資源ゴミ回収のたびに思うことがある。
南さつま市の資源ゴミ回収日は月1回。公民館に集まって、集落で協力してゴミを集める。
一ヶ月に1回しかないからかなりの量になるが、中でも分量が多いのがプラスチックゴミ、それからペットボトルと缶——つまり飲み物に付随するゴミだ。
だから思うのである。「私たちはこれだけの飲み物を、地域外からわざわざ買ってるんだよなあ」 と。
鹿児島は、地産地消の観点からみたらかなり恵まれた土地だ。食糧自給率は200%以上ある。肉や魚はほとんど地元で生産されたものばかり。野菜も夏の暑い時期を除いてほとんどは地元産である。
私自身は、農家として「地元で消費しないで大都市圏で高く売って欲しい」と思うこともあるが、わざわざ他所から買ってきて消費するよりは地元にあるものを消費した方が安上がりなだけでなく、資金の流出を防げるのだから合理的である。鹿児島県はただでさえ所得の低い土地柄なので、食べものに貴重な「外貨」を使ってはもったいない。
しかし、飲み物はどうか。鹿児島は焼酎と茶という非常に地産地消的な飲み物があるので、他の地域よりは飲み物も地産地消している割合は高いかもしれない。でも資源ゴミとして回収するペットボトルや缶を見ていると、ほとんどは地域外で生産された、大手飲料メーカーが作ったものばかりだ。
コーラやスポーツドリンク、缶コーヒー、ペットボトルのお茶、そしてもちろんビールや発泡酒、チューハイなどのお酒類。どれもこれも、大手飲料メーカーが作ったものばかりである。こうしたものは「規模の経済」(たくさん作れば作るほど安くつくれて儲かる)がきくので、肉や野菜のような食品よりもずっと大企業に支配されがちである。
もちろん、だからといって「われわれのお金が飲み物を通じて大企業に吸い上げられていく!」と憤る必要はない。なぜなら、こうした飲み物の売価のかなりの部分は流通コストだから、地元のトラック運転手なんかの雇用を生んでいるのである。それに仮にローカルな企業の製品しかなければ、それは割高なものになる可能性が高い。
しかし、地産地消が盛んな鹿児島県なのだから、「飲み物の地産地消」だってもっと進めても良い。大企業の製品を買う代わりに地元産のものを買えば、そのお金は地域内で循環できるのだ。
ところで、「南薩の田舎暮らし」では、このたび「南高梅とりんご酢のシロップ」をインターネットで発売開始した。炭酸や水で5倍〜6倍に割って飲む「ドリンクのもと」である。既に数年販売している「ジンジャーエールシロップ」の姉妹商品だ。
南高梅は同じ集落出身の梅農家から仕入れたもので、夏の暑いときに水で割って飲むとなんとも爽やかで美味しい飲み物になる。ちなみにインターネットでの販売は今年からだが、製品自体は2年くらい前から製造している(地元のみで販売)。
こんな小さな小さな商品で「飲み物の地産地消」を進めたいなんて大それたことは言えないが、私はもうちょっとこういうドリンク系の商品を増やしていけたらなあと思っている。そんなわけで、よろしくお願いいたします!
↓ご購入はこちらから。
【南薩の田舎暮らし】南高梅とりんご酢のシロップ
200ml入りで850円(税込み)です。
2019年6月18日火曜日
2016年8月6日土曜日
「無農薬・無化学肥料のお米」販売中
8月6日、「南薩の田舎暮らし」で販売している「無農薬・無化学肥料のお米」の稲刈りだった。
と、いっても、自分がやるわけではなくて刈り取り委託している(他にもたくさんのことにお世話になっている)狩集農園さんが稲刈りをしてくれた。
ちなみに、お米の収穫は秋じゃないの? と思うかもしれないが、こちら南薩では早期米といって夏に収穫するお米を作っているので、一番暑い時期に稲刈りなのだ。
で、今年は豊作かと踏んでいたのだが、実際は小米が多かったり、そもそも見た目ほど米が実っていなかったりということで、不作な感じである。いや、過去最高に不作だった昨年に続く不作みたいである…!
どのくらい不作かというと、5反(50a)作っているのに、モミ換算で60俵しか穫れなかった。この面積であれば普通だったら100俵くらい穫れる。つまり今年は普通の6割くらいの収穫しかなかった。
もちろん、私は無農薬・無化学肥料で作っているので「普通」ではない。「無化学肥料」だけでなくて、肥料自体をほとんどいれていないので、「普通」に穫れたらそっちの方がおかしい。でも経験上、お米の場合は無肥料にしても普通の8割くらいは穫れるように思う。
今年は、さほど天候も悪くなく、さして不作になる要素もなかったのに、なんだか不思議だ。むしろ豊作なくらいかと思っていた。こんなに不作というのはやっぱりジャンボタニシの被害が大きかったんだろうか。来年はまた工夫しないと。
というわけで、無農薬・無化学肥料なのにも関わらずお求めやすい価格で販売しておりますので、このお米を通じて、今年もまたよいご縁をいただけますことをお待ちしております!
↓ご注文はこちらから
【南薩の田舎暮らし】無農薬・無化学肥料のお米(5kg/10kg)
(5kg:2300円、10kg:4500円、+送料)
※ご注文の受付期間は8月末までを予定しています。
と、いっても、自分がやるわけではなくて刈り取り委託している(他にもたくさんのことにお世話になっている)狩集農園さんが稲刈りをしてくれた。
ちなみに、お米の収穫は秋じゃないの? と思うかもしれないが、こちら南薩では早期米といって夏に収穫するお米を作っているので、一番暑い時期に稲刈りなのだ。
で、今年は豊作かと踏んでいたのだが、実際は小米が多かったり、そもそも見た目ほど米が実っていなかったりということで、不作な感じである。いや、過去最高に不作だった昨年に続く不作みたいである…!
どのくらい不作かというと、5反(50a)作っているのに、モミ換算で60俵しか穫れなかった。この面積であれば普通だったら100俵くらい穫れる。つまり今年は普通の6割くらいの収穫しかなかった。
もちろん、私は無農薬・無化学肥料で作っているので「普通」ではない。「無化学肥料」だけでなくて、肥料自体をほとんどいれていないので、「普通」に穫れたらそっちの方がおかしい。でも経験上、お米の場合は無肥料にしても普通の8割くらいは穫れるように思う。
今年は、さほど天候も悪くなく、さして不作になる要素もなかったのに、なんだか不思議だ。むしろ豊作なくらいかと思っていた。こんなに不作というのはやっぱりジャンボタニシの被害が大きかったんだろうか。来年はまた工夫しないと。
というわけで、無農薬・無化学肥料なのにも関わらずお求めやすい価格で販売しておりますので、このお米を通じて、今年もまたよいご縁をいただけますことをお待ちしております!
