいなところまで到達するのが目標(なんじゃないかと私は思っている)だ。

私は、そこまで大それたことまでには考えが及ばないごく普通の人間だが、そんな私でも期待していることは、こういう施設があることで、自分の手で新たな価値を作り出す人たちが南さつまに集まってくるんじゃないか、ということ!

今の南さつま市民が「自分の手で新たな価値を作り出す人」じゃないかというとそんなことはない。農業をしていたら「日々之DIY」みたいなもので、コンクリも打てば溶接もする、水道工事もしちゃうという人は稀ではない。 でもそれに、もっと違う観点や技術や生き方を身につけている人が加わったら、もっと面白いものが生みだされるんではなかろうか。いや、絶対そうなるはずだ。そう考えただけでワクワクものである。

この舞台となる大坂、というところを知らない人のために付け加えておくと、霊峰・金峰山の裾野にあたる地区で、南さつま市の中では端っこの辺鄙な山の中だが、鹿児島市には一番近い地区である。ここに日本最大級のファブラボが実現したら、南さつま市のみならず鹿児島市の人たちにもかなり利用してもらえることは間違いない。

で、この壮大な構想に必要な資金であるが、現在テンダーさんが「クラウドファンディング」を展開しているところである。「クラウドファンディング」とは要するにインターネットを通じたカンパのこと。このカンパの〆切が2月27日目標金額は250万円! このどえらいプロジェクトにかかる金額としては破格に安いが、これでも南さつま市始まって以来の巨大クラウドファンディング案件であろう。

というわけで、私も早速このカンパに協力した(「パトロンになる」というらしい。)ところである。テンダーさんは私よりもずっと人脈も知名度もあるので、ここで私がお知らせしてもあまり意味はなさそうだが、今のペースではカンパが集まっても目標達成が難しそうという感じがするので、これをお読みのみなさん、ぜひ彼にご協力をよろしくお願いいたします! ちなみに私は2万円しました!

↓クラウドファンディングへのご協力はこちらから(3000円〜です)
鹿児島の廃校に、家も作れる日本最大のファブラボ「ダイナミックラボ」を作る!(Campfire)
※カンパのお礼としていろんなメニューが準備されているのでそれにも注目。