先日「ポンカンの収穫をぼちぼちしている」と書いたけれど、実は周りの農家には、もう全て実を収穫してしまっている人も多い。というのも、ポンカンは基本的に御歳暮贈答用の果実であるため、年内に出荷した方が単価が高いからである。
しかし、ポンカンの旬が12月かというと、そうでもない。味が乗って美味しい時期というのは、1月下旬から2月ということになると思う。素朴にはこの時期がポンカンの旬であって、この時期に出荷すればいいと思われるが、実際はこの時期のポンカンは二束三文である。
美味しいポンカンが二束三文で、やや早採りの年内収穫のポンカンが高いというのはなんだかおかしい気がするが、「ポンカンを御歳暮に贈りたい」という消費者のニーズに応えた結果ともいえる。また、2月になるとタンカンを始めとして甘味の強い他の中晩柑類(ミカン以外のカンキツ)が出荷されはじめるため、ポンカンの相対的な価値が下落するという事情もある。
よって、美味しい時期のポンカンが二束三文であることは、別に誰が悪いというわけでもない。だが、農家はできるだけ価格が高い時期に出荷しようとするため、結果として、ポンカンは本当の旬ではない時期に大量に流通することになる。こうなると、普通にポンカンを購入する人はその本当の味を知らない、ということになってしまう。
もちろん、その問題は生産者もよくわかっているのだが、これまでの流通や販路が年内の贈答用出荷を最優先として構築されてきたため、2月にポンカンを売ろうとしても大口の販路がないのである。さらには、早採りした方が樹への負担が少なく、生産が安定するという植物側の事情もある。
しかしながら、ポンカンのような果物は嗜好品である以上、美味しくなければいつか見捨てられてしまう。ポンカンを贈答用に購入する消費者も高齢の方が多いと聞くし、このままだと消費が先細りになると思われる。
現在、カンキツの品種は百花繚乱の観があり、今さらポンカンというのも古くさいが、かつて「東洋のベストオレンジ」と呼ばれたポンカンの魅力は、上述のような事情で市場的には十分に発揮されていない。一番美味しい時期に出荷することが合理的になるように、仕組みを工夫してみたい。
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