↓ご注文はこちらから
【南薩の田舎暮らし】無農薬・無化学肥料のお米(5kg/10kg)
(5kg:2300円、10kg:4500円、+送料)
※ご注文の受付期間は8月末までを予定しています。
2015年8月18日火曜日
決められた「お米の食品表示のラベル」
今年から「南薩の田舎暮らし」ではお米を販売した。それで、初めてお米の食品表示のラベルを作ったわけである。
このラベル、小売りされているお米のパッケージには必ず付いている。実はかなり細かいところまで書くことが決められていて、その大きさまで(文字の大きさまで!)含めてどこもほとんど同じである。
実は、「決められている」といっても農水省の告示「玄米及び精米品質表示基準」というやつに書いてあるだけなので、(虚偽を書いてはいけないが)これに違反しても特に罰則があるわけでもない(行政指導を受けるくらいだと思う※)。
こういう、法的拘束力がほとんどない「告示」にほとんどの業者が従っているというのは良くも悪くもすごいことだ。「告示」のように、行政的には軽微な、つまり役人のさじ加減次第でどうにでもなるような規則が社会の様々な面で大きな影響力を持っているのはあまりよいことではないが、そう思っている私自身もこれに従っているのだから人を笑えない。
このラベルにはもう一つ笑えないことがある。それは「原料玄米」の項目が「未検査米」となっていることだ。普通の人は、これではなんのことか分からない。
「玄米及び精米品質表示基準」では、この「原料玄米」の項目は「登録検査機関」による証明事項を記載することになっており、その検査を受けていない場合は「未検査米」として表示しなければならない。つまり、品種どころか産年(2015年産とか)すら表示できないのである。
ちなみに、このラベルには(告示に従って!)記載していないが、このお米は当然2015年産の新米であり、品種はコシヒカリである。「登録検査機関」に検査してもらわないとそれは書けないのである。
では「登録検査機関」とは何かというと、農産物検査法に規定するもので、農水省の指定を受けた機関である。具体的にはJAとか小売業者とかが指定を受けているが、うちの地域の近場でいうとJAがそれにあたる。だから収穫したお米をJAに持っていき、検査を受ければ「2015年産のコシヒカリ」という表示をすることができる。でも僅かとは言え検査料も取られるし、何より(こういう言い方をすると傲慢だが)私よりJAを信じる、という人が私のお客さんにはいないと思うので検査はしなかった。新米だと私が言ってるんだから信じて欲しい。
それにしても、どうしてこう穀物類は規制と管理ばかりなのか。上記の基準の他に「米トレーサビリティ法」というのもあって、取引の際に産地や品種などの情報を引き継いで行かなくてはならないとか、いろいろある。補助金との関係があるにしても過剰な管理がなされているように感じる。
ちなみに「米トレーサビリティ法」は、数年前に食用でない米を食用に転用していた悪い業者がいて、そのせいで出来た法律だが、そもそも規制と管理は多いのに、人々の善意に頼るばかりで実質的な拘束力を持たないことが事件の背景にあったと思う。
農業関係ばかりでなく、こういうことが日本の規則体系には多い。事細かにいろいろ決められている割には、それを破るのは簡単である。つまり、善意の人はちゃんとその煩瑣な規則に従うが、悪意ある人にはそれをやすやすと無視しうる。それで、正直者は馬鹿を見る、みたいな規則がたくさんある。米の食品表示にしても、安い米を仕入れてきて「魚沼産コシヒカリ」と詐称して売るのは簡単であって、登録検査機関による証明とか、そういうことは生産者や業者の善意に任されているのだ。
一方で、物事は善意に任すべきだ、というのが私の考えである。性悪説に立った規制でがんじがらめになるのはまっぴらゴメンである。でもどうせ善意に任すなら、最初から規制なんかない方がいい。悪意ある人を排除できないような規制なら、ある意味がない。
結局、安い米を仕入れてきて「魚沼産コシヒカリ」として売る人を排除するのは規制の力でなくて消費者の選択であるべきだ。ウソで成り立たせる商売は、長期的にはペイしないと信じるしかない。「消費者に味などわからない、彼らは情報(ラベルや評判や格付け!)を消費しているんだ!」と訳知り顔に言う人もいるが、そんなことはないと思う。意外と消費者は騙せない。
だから、消費者が騙されないように煩瑣な規則を作るよりも消費者の力量を信じた方がよいと思うし、仮に消費者保護を厚くするにしても、善意の人に守ってもらうような規則ではなく、悪人を厳罰に処する規則にすべきだと思う。
※ ちなみに虚偽を書いたら1年以下の懲役又は100万円以下の罰金。
このラベル、小売りされているお米のパッケージには必ず付いている。実はかなり細かいところまで書くことが決められていて、その大きさまで(文字の大きさまで!)含めてどこもほとんど同じである。
実は、「決められている」といっても農水省の告示「玄米及び精米品質表示基準」というやつに書いてあるだけなので、(虚偽を書いてはいけないが)これに違反しても特に罰則があるわけでもない(行政指導を受けるくらいだと思う※)。
こういう、法的拘束力がほとんどない「告示」にほとんどの業者が従っているというのは良くも悪くもすごいことだ。「告示」のように、行政的には軽微な、つまり役人のさじ加減次第でどうにでもなるような規則が社会の様々な面で大きな影響力を持っているのはあまりよいことではないが、そう思っている私自身もこれに従っているのだから人を笑えない。
このラベルにはもう一つ笑えないことがある。それは「原料玄米」の項目が「未検査米」となっていることだ。普通の人は、これではなんのことか分からない。
「玄米及び精米品質表示基準」では、この「原料玄米」の項目は「登録検査機関」による証明事項を記載することになっており、その検査を受けていない場合は「未検査米」として表示しなければならない。つまり、品種どころか産年(2015年産とか)すら表示できないのである。
ちなみに、このラベルには(告示に従って!)記載していないが、このお米は当然2015年産の新米であり、品種はコシヒカリである。「登録検査機関」に検査してもらわないとそれは書けないのである。
では「登録検査機関」とは何かというと、農産物検査法に規定するもので、農水省の指定を受けた機関である。具体的にはJAとか小売業者とかが指定を受けているが、うちの地域の近場でいうとJAがそれにあたる。だから収穫したお米をJAに持っていき、検査を受ければ「2015年産のコシヒカリ」という表示をすることができる。でも僅かとは言え検査料も取られるし、何より(こういう言い方をすると傲慢だが)私よりJAを信じる、という人が私のお客さんにはいないと思うので検査はしなかった。新米だと私が言ってるんだから信じて欲しい。
それにしても、どうしてこう穀物類は規制と管理ばかりなのか。上記の基準の他に「米トレーサビリティ法」というのもあって、取引の際に産地や品種などの情報を引き継いで行かなくてはならないとか、いろいろある。補助金との関係があるにしても過剰な管理がなされているように感じる。
ちなみに「米トレーサビリティ法」は、数年前に食用でない米を食用に転用していた悪い業者がいて、そのせいで出来た法律だが、そもそも規制と管理は多いのに、人々の善意に頼るばかりで実質的な拘束力を持たないことが事件の背景にあったと思う。
農業関係ばかりでなく、こういうことが日本の規則体系には多い。事細かにいろいろ決められている割には、それを破るのは簡単である。つまり、善意の人はちゃんとその煩瑣な規則に従うが、悪意ある人にはそれをやすやすと無視しうる。それで、正直者は馬鹿を見る、みたいな規則がたくさんある。米の食品表示にしても、安い米を仕入れてきて「魚沼産コシヒカリ」と詐称して売るのは簡単であって、登録検査機関による証明とか、そういうことは生産者や業者の善意に任されているのだ。
一方で、物事は善意に任すべきだ、というのが私の考えである。性悪説に立った規制でがんじがらめになるのはまっぴらゴメンである。でもどうせ善意に任すなら、最初から規制なんかない方がいい。悪意ある人を排除できないような規制なら、ある意味がない。
結局、安い米を仕入れてきて「魚沼産コシヒカリ」として売る人を排除するのは規制の力でなくて消費者の選択であるべきだ。ウソで成り立たせる商売は、長期的にはペイしないと信じるしかない。「消費者に味などわからない、彼らは情報(ラベルや評判や格付け!)を消費しているんだ!」と訳知り顔に言う人もいるが、そんなことはないと思う。意外と消費者は騙せない。
だから、消費者が騙されないように煩瑣な規則を作るよりも消費者の力量を信じた方がよいと思うし、仮に消費者保護を厚くするにしても、善意の人に守ってもらうような規則ではなく、悪人を厳罰に処する規則にすべきだと思う。
※ ちなみに虚偽を書いたら1年以下の懲役又は100万円以下の罰金。
2015年7月27日月曜日
米袋デザインとお米の販売告知
去年と一昨年「南薩の田舎暮らし」で販売した狩集農園の「おうちでたべているお米」、今年はその米袋(5kg入り)のデザインをさせてもらった!
磯間嶽のシルエット(これは狩集農園さんからのリクエストによるもの)を遠景に、ちょっとだけ不整形な緑の四角形。この四角はもちろん狩集農園の田んぼを象徴していて、田んぼというのはキッチリ四角なら作業がしやすいがゆがんでいると手間がかかる。さらには山あいの狭い田んぼとなれば手間は段違いで、そういう手間をかけて育てたお米ですよ、ということを暗示したつもりである(まあそんなことにピンと来る人はいないと思いますが)。実際、干拓のだだっ広いところで米を作るのと、山あいの狭くて形の悪い田んぼで米を作るのでは3倍くらいの手間が違う、それなのにお米の値段は(農協に出荷したら)全く同じなのだから現実は非情である。
ちなみに「おうちでたべているお米」の題字は狩集農園のお子さんに書いてもらった。去年は、ネット販売の売り文句か何かに「ちっちゃな子どもがいる狩集農園の…」と加えたが、そういう説明もちょっと野暮ったいし、題字の雰囲気で表現したいと思い、 こうしてみた。
で、このお米、せっかく米袋をデザインさせてもらったのだが、今年は「南薩の田舎暮らし」では販売しないことにした。いろいろ事情はあるが、一番は「よく考えたら全国の郵便局で申込を受け付けているわけで、あえてインターネットで販売する意味があんまりない」ということである。
というわけで、ご注文の方はカタログチラシをご覧いただき、お近くの郵便局の窓口にて備え付けの「カタログ販売申込書(一般用A)」で申込いただきたい(このカタログチラシが置いてある郵便局でしか取り扱っていないのかと勘違いしていたのですが、全国の郵便局で受け付け可能との由でした。ただしふるさと小包のWEBサイトでは申込できません)。
で、その次に大きな理由は、今年から自分で栽培したお米を販売するということである。
私は米作りは「田舎モノの嗜み」としてやる程度…と思っていてこれを個人販売していくつもりはあんまりなかった。でも気づいたら5反(50a)も水田を作っていて、自家用以外は全部農協に出すということだとせっかく無農薬栽培しているのにもったいない。専門の米農家の方に比べれば品質は全然マダマダではあるものの、無農薬・無化学肥料に価値を感じていただける方もいると思うので販売に踏み切ったわけである。
というわけで、南薩の田舎暮らしの「無農薬・無化学肥料のお米」10kg 4000円(+送料500円)。予約のみ販売となっていますのでよろしくお願いします!
ご予約はこちらから↓
【予約商品】無農薬・無化学肥料のお米
※発送は8月10日前後を予定しています。
【関連ブログ記事】
オフィシャルブログの方にも関連記事を書いていますのでご関心があればどうぞ。
今年のお米づくりが始まりました
田起こしとほんの少しの有機質肥料
代掻きに恵みの雨
6時間も田んぼの中を行ったり来たり
魔のジャンボタニシ
無農薬・無化学肥料の新米、予約受付中です!
