2013年1月10日木曜日

遺品整理は(面倒だけどやり始めると)面白い

昨年末、大掃除で少しだけ遺品整理をした。なかなか面倒な作業だったが、面白かったこともある。

うちは築約百年の古民家であるが、基本的には遺品の類はかなり処分されている。例えば古い家具とか衣類などは残っていない。が、仏壇周りだけは手つかずの状態で残っていて、収納スペースがもったいないので少し整理してみることにした。

内容は、本、写真(アルバム)、思い出の品(?)、という感じだが、今回手をつけたのは本である。残された本を見るだけでも、そこにあった人生を垣間見るようで面白い。本というものは、何か新しいことに取り組む時に参照することが多いから、ここに暮らしていた人がどういう希望をもって、何に挑戦していたか感じられるようである。

農村なので農業関係の本が多いのは当然として、栽培技術的なものではなく、例えば岩波書店の『村の図書室』シリーズなど、新しい農村を作っていこうとしていた当時の気運も感じられて面白い。この『村の図書室』は岩波書店が(かつて本を読まないと思われていた)農村の人々を啓蒙するため「農村青年」に向けて作った双書で、今で言う農文協の本みたいな存在のシリーズである。それから農村婦人活動に関する本も多い。どういう活動をしていたのだろうか。

だが、もっとも面白いものは、実はローカルな冊子だ。例えば、小学校の文集『大浦の子』、旧大浦町時代の広報誌といったものである。その中でも白眉は久保青年団発行の小冊子(文集みたいなもの)で、昔の青年団はこんなことまでやっていたのかと驚かされた。これらについては、いずれ内容を詳細に検証してみたいと思う。

それにしても、遺品整理というのはかなり大変な作業である。基本的には不要品なので本などもほぼ全部捨てることにしたが、それでも本の間に写真が挟まっていたりして油断がならない。けっこうな作業量なので委託は新しいビジネスになるのではと思ったが、調べてみると既にいろいろな業者がある。なんと遺品整理士という資格まで存在していた。その仕事内容は、遺品整理というより清掃や不要品処分が中心だが、これから団塊世代が老後を迎えるので今後成長していく産業だろう。

ところで、家具の処分などは委託できるが、(ローカルな)本や写真についてはどのように整理するのだろうか。遺族にとってはいらないものでも、貴重な歴史の証言者である場合もあるし、そこが遺品整理で一番面白いところなので、安易に処分しないようなやり方で処理してもらいたいものだ。何十年か経つと、民俗学の資料としてとても貴重になると思うので。

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