磯間嶽のシルエット(これは狩集農園さんからのリクエストによるもの)を遠景に、ちょっとだけ不整形な緑の四角形。この四角はもちろん狩集農園の田んぼを象徴していて、田んぼというのはキッチリ四角なら作業がしやすいがゆがんでいると手間がかかる。さらには山あいの狭い田んぼとなれば手間は段違いで、そういう手間をかけて育てたお米ですよ、ということを暗示したつもりである(まあそんなことにピンと来る人はいないと思いますが)。実際、干拓のだだっ広いところで米を作るのと、山あいの狭くて形の悪い田んぼで米を作るのでは3倍くらいの手間が違う、それなのにお米の値段は(農協に出荷したら)全く同じなのだから現実は非情である。
ちなみに「おうちでたべているお米」の題字は狩集農園のお子さんに書いてもらった。去年は、ネット販売の売り文句か何かに「ちっちゃな子どもがいる狩集農園の…」と加えたが、そういう説明もちょっと野暮ったいし、題字の雰囲気で表現したいと思い、 こうしてみた。
で、このお米、せっかく米袋をデザインさせてもらったのだが、今年は「南薩の田舎暮らし」では販売しないことにした。いろいろ事情はあるが、一番は「よく考えたら全国の郵便局で申込を受け付けているわけで、あえてインターネットで販売する意味があんまりない」ということである。
というわけで、ご注文の方はカタログチラシをご覧いただき、お近くの郵便局の窓口にて備え付けの「カタログ販売申込書(一般用A)」で申込いただきたい(このカタログチラシが置いてある郵便局でしか取り扱っていないのかと勘違いしていたのですが、全国の郵便局で受け付け可能との由でした。ただしふるさと小包のWEBサイトでは申込できません)。
で、その次に大きな理由は、今年から自分で栽培したお米を販売するということである。
私は米作りは「田舎モノの嗜み」としてやる程度…と思っていてこれを個人販売していくつもりはあんまりなかった。でも気づいたら5反(50a)も水田を作っていて、自家用以外は全部農協に出すということだとせっかく無農薬栽培しているのにもったいない。専門の米農家の方に比べれば品質は全然マダマダではあるものの、無農薬・無化学肥料に価値を感じていただける方もいると思うので販売に踏み切ったわけである。
というわけで、南薩の田舎暮らしの「無農薬・無化学肥料のお米」10kg 4000円(+送料500円)。予約のみ販売となっていますのでよろしくお願いします!
ご予約はこちらから↓
【予約商品】無農薬・無化学肥料のお米
※発送は8月10日前後を予定しています。
【関連ブログ記事】
オフィシャルブログの方にも関連記事を書いていますのでご関心があればどうぞ。
今年のお米づくりが始まりました
田起こしとほんの少しの有機質肥料
代掻きに恵みの雨
6時間も田んぼの中を行ったり来たり
魔のジャンボタニシ
無農薬・無化学肥料の新米、予約受付中です!
2015年4月10日金曜日
インターネットで農産物を売る(その2)
(前回からの続き)
さて、少し話が戻るようだが、そもそも、インターネットショップや実際の店舗がたくさんある中で、当店を選んでもらうためにはどうしたらよいのかという問題がある。
回答案の一つは「差別化」だ。日本で一番! とか日本で唯一! の商品があったら、インターネットでは強い。しかし元より農産物の差別化というのはとても難しい。それに、多くの場合、農産物の差別化はすべきでもない。
なぜなら多くの人が求めているのは、差別化された特別な農産物ではなく、普通に美味しい普通の野菜や果物だからである。農産物は、ファッションや雑貨のように個性を意識して購入することはない。変わったものよりもむしろ、食べ慣れているものの方が安心する。
時には「日本一甘いトマト」のようなものを食べたくなるので、そういう「差別化」は成功するかもしれないが、そのためにはトマトならトマトを極めるという一本気な農業が必要になる。私のような農業初心者にそれは無理である。
ただ、果物の場合は嗜好品という性格がかなり強いから、インターネットでの「差別化」は野菜に比べれば容易である。しかしそれにしても、日本で一番というようなレベルになるとやはり難しい。そして極端に言えば「日本で一番」しか残らないのがインターネット販売の世界である。
また、率直に言ってしまうと、「有機野菜じゃないとダメ!」というような特殊な人以外にとっては、野菜のようなものはインターネットで買うよりも近所のスーパーで買った方が絶対によい。なぜなら、地場のものを旬に食べるのが一番美味しいし、その上安価だからである。
つまり、普通の野菜や果物を売る、ということを考えるとインターネットショップには勝ち目がない。一方「日本で一番」の農産物を作るというのも難しい。
ではどうやって当店を選んでもらえればよいのか?
それに対する私なりの回答は、地域性と人間性、である。
「地域性」とは、農産物に附属する地域のイメージのことである。例えば、北海道産ポテト、といえば広大な北の大地を思い浮かべるだろう。では長崎産ポテトはどうか? 長崎は北海道に次ぐ全国2位のジャガイモの産地だが、あまりイメージが湧かないので、二つが並んでいたらなんとなく北海道産の方がよいものと思ってしまわないだろうか? 要するに、人間はほんの少しでもその由来を知っているものが好きだ。
私は「南薩」という地域が、北海道のように何か雄大なものを想起させる、そんな地域としてもっと認知されて欲しいと望んでいる。何しろ北海道と同じく、ここは日本本土の端っこである。ここにあるものは少なく、誇れるものはその景観くらいしかない。景観と農産物にはほとんど関係がないようだが、私は関係大ありだと思っている。
またどんな地域であれ、そこの出身者であれば、そこの農産物を食べてみたくなるものだ。「南薩の田舎暮らし」のお客さんも、今のところ多くは南さつま近隣の出身で都会に出ている人である。うちは「南薩」を大きくウリにしているわけだから、そんなの当たり前じゃないの? と思うかもしれない。でもこれがファッションとか雑貨だったらどうか。推測だが、お客さんに占める出身者の割合はそんなに大きくならないと思う。たぶん、「食べ物」だから出身者が購入してくれるのである。
たぶん、味とか栄養だけでない価値が食べ物にはある。生まれ育った土地で育った野菜や果物というのは、その人にとって特別な価値があるのではないか。
次に「人間性」だが、これは少し誤解を生む用語である。「私の人間性を見込んで買って下さい」とか、そういう意味では全然ない。そうではなくて、これは農産物に附属する人間属性のことであり、つまり「これはこの人が作って、この人が売っているものなんだ」という附属情報のことを指す。
どんな野菜にも果物にもその附属情報はある。どれも誰かが育てて、そして誰かが売っている。その情報を表に出した時、農産物に人間性が生まれる。「顔の見える野菜」というようなのがあるが、その類である。問題は、「顔の見える野菜」は「顔の見えない野菜(どこの誰が作っているのか分からない野菜)」と比べて(統計的に)優れているのかということである。正直、違いはほとんどないと思う。「顔出し」するかどうかは、農家の性格による部分が大きい気がする。
しかし、やはり「顔の見える野菜」のほうが何となくよいものと思ってしまう。それは先ほども述べたように、人間はほんの少しでもその由来を知っているものが好きだからである。
では、私も「顔出し」してインターネット販売をすればよいのだろうか?
そういう方法もあるが、先述のとおり「顔出し」と品質との相関はおそらくないし、ただイメージだけの話である。インターネットショップサイトに私がニコニコとした顔で野菜や果物を抱いているような写真を載せたら、イメージはよいかもしれないが実質的な意味はない。いや、実質的な意味がないのにイメージだけよくなるとしたら、むしろよくないことかもしれない。
私はそれよりも、もっと単純なこととして、「同じ買うなら知っている人から買う方が気持ちいい」ということを大切にしたいと思う。そうか? という人もいるだろう。知らない人から買う方が気が楽だ、と言う人もいる。でも私は、ものの売り買いは最も原初的なコミュニケーションの一つだと思っている。
つまり、売買というのは、ただお金と引き換えに商品を交換する行為ではなくて、「商品の交換」を通じて、売る人と買う人が(その場しのぎかもしれないが)信頼関係を築くことだ。すなわち本質的には、互いの存在を認め合うことだと思うのである(過激なことを言うと、商品やお金はその副産物に過ぎない)。
ようやく話が「インターネット販売におけるお客さんとの対話」に戻ってきた。要するに、私はお客さんにとって「知っている人」になりたいのである。あわよくば「信頼できる人」とかになれたらもっとよいのかもしれないが、店主が自らを売り込んで来る店では私も買いたくない。
そして逆に、もし可能なら、お客さんのことも知りたい。
なにしろ、「南薩の田舎暮らし」のような弱小サイトにわざわざ訪問してくれて、それに(全国的に見たら)たいしてスゴイわけでもない果物やジャムを買ってくれるのだから、一体どんな人なのかとこっちも気になる。よりどりみどりで優れた商品が溢れているのに、どうしてうちなんかで買ってくれたのか、と聞きたくなるのが人情だ。
だから、私はお客さんと挨拶程度はする知り合い同士になりたいのである。そのために対話する。そしてこういうことをやるには、インターネットは非常に向いている。なぜなら、実店舗でこういう対話をいちいちやっていたら、正直その店はウザイ。ほっといてくれ、と思う人も多い。でもメールなら、無視すれば済むことだ。心理的負担がほとんどない。というか、ウザイと思ったらぜひ無視して欲しい。言うまでもなく「別にあんたのことなんか知りたくないよ。欲しいものさえ手に入れば」という人だってもちろん歓迎である。
そして、実利的な話になるが、もしそういう「知っている人」が何百人にもなったら、きっといいお客さんになってくれる人もたくさんいるわけで、これはただ「友達百人できるかな」的な活動ではないのはもちろんである。そもそも商売だから、長期的に利益がなかったら続けられない。
私にとっての農産物のインターネット販売はそういうことである。そしてたぶん、農産物を販売するインターネットショップは、多かれ少なかれそういう性格を持っていると思う。
だから、インターネット販売が非効率的なのは当然だ。「南薩の田舎暮らし」は積極的に販路を拡大していこうという戦略をとっていないので、さして販売実績もよくない。そもそも、まだまだインターネットで販売するということをちゃんと実直にやれている自信もない。弱小サイトで当然である。
でも、心構えとしてはこのように思っている。なかなか自分の思うようにはできていないのですが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
さて、少し話が戻るようだが、そもそも、インターネットショップや実際の店舗がたくさんある中で、当店を選んでもらうためにはどうしたらよいのかという問題がある。
回答案の一つは「差別化」だ。日本で一番! とか日本で唯一! の商品があったら、インターネットでは強い。しかし元より農産物の差別化というのはとても難しい。それに、多くの場合、農産物の差別化はすべきでもない。
なぜなら多くの人が求めているのは、差別化された特別な農産物ではなく、普通に美味しい普通の野菜や果物だからである。農産物は、ファッションや雑貨のように個性を意識して購入することはない。変わったものよりもむしろ、食べ慣れているものの方が安心する。
時には「日本一甘いトマト」のようなものを食べたくなるので、そういう「差別化」は成功するかもしれないが、そのためにはトマトならトマトを極めるという一本気な農業が必要になる。私のような農業初心者にそれは無理である。
ただ、果物の場合は嗜好品という性格がかなり強いから、インターネットでの「差別化」は野菜に比べれば容易である。しかしそれにしても、日本で一番というようなレベルになるとやはり難しい。そして極端に言えば「日本で一番」しか残らないのがインターネット販売の世界である。
また、率直に言ってしまうと、「有機野菜じゃないとダメ!」というような特殊な人以外にとっては、野菜のようなものはインターネットで買うよりも近所のスーパーで買った方が絶対によい。なぜなら、地場のものを旬に食べるのが一番美味しいし、その上安価だからである。
つまり、普通の野菜や果物を売る、ということを考えるとインターネットショップには勝ち目がない。一方「日本で一番」の農産物を作るというのも難しい。
ではどうやって当店を選んでもらえればよいのか?
それに対する私なりの回答は、地域性と人間性、である。
「地域性」とは、農産物に附属する地域のイメージのことである。例えば、北海道産ポテト、といえば広大な北の大地を思い浮かべるだろう。では長崎産ポテトはどうか? 長崎は北海道に次ぐ全国2位のジャガイモの産地だが、あまりイメージが湧かないので、二つが並んでいたらなんとなく北海道産の方がよいものと思ってしまわないだろうか? 要するに、人間はほんの少しでもその由来を知っているものが好きだ。
私は「南薩」という地域が、北海道のように何か雄大なものを想起させる、そんな地域としてもっと認知されて欲しいと望んでいる。何しろ北海道と同じく、ここは日本本土の端っこである。ここにあるものは少なく、誇れるものはその景観くらいしかない。景観と農産物にはほとんど関係がないようだが、私は関係大ありだと思っている。
またどんな地域であれ、そこの出身者であれば、そこの農産物を食べてみたくなるものだ。「南薩の田舎暮らし」のお客さんも、今のところ多くは南さつま近隣の出身で都会に出ている人である。うちは「南薩」を大きくウリにしているわけだから、そんなの当たり前じゃないの? と思うかもしれない。でもこれがファッションとか雑貨だったらどうか。推測だが、お客さんに占める出身者の割合はそんなに大きくならないと思う。たぶん、「食べ物」だから出身者が購入してくれるのである。
たぶん、味とか栄養だけでない価値が食べ物にはある。生まれ育った土地で育った野菜や果物というのは、その人にとって特別な価値があるのではないか。
次に「人間性」だが、これは少し誤解を生む用語である。「私の人間性を見込んで買って下さい」とか、そういう意味では全然ない。そうではなくて、これは農産物に附属する人間属性のことであり、つまり「これはこの人が作って、この人が売っているものなんだ」という附属情報のことを指す。
どんな野菜にも果物にもその附属情報はある。どれも誰かが育てて、そして誰かが売っている。その情報を表に出した時、農産物に人間性が生まれる。「顔の見える野菜」というようなのがあるが、その類である。問題は、「顔の見える野菜」は「顔の見えない野菜(どこの誰が作っているのか分からない野菜)」と比べて(統計的に)優れているのかということである。正直、違いはほとんどないと思う。「顔出し」するかどうかは、農家の性格による部分が大きい気がする。
しかし、やはり「顔の見える野菜」のほうが何となくよいものと思ってしまう。それは先ほども述べたように、人間はほんの少しでもその由来を知っているものが好きだからである。
では、私も「顔出し」してインターネット販売をすればよいのだろうか?
そういう方法もあるが、先述のとおり「顔出し」と品質との相関はおそらくないし、ただイメージだけの話である。インターネットショップサイトに私がニコニコとした顔で野菜や果物を抱いているような写真を載せたら、イメージはよいかもしれないが実質的な意味はない。いや、実質的な意味がないのにイメージだけよくなるとしたら、むしろよくないことかもしれない。
私はそれよりも、もっと単純なこととして、「同じ買うなら知っている人から買う方が気持ちいい」ということを大切にしたいと思う。そうか? という人もいるだろう。知らない人から買う方が気が楽だ、と言う人もいる。でも私は、ものの売り買いは最も原初的なコミュニケーションの一つだと思っている。
つまり、売買というのは、ただお金と引き換えに商品を交換する行為ではなくて、「商品の交換」を通じて、売る人と買う人が(その場しのぎかもしれないが)信頼関係を築くことだ。すなわち本質的には、互いの存在を認め合うことだと思うのである(過激なことを言うと、商品やお金はその副産物に過ぎない)。
ようやく話が「インターネット販売におけるお客さんとの対話」に戻ってきた。要するに、私はお客さんにとって「知っている人」になりたいのである。あわよくば「信頼できる人」とかになれたらもっとよいのかもしれないが、店主が自らを売り込んで来る店では私も買いたくない。
そして逆に、もし可能なら、お客さんのことも知りたい。
なにしろ、「南薩の田舎暮らし」のような弱小サイトにわざわざ訪問してくれて、それに(全国的に見たら)たいしてスゴイわけでもない果物やジャムを買ってくれるのだから、一体どんな人なのかとこっちも気になる。よりどりみどりで優れた商品が溢れているのに、どうしてうちなんかで買ってくれたのか、と聞きたくなるのが人情だ。
だから、私はお客さんと挨拶程度はする知り合い同士になりたいのである。そのために対話する。そしてこういうことをやるには、インターネットは非常に向いている。なぜなら、実店舗でこういう対話をいちいちやっていたら、正直その店はウザイ。ほっといてくれ、と思う人も多い。でもメールなら、無視すれば済むことだ。心理的負担がほとんどない。というか、ウザイと思ったらぜひ無視して欲しい。言うまでもなく「別にあんたのことなんか知りたくないよ。欲しいものさえ手に入れば」という人だってもちろん歓迎である。
そして、実利的な話になるが、もしそういう「知っている人」が何百人にもなったら、きっといいお客さんになってくれる人もたくさんいるわけで、これはただ「友達百人できるかな」的な活動ではないのはもちろんである。そもそも商売だから、長期的に利益がなかったら続けられない。
私にとっての農産物のインターネット販売はそういうことである。そしてたぶん、農産物を販売するインターネットショップは、多かれ少なかれそういう性格を持っていると思う。
だから、インターネット販売が非効率的なのは当然だ。「南薩の田舎暮らし」は積極的に販路を拡大していこうという戦略をとっていないので、さして販売実績もよくない。そもそも、まだまだインターネットで販売するということをちゃんと実直にやれている自信もない。弱小サイトで当然である。
でも、心構えとしてはこのように思っている。なかなか自分の思うようにはできていないのですが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2015年4月7日火曜日
インターネットで農産物を売る(その1)
インターネットショップ「南薩の田舎暮らし」をオープンさせたのは2012年の1月。気づいたら丸3年が経過していた。
未だにさほどの売り上げがない弱小サイトなので大した実績もないが、「インターネットで農産物を売る」ということを実際にやってみていろいろ思うことがあるので丸3年という節目(若干過ぎているが)に書いておこう。
最近、自治体が農産物販売のためのインターネットショップ(への誘導ページ)を立ち上げるなど、農産物のブランド化や知名度のアップ、高価格での有利販売といった目的で農産物のインターネット販売が注目を集めている。
それも、以前は農家個人がショップサイトを立ち上げるのが主流だったが、最近になって農産物販売のプラットフォーム的なサイトもたくさん出てきたし、STORESのように極めて簡単に、しかも月額基本料無料でインターネット販売できるサービスもあるので、もう誰でもインターネットで農産物が売れる時代になったと思う。
ところが実感として、農産物のインターネット販売というのはかなり難しい。
第1に、農産物というのは薄利多売な商材であり、単価がとても安い。しかもかさばるものが多い。よって配送料が割高になる。Amazonで「配送料無料」に慣れた消費者(私もそうです)には、1000円とか2000円の農産物を買うのに1000円近い配送料を出すのは非常に抵抗感がある。
例えば、「南薩の田舎暮らし」ではポンカン10kgを3000円で売ったが、これにかかる実費送料は関東だと約1000円である。だが自分がお客さんなら、3000円のものを買うのに1000円の送料はいかにも割高でイヤな感じがするので、「南薩の田舎暮らし」では送料を全国一律500円にしている。
市場や農協への出荷などと比べれば確かにインターネット販売は単価が高く設定できるが、このように送料の一部を負担することまで考えると、実は物産館などで販売した方が利益率が高い場合も多い。
第2に、インターネットで売れるものはかなり限定されているということがある。例えば、物産館であれば大抵の農産物はそれなりに捌ける。だが、インターネットでは普通の野菜を普通に売っていても全然売れない。そういうのは近所の八百屋とかスーパーで買えるので当然の話である。
なので、インターネットで販売するものは希少・高品質などの付加価値がある農産物に限られるのであるが、そういうのはまず生産するのが難しい。例えば「南薩の田舎暮らし」の場合、無農薬の柑橘というのがそれに当たる。これも2014年は虫害で大損害を受けており、ほとんど売り上げがなかった。インターネットを通じて特殊なものを販売するより、普通の野菜や果物を普通に生産して市場や農協に出荷する方が商売として安定的かつ簡単である。
第3に、インターネット販売はかなり手間がかかる。ショップサイトの構築は趣味の世界(こだわらなければHTMLを覚える必要もない)だから除くとしても、商品写真の撮影、説明文の推敲、受注管理、梱包、配送といったことは農作業の合間にやるとかなり面倒な作業だし、その上Facebookとかブログでそれなりに情報発信をしないとなかなかトラフィック(要するに訪問数)が伸びない。
しかも、先述の通り農産物は薄利多売な商材なので、こうした面倒なことをすると、タダでさえ低い利益率がさらに低くなる。
こうなると、インターネット販売なんか辞めて物産館・JA・市場・量販店への卸など、伝統的な農産物流通に乗せた方が、よほど商売として上手な感じがしてしまう。正直、今なぜ農産物をインターネットで販売しようというブームが来ているのか、いまいちピンと来ない。穿った見方をすれば、単にIT屋さんに踊らされてるだけなんではないだろうか?
しかし、インターネット販売の意味はちゃんとある。
それは、究極的にはお客さんとの対話である。
縷々書いたように、インターネット販売は一言でいうと非効率的なのだが、なぜ非効率的なのかというと、(実際にはやりとりをしなくても潜在的に)お客さんと対話しなくてはならないからだ。というか、対話をするために販売する。販売そのものが目的ではなくて、対話自体が目的なのだと私は思う。
ちなみに、「南薩の田舎暮らし」では、始めて注文をくれた方にはほぼ必ず(忙しい時を除く)「どうして当店をお知りになったのですか?」とメールで聞くようにしているが、そうしたら大変丁寧な返信をくれる方も多い。私は、そういう無駄話をしているからインターネット販売がなおさら非効率的なのかもしれない。でも無駄のない効率的販売をしたいなら、わざわざインターネットで販売する意味はない。物産館に持っていく方がずっと簡単で効率的だ。
もちろん、これはサイトの目的や収益構造によっていろいろなケースがあるわけで、インターネット販売が効率的な場合もあるだろう。それにインターネット販売の意味を「対話が目的」と書いたが、それはあくまで私の場合のことで、一般化はできない。
だが、よほど付加価値の高い特別な農産物を販売するのでない限り、やはり「対話」はかなり重要だと思う。では何のための「対話」なのかという話になるが、それは次回に書くことにする。
(つづく)
未だにさほどの売り上げがない弱小サイトなので大した実績もないが、「インターネットで農産物を売る」ということを実際にやってみていろいろ思うことがあるので丸3年という節目(若干過ぎているが)に書いておこう。
最近、自治体が農産物販売のためのインターネットショップ(への誘導ページ)を立ち上げるなど、農産物のブランド化や知名度のアップ、高価格での有利販売といった目的で農産物のインターネット販売が注目を集めている。
それも、以前は農家個人がショップサイトを立ち上げるのが主流だったが、最近になって農産物販売のプラットフォーム的なサイトもたくさん出てきたし、STORESのように極めて簡単に、しかも月額基本料無料でインターネット販売できるサービスもあるので、もう誰でもインターネットで農産物が売れる時代になったと思う。
ところが実感として、農産物のインターネット販売というのはかなり難しい。
第1に、農産物というのは薄利多売な商材であり、単価がとても安い。しかもかさばるものが多い。よって配送料が割高になる。Amazonで「配送料無料」に慣れた消費者(私もそうです)には、1000円とか2000円の農産物を買うのに1000円近い配送料を出すのは非常に抵抗感がある。
例えば、「南薩の田舎暮らし」ではポンカン10kgを3000円で売ったが、これにかかる実費送料は関東だと約1000円である。だが自分がお客さんなら、3000円のものを買うのに1000円の送料はいかにも割高でイヤな感じがするので、「南薩の田舎暮らし」では送料を全国一律500円にしている。
市場や農協への出荷などと比べれば確かにインターネット販売は単価が高く設定できるが、このように送料の一部を負担することまで考えると、実は物産館などで販売した方が利益率が高い場合も多い。
第2に、インターネットで売れるものはかなり限定されているということがある。例えば、物産館であれば大抵の農産物はそれなりに捌ける。だが、インターネットでは普通の野菜を普通に売っていても全然売れない。そういうのは近所の八百屋とかスーパーで買えるので当然の話である。
なので、インターネットで販売するものは希少・高品質などの付加価値がある農産物に限られるのであるが、そういうのはまず生産するのが難しい。例えば「南薩の田舎暮らし」の場合、無農薬の柑橘というのがそれに当たる。これも2014年は虫害で大損害を受けており、ほとんど売り上げがなかった。インターネットを通じて特殊なものを販売するより、普通の野菜や果物を普通に生産して市場や農協に出荷する方が商売として安定的かつ簡単である。
第3に、インターネット販売はかなり手間がかかる。ショップサイトの構築は趣味の世界(こだわらなければHTMLを覚える必要もない)だから除くとしても、商品写真の撮影、説明文の推敲、受注管理、梱包、配送といったことは農作業の合間にやるとかなり面倒な作業だし、その上Facebookとかブログでそれなりに情報発信をしないとなかなかトラフィック(要するに訪問数)が伸びない。
しかも、先述の通り農産物は薄利多売な商材なので、こうした面倒なことをすると、タダでさえ低い利益率がさらに低くなる。
こうなると、インターネット販売なんか辞めて物産館・JA・市場・量販店への卸など、伝統的な農産物流通に乗せた方が、よほど商売として上手な感じがしてしまう。正直、今なぜ農産物をインターネットで販売しようというブームが来ているのか、いまいちピンと来ない。穿った見方をすれば、単にIT屋さんに踊らされてるだけなんではないだろうか?
しかし、インターネット販売の意味はちゃんとある。
それは、究極的にはお客さんとの対話である。
縷々書いたように、インターネット販売は一言でいうと非効率的なのだが、なぜ非効率的なのかというと、(実際にはやりとりをしなくても潜在的に)お客さんと対話しなくてはならないからだ。というか、対話をするために販売する。販売そのものが目的ではなくて、対話自体が目的なのだと私は思う。
ちなみに、「南薩の田舎暮らし」では、始めて注文をくれた方にはほぼ必ず(忙しい時を除く)「どうして当店をお知りになったのですか?」とメールで聞くようにしているが、そうしたら大変丁寧な返信をくれる方も多い。私は、そういう無駄話をしているからインターネット販売がなおさら非効率的なのかもしれない。でも無駄のない効率的販売をしたいなら、わざわざインターネットで販売する意味はない。物産館に持っていく方がずっと簡単で効率的だ。
もちろん、これはサイトの目的や収益構造によっていろいろなケースがあるわけで、インターネット販売が効率的な場合もあるだろう。それにインターネット販売の意味を「対話が目的」と書いたが、それはあくまで私の場合のことで、一般化はできない。
だが、よほど付加価値の高い特別な農産物を販売するのでない限り、やはり「対話」はかなり重要だと思う。では何のための「対話」なのかという話になるが、それは次回に書くことにする。
(つづく)
2015年2月18日水曜日
露地栽培のしらぬいはなぜかもの凄く痛みやすい
「しらぬい(デコポンの登録商標で知られている柑橘)」に不思議なことがある。施設栽培だと数ヶ月保管できるのに、露地栽培だと3週間くらいで傷んでしまう! どうしてなんだろうか?
ちょっと調べてみても、その本質的な原因が分からない。一方、対策というのはそれなりに研究されていて、小さなキズにも弱いからキズ付けないように収穫しましょうとか、そういう細かいことも含めていろんなアドバイスがある。でも肝心の原因が茫洋としていて、露地栽培と施設栽培で決定的に違うことがなんなのかがよくわからない。果実表面の微生物の様相に問題があるんだろうが…。
それに、痛み方も少し変わっている。普通のミカン類は、表面のキズや何かから青カビが侵入してやがて腐っていくことが多いが、しらぬいの場合、青カビももちろんつくが皮の部分からボヨンボヨンになって弱っていく痛み方の方が多いような気がする。あと、樹上で腐ってしまう割合も多いと思う。これも原因がよくわからない。
ちなみに、皮の部分がボヨンボヨンになっても、果肉の方はまだ無事で意外にイケることも多い。でもそうなるともう数日でダメになってしまう。だから売り物にはならない。
しらぬいは皮がゴツくて頑丈な印象があるのに、実際はもの凄く痛みやすいのである。それが施設栽培になると、逆にかなり長持ちするようになるのが一層不思議なのである。こういう果物、ほかにあるんだろうか?
そして、もの凄く痛みやすいということは、なかなか売りにくいということでもある。在庫を抱えているとどんどん不良品が増えていくわけで、時限爆弾的な商品だ。だから、一度にドカッと売りたくなる。でもそうすると、新しいお客さんとの出会いは少ない。「南薩の田舎暮らし」でも、予約を取って販売した上、例によってA-Zかわなべにも卸したので、もはや在庫は10セットくらいしかない状況である。
販売期間はあと1週間もないかもしれない。この短い期間に、新しいお客さんと出会えたらいいなと思っている。
↓ご購入はこちらから
「無農薬・無化学肥料のしらぬい」
ちょっと調べてみても、その本質的な原因が分からない。一方、対策というのはそれなりに研究されていて、小さなキズにも弱いからキズ付けないように収穫しましょうとか、そういう細かいことも含めていろんなアドバイスがある。でも肝心の原因が茫洋としていて、露地栽培と施設栽培で決定的に違うことがなんなのかがよくわからない。果実表面の微生物の様相に問題があるんだろうが…。
それに、痛み方も少し変わっている。普通のミカン類は、表面のキズや何かから青カビが侵入してやがて腐っていくことが多いが、しらぬいの場合、青カビももちろんつくが皮の部分からボヨンボヨンになって弱っていく痛み方の方が多いような気がする。あと、樹上で腐ってしまう割合も多いと思う。これも原因がよくわからない。
ちなみに、皮の部分がボヨンボヨンになっても、果肉の方はまだ無事で意外にイケることも多い。でもそうなるともう数日でダメになってしまう。だから売り物にはならない。
しらぬいは皮がゴツくて頑丈な印象があるのに、実際はもの凄く痛みやすいのである。それが施設栽培になると、逆にかなり長持ちするようになるのが一層不思議なのである。こういう果物、ほかにあるんだろうか?
そして、もの凄く痛みやすいということは、なかなか売りにくいということでもある。在庫を抱えているとどんどん不良品が増えていくわけで、時限爆弾的な商品だ。だから、一度にドカッと売りたくなる。でもそうすると、新しいお客さんとの出会いは少ない。「南薩の田舎暮らし」でも、予約を取って販売した上、例によってA-Zかわなべにも卸したので、もはや在庫は10セットくらいしかない状況である。
販売期間はあと1週間もないかもしれない。この短い期間に、新しいお客さんと出会えたらいいなと思っている。
↓ご購入はこちらから
「無農薬・無化学肥料のしらぬい」
2015年1月15日木曜日
南薩の不夜城「A-Zかわなべ」でうちのポンカンを販売中
A-Z(エーゼット)というショッピングセンターをご存じだろうか?
これは鹿児島(阿久根、川辺、隼人の3箇所)にあって、店舗がやたらデカく車から仏壇まで何でも置いていて、しかも24時間営業という独特のお店である。この3箇所はどこもさしたる繁華街を持たないような田舎で、だからこそ商圏のニーズを独占している。こういうショッピングセンターはだいたい繁華街から少し離れた郊外に店を構えるものだが、敢えて競争相手のいない田舎に出店するというのが面白い。
しかも、私も詳しくは知らないのだが、仕入れの仕組みが変わっていて、現場担当者の裁量がとても大きいらしい。例えばニシムタ(鹿児島で有名なショッピングセンターです)なんかだと仕入れは全店共通だと思うが、A-Zの場合は売り場担当者がバイヤーとなって店舗で独自に仕入れるそうだ。いうまでもなく、仕入れは全店共通にするのが合理的だ。この一見非合理な、常識と逆のことをやるのがA-Zの面白いところである。
だから、A-Zには、近所のおばちゃんたち(組合)が作ったような漬物とか、ショッピングセンターらしからぬものが置いている。一見普通の大型ショッピングセンターだが、よく見てみると「常識とは逆の経営」をやっているのである。
A-Zがいかに独特な経営をしているかは、WEB上にもいろいろな記事が載っている(→例えばコレとかコレとか)のでその話はこのあたりにして、このたび、地元南薩のA-Zかわなべに「南薩の田舎暮らし」の「無農薬・無化学肥料のポンカン」を買ってもらえる(仕入れてもらえる)ことになった! (というか独特な経営をしているから、私などから仕入れてくれるのだろう)
私も正確な経緯はよくわからないものの、A-Zとして有機農産物などの取り扱いを強化していこうという動きがあり、それに載っからせてもらった形である。
もし、A-Zにポンカンを仕入れてもらえなければ、個人販売でチマチマ売りつつ、「腐れとの戦い」(というのは防腐剤を掛けていないので)をしなければならなかったので、本当に助かった。
しかも最初は、様子見程度の仕入れなのかなあと思っていたのだが、売り場担当はの方がPOPまで作って下さり、また私が手渡した小さなチラシもわざわざ多数印刷して頒布してくれているではないか。A-Zのご担当の方に、結構力を割いてもらっていると感じる。
こうして、せっかく仕入れてもらったこのポンカンが、無事売り切れて欲しいというのが私の切なる願いである。ここまでやっもらって腐るまで売れ残るということはないと思うが、なかなか売れないとなれば次の仕入れに繋がらない。そして売り場担当の方に申し訳ない感じがする。
というわけなので、南薩の皆さんはA-Zかわなべにお越しの際は、「無農薬・無肥料のポンカン」をよろしくお願いします。A-Zには基本的にチラシがないそうなので、口コミだけが頼りです。なお、一袋(たぶん1kgくらい)380円で売っていました。
これは鹿児島(阿久根、川辺、隼人の3箇所)にあって、店舗がやたらデカく車から仏壇まで何でも置いていて、しかも24時間営業という独特のお店である。この3箇所はどこもさしたる繁華街を持たないような田舎で、だからこそ商圏のニーズを独占している。こういうショッピングセンターはだいたい繁華街から少し離れた郊外に店を構えるものだが、敢えて競争相手のいない田舎に出店するというのが面白い。
しかも、私も詳しくは知らないのだが、仕入れの仕組みが変わっていて、現場担当者の裁量がとても大きいらしい。例えばニシムタ(鹿児島で有名なショッピングセンターです)なんかだと仕入れは全店共通だと思うが、A-Zの場合は売り場担当者がバイヤーとなって店舗で独自に仕入れるそうだ。いうまでもなく、仕入れは全店共通にするのが合理的だ。この一見非合理な、常識と逆のことをやるのがA-Zの面白いところである。
だから、A-Zには、近所のおばちゃんたち(組合)が作ったような漬物とか、ショッピングセンターらしからぬものが置いている。一見普通の大型ショッピングセンターだが、よく見てみると「常識とは逆の経営」をやっているのである。
A-Zがいかに独特な経営をしているかは、WEB上にもいろいろな記事が載っている(→例えばコレとかコレとか)のでその話はこのあたりにして、このたび、地元南薩のA-Zかわなべに「南薩の田舎暮らし」の「無農薬・無化学肥料のポンカン」を買ってもらえる(仕入れてもらえる)ことになった! (というか独特な経営をしているから、私などから仕入れてくれるのだろう)
私も正確な経緯はよくわからないものの、A-Zとして有機農産物などの取り扱いを強化していこうという動きがあり、それに載っからせてもらった形である。
もし、A-Zにポンカンを仕入れてもらえなければ、個人販売でチマチマ売りつつ、「腐れとの戦い」(というのは防腐剤を掛けていないので)をしなければならなかったので、本当に助かった。
しかも最初は、様子見程度の仕入れなのかなあと思っていたのだが、売り場担当はの方がPOPまで作って下さり、また私が手渡した小さなチラシもわざわざ多数印刷して頒布してくれているではないか。A-Zのご担当の方に、結構力を割いてもらっていると感じる。
こうして、せっかく仕入れてもらったこのポンカンが、無事売り切れて欲しいというのが私の切なる願いである。ここまでやっもらって腐るまで売れ残るということはないと思うが、なかなか売れないとなれば次の仕入れに繋がらない。そして売り場担当の方に申し訳ない感じがする。
というわけなので、南薩の皆さんはA-Zかわなべにお越しの際は、「無農薬・無肥料のポンカン」をよろしくお願いします。A-Zには基本的にチラシがないそうなので、口コミだけが頼りです。なお、一袋(たぶん1kgくらい)380円で売っていました。
2014年11月30日日曜日
農産物直売所の視察へ行って
先日、農産物直売所(物産館)の視察研修に行った。
地元の物産館「大浦ふるさとくじら館」を盛り上げるために、その出荷登録者会の研修として見聞を広めに行ったわけだ。
巡ったのは、鹿児島市吉野の「ごしょらん」、吉田の「輝楽里(きらり)よしだ館」、郡山の「八重の里」である。それぞれがどんなところだったかということはさておいて、これらを見た上で物産館の運営について思ったことを備忘のためにまとめておきたい。
その1:出荷者と店とのコミュニケーションは重要。物産館と普通の八百屋さんとの一番の違いは何かというと、仕入れるものを店側が選べない、ということである。物産館は委託販売なので、基本的に出荷者が持ってくるものがそのまま並んでいる。それだけでは足りなくて、店側が仕入れ品を置くこともあるが、それはあくまで例外的な対応である。
フリーマーケットなども含め少しでも小売の経験がある人は、何をどれくらい仕入れるかがいかに売り上げを左右するかを知っていると思う。だが物産館というのは、小売業では非常に大切な「仕入れ」の部分に自由がきかない。特に農産物の場合、収穫時は地域で大体一緒なのでモノがある時期は大量に存在し、ない時期は全然ない、ということが起こりうる。
ではそれをどうやって克服するかというと、出荷者と店とのコミュニケーションしかない。出荷時期をそれぞれの生産者でずらしてもらう、という対応が理想だがそうでないとしても、作付面積の把握をしてそれを一覧表にするだけで各生産者がいろいろと考えるだろうし、ただ「春のキャベツが毎年不足気味なんですよ〜」とか言ってもらうだけで生産者のモチベーションが変わってくると思う。
その2:店としての統一感は重要。物産館というのは多様性がある場所である。いろんな出荷者がめいめいに農産物を持ってくるわけだから、大根一つとってもいろんなものが存在しうる。それが八百屋さんと違うところであり、いいところでもある。だが一方で、それは陳列された商品に散漫さをももたらす。その「散漫さ」を排除してしまったら物産館のいいところが減ってしまうので、散漫なのは仕方がない。
でもやはり、店として統一感はあった方がいい。それは「うちはこんな店でありたい」という基本路線の表明だと思う。例えば、「かぼちゃ」とか「大根」とかのプレートの文字(フォント)一つとってもその表明の一部だ。POPなんかを生産者が自由に置いてよいというのはいいと思うが、ただでさえ物産館はバラバラの生産者が自由に商品を置いているわけだから、なんでもござれではなくて店としての雰囲気作りが重要だと思った。
その3:運営に十分なスペースを確保するのが必要。各地の物産館を見てみても、建物に不具合があることが多いように感じる。不必要に立派な吹き抜けとか、モニュメンタルな(記憶に残るような)正面の構えとか、そういうことに予算が使われていて、あまり運営のことを考えずに設計されたような建物が散見される。小売業のことをあまり知らない人が企画・設計しているのかもしれない。
特に、裏方となる管理スペースが狭すぎることが多い。私の感覚だと、売り場面積の1/3くらいの広さの管理スペース(事務所、倉庫、作業場など)は必須だと思うが、なかなかそういうスペースが準備されていない。このために、お客さんからすると少しみっともない部分までが表に出てきてしまっている状況があるのではないか。
我が「大浦ふるさとくじら館」も、店舗の動線が悪いとか、出荷者が農産物を持ち込んだりバーコードを張るスペースがないとか、いろいろ設計上の問題を抱えている。どこの物産館も似たようなものだ、と達観することなく、運営に必要なスペースを確保したり、設備の問題を解決したりする努力は続けて行かなければならないと感じた。
その4:「大浦ふるさとくじら館」にもいいところがある。これまでも「くじら館」について取り上げたことがあるが、あまりいいことを書いていなかった気がする。だが、他の物産館を見てみると「くじら館」の可能性も捨てたものではないと思う。一番可能性を感じるのは周辺に気持ちのよい芝生スペースがあることで、ここを利用して小規模なイベントをしたら随分面白いことができそうだ。普段の出荷者の枠を超えたフリーマーケットとかやってみたらどうか。
また、裏手に観光農園(あまり利用されていない)があるのも面白い。正直この立地で観光農園は厳しいし、土質があまりよくないと言われているが、しっかりとした管理者がいたら物産館と相乗効果を生む企画ができそうだ。
あと、そもそも「南さつま海道八景(景色がすばらしい国道226号線のエリア)」の入り口に立地しているというのも重要だ。今「くじら館」には観光案内所的な機能はほとんどないが、この立地を活かして観光と絡めた企画ができれば、(収益は別にして)観光客に喜ばれることになるだろう。例えば、「ふるさとくじら館」のFacebookページを立ち上げて観光客からの投稿写真を募り、写真をその場で投稿してくれた人にはオマケをあげるとかできたら面白い。そこまでしなくても、せめて観光パンフ類をきれいに陳列しておけばそれなりに利用されると思う。
ただ、ここで述べたこと全てについて言えることだが、積極的な企画を打っていくためにはそれなりのリーダーが必要である。今の「ふるさとくじら館」には店長が不在であり、何をするにしてもその点がネックになる。でも店長がいないから何もできない、と諦めていたら何も進まない。
私も、これまで物産館にはあまり農産物を出していなかったが、来年からは物産館用として少し野菜を作ってみたい。もちろん「南薩の田舎暮らし」の加工品ももう少し出荷を増やしていく(はず)。出荷者の立場から、何らかの貢献ができたらと思っている。
地元の物産館「大浦ふるさとくじら館」を盛り上げるために、その出荷登録者会の研修として見聞を広めに行ったわけだ。
巡ったのは、鹿児島市吉野の「ごしょらん」、吉田の「輝楽里(きらり)よしだ館」、郡山の「八重の里」である。それぞれがどんなところだったかということはさておいて、これらを見た上で物産館の運営について思ったことを備忘のためにまとめておきたい。
その1:出荷者と店とのコミュニケーションは重要。物産館と普通の八百屋さんとの一番の違いは何かというと、仕入れるものを店側が選べない、ということである。物産館は委託販売なので、基本的に出荷者が持ってくるものがそのまま並んでいる。それだけでは足りなくて、店側が仕入れ品を置くこともあるが、それはあくまで例外的な対応である。
フリーマーケットなども含め少しでも小売の経験がある人は、何をどれくらい仕入れるかがいかに売り上げを左右するかを知っていると思う。だが物産館というのは、小売業では非常に大切な「仕入れ」の部分に自由がきかない。特に農産物の場合、収穫時は地域で大体一緒なのでモノがある時期は大量に存在し、ない時期は全然ない、ということが起こりうる。
ではそれをどうやって克服するかというと、出荷者と店とのコミュニケーションしかない。出荷時期をそれぞれの生産者でずらしてもらう、という対応が理想だがそうでないとしても、作付面積の把握をしてそれを一覧表にするだけで各生産者がいろいろと考えるだろうし、ただ「春のキャベツが毎年不足気味なんですよ〜」とか言ってもらうだけで生産者のモチベーションが変わってくると思う。
その2:店としての統一感は重要。物産館というのは多様性がある場所である。いろんな出荷者がめいめいに農産物を持ってくるわけだから、大根一つとってもいろんなものが存在しうる。それが八百屋さんと違うところであり、いいところでもある。だが一方で、それは陳列された商品に散漫さをももたらす。その「散漫さ」を排除してしまったら物産館のいいところが減ってしまうので、散漫なのは仕方がない。
でもやはり、店として統一感はあった方がいい。それは「うちはこんな店でありたい」という基本路線の表明だと思う。例えば、「かぼちゃ」とか「大根」とかのプレートの文字(フォント)一つとってもその表明の一部だ。POPなんかを生産者が自由に置いてよいというのはいいと思うが、ただでさえ物産館はバラバラの生産者が自由に商品を置いているわけだから、なんでもござれではなくて店としての雰囲気作りが重要だと思った。
その3:運営に十分なスペースを確保するのが必要。各地の物産館を見てみても、建物に不具合があることが多いように感じる。不必要に立派な吹き抜けとか、モニュメンタルな(記憶に残るような)正面の構えとか、そういうことに予算が使われていて、あまり運営のことを考えずに設計されたような建物が散見される。小売業のことをあまり知らない人が企画・設計しているのかもしれない。
特に、裏方となる管理スペースが狭すぎることが多い。私の感覚だと、売り場面積の1/3くらいの広さの管理スペース(事務所、倉庫、作業場など)は必須だと思うが、なかなかそういうスペースが準備されていない。このために、お客さんからすると少しみっともない部分までが表に出てきてしまっている状況があるのではないか。
我が「大浦ふるさとくじら館」も、店舗の動線が悪いとか、出荷者が農産物を持ち込んだりバーコードを張るスペースがないとか、いろいろ設計上の問題を抱えている。どこの物産館も似たようなものだ、と達観することなく、運営に必要なスペースを確保したり、設備の問題を解決したりする努力は続けて行かなければならないと感じた。
その4:「大浦ふるさとくじら館」にもいいところがある。これまでも「くじら館」について取り上げたことがあるが、あまりいいことを書いていなかった気がする。だが、他の物産館を見てみると「くじら館」の可能性も捨てたものではないと思う。一番可能性を感じるのは周辺に気持ちのよい芝生スペースがあることで、ここを利用して小規模なイベントをしたら随分面白いことができそうだ。普段の出荷者の枠を超えたフリーマーケットとかやってみたらどうか。
また、裏手に観光農園(あまり利用されていない)があるのも面白い。正直この立地で観光農園は厳しいし、土質があまりよくないと言われているが、しっかりとした管理者がいたら物産館と相乗効果を生む企画ができそうだ。
あと、そもそも「南さつま海道八景(景色がすばらしい国道226号線のエリア)」の入り口に立地しているというのも重要だ。今「くじら館」には観光案内所的な機能はほとんどないが、この立地を活かして観光と絡めた企画ができれば、(収益は別にして)観光客に喜ばれることになるだろう。例えば、「ふるさとくじら館」のFacebookページを立ち上げて観光客からの投稿写真を募り、写真をその場で投稿してくれた人にはオマケをあげるとかできたら面白い。そこまでしなくても、せめて観光パンフ類をきれいに陳列しておけばそれなりに利用されると思う。
ただ、ここで述べたこと全てについて言えることだが、積極的な企画を打っていくためにはそれなりのリーダーが必要である。今の「ふるさとくじら館」には店長が不在であり、何をするにしてもその点がネックになる。でも店長がいないから何もできない、と諦めていたら何も進まない。
私も、これまで物産館にはあまり農産物を出していなかったが、来年からは物産館用として少し野菜を作ってみたい。もちろん「南薩の田舎暮らし」の加工品ももう少し出荷を増やしていく(はず)。出荷者の立場から、何らかの貢献ができたらと思っている。
2014年2月18日火曜日
財務諸表から見るJA南さつま
確定申告の時期である。大変めんどくさい。というわけで、現実逃避して南さつま農協(JA南さつま)の財務諸表(2012年度決算書)を眺めていた。
思えば、一組合員としても出荷者としても、農協の経営状態をあまり気にしていなかった。一応、年に一度の総代会というものがあって、そこでは事業報告とか中期計画とかを組合員に説明するが、たぶん財務諸表をじっくり見て農協の経営状態を理解している人というのは僅かだと思う。この機会にこれをよくよく観察してみると面白いかもしれない。
ただ、これを真面目に分析すると長大で冗漫なものになるので、大まかな点だけ見てみようと思う。
まず、損益計算書の事業利益を見てみる。南さつま農協の経常利益は、約2億円である。具体的には、約34億円の事業利益があり、その事業を実施のため約33億円の事業管理費を使っている。その差額の約1億円とあわせて、約1億円の経常外利益(事業によるものではない利益)があるので経常利益が2億円である。下図はこれを簡単にまとめたものである。
では、この表に掲げた約34億円の事業利益は、具体的にどのような事業で稼いだものなのだろうか?
それをわかりやすくしたものが左の棒グラフである(※)。青い部分が利益(粗利=収益から費用を引いたもの)で、オレンジ色の部分が費用である。
ただしここでいう「費用」は事業ごとの費用であって、上の表中での「費用」とは違う。上の表中の「費用」は、事業全体を実施するための人件費とか施設費であって、ここでいう「費用」は、販売品の原価のように事業ごとにかかっている「元手」のことである。なお、純粋に利益だけ見る時はオレンジ色の部分は不要であるが、今回は参考につけている。
この図を見ると、JA南さつまの利益の3本柱は「肥料や農薬の販売」「保険業」「銀行業」であることが分かる。この3つで大体25億円くらいの利益を稼いでいる。ちなみに、「肥料や農薬の販売」にかかっている費用が突出して大きいが、これは「仕入れて売る」という普通の商売をしているためで自然なことである。「保険業」や「銀行業」はほぼ窓口業務であるために(別に計上されている)人件費以外の費用がほとんどかかっていない。
さて、ここまで見てみると、特に経営上の問題もなく、健全経営をしているように見えるが、JAのメインの事業である農産物の販売についてはどうなのだろうか? JA南さつまでは、約174億円の農産物の販売実績があるが、その内容はどうなっているのだろう?
左は、農産物販売実績の内訳を円グラフにしたものである。販売金額のほとんどはお茶と畜産で野菜とかお米は全体の15%ほどしかない。
私が取り組んでいるかぼちゃやカンキツなどはさらにその中のほんの僅かな部分を占めるに過ぎないから、経営的に見ると、JAとしてはあってもなくても変わらない事業だと思う。
さて、問題は、この174億円の売上が、財務諸表上でどう位置づけられているかである。ここが、今回農協の財務諸表を調べて大変に衝撃を受けたところなのだが、この円グラフのうち、財務諸表に掲載されているのは、紫の部分のたった7.5億円だけなのである。これは、棒グラフの方の「お茶等の買取販売」という項目にあたり、この7.5億円の販売から4.7億円の粗利が生まれている。
では、他の部分はどこに消えてしまったのか?
実は、私も始めて知ったのだが、ここに帳簿上のカラクリがある。農家にとってJAは卸先の一つ、つまり農産物をJAに売却し、JAがそれを市場で売る、のだと思っていた。だが形式的にはそうではなく、あくまで販売の主体は農家で、JAは販売を委託されているに過ぎない。だから農産物販売はJAにとっては受託事業であり、いくら農産物を販売しても売上としては計上されないのである。
だが、実際には農産物の代金はJAから農家に支払われているわけで、一度はJAの会計を通っているお金が財務諸表に載らないのは奇妙である。受託事業だからといって決算に含めなくてもよい道理があるとも思えない。というより、JA南さつまにとって最大の事業である農産物の販売が財務諸表に載っていないということだと、経営者(理事)が業績を評価することもできない。少なくとも民間企業において、メインの事業が財務諸表に掲載されていなければ、とてもまともな決算とはみなされないだろう。
この財務諸表もJA全中の監査と内部監査を受けてOKをもらっているわけだから、この財務諸表がダメとは直ちに言えないが、少なくとも業績がわかりにくい財務諸表であることは間違いない。
それに、私が一番問題だと思うのは、JAの担当の方が一生懸命農産物を販売しても、その業績は財務諸表上では全く評価されないということだ。農家としては農産物を1円でも高く売って欲しいが、JAの担当者が販売に力を入れても、JAの利益には1円も計上されないので、担当者やその上司のやる気も出ないだろうと思う。では、農産物販売の利益はどこに行っているのだろうか?
それは、形式的には、農家へ全て配分されているのである。これは、農家が販売をJAに委託しているわけだから当然だ。だが、この仕組みだとJAの販売担当者には少しでも高く売ろうとする理由がない。委託販売は、JAにとっては損もしないが得もしない事業だからだ。やはり、高く売ったらその分JAが儲かる(あるいは担当者が評価される)、という仕組みにしないかぎり、JA出荷の農産物の価格低迷が解消されることはないだろう。制度というのは、実際に手を動かす人、それを評価する人、それを利用する人に適切なインセンティブがないとうまく働かない。
そして、さらなる問題は、農産物販売の帳簿はどこで誰が管理しているのか? ということである。農家からの受託事業としてJAが農産物を販売しているなら、委託者である農家には事業実績(収支)を報告する義務がある。しかし、農産物販売174億円の、そのお金がどう配分されているのか、実は全く公開されていない。つまり、農家に支払った代金がいくらで、選果や集荷にかかった費用がいくらで、販売手数料がいくらなのかといった収支の全体が全く不明なのである。
これはJAの財務諸表の問題ではないのかもしれない。もしかしたら、農家自身の組合(園芸振興会とか、果樹部会とか、農家の組合組織がたくさんある)の問題なのかもしれない。だが、実態を数字で捉えることなしに、経営を改善していくことは絶対に不可能である。農産物販売の内実が明らかになっていないのは何か理由があるのかもしれないが、現実を直視することは必要不可欠のことなので、農産物販売の収支決算書を共有できるように図っていきたいと考えている。
※ わかりやすくするため事業名を一部改変している。財務諸表上では、上から購買事業、共済事業、信用事業、販売事業、利用事業、その他事業、加工事業、指導事業とされている。
思えば、一組合員としても出荷者としても、農協の経営状態をあまり気にしていなかった。一応、年に一度の総代会というものがあって、そこでは事業報告とか中期計画とかを組合員に説明するが、たぶん財務諸表をじっくり見て農協の経営状態を理解している人というのは僅かだと思う。この機会にこれをよくよく観察してみると面白いかもしれない。
ただ、これを真面目に分析すると長大で冗漫なものになるので、大まかな点だけ見てみようと思う。
まず、損益計算書の事業利益を見てみる。南さつま農協の経常利益は、約2億円である。具体的には、約34億円の事業利益があり、その事業を実施のため約33億円の事業管理費を使っている。その差額の約1億円とあわせて、約1億円の経常外利益(事業によるものではない利益)があるので経常利益が2億円である。下図はこれを簡単にまとめたものである。
JA南さつまの利益と費用
利益 | 費用 | |
事業 | 34.4億円 | 33億円 |
事業外 | 0.8億円 | 0.1億円 |
経常利益: 35.2億円(利益)—33.1億円(費用)=2.1億円
では、この表に掲げた約34億円の事業利益は、具体的にどのような事業で稼いだものなのだろうか?
それをわかりやすくしたものが左の棒グラフである(※)。青い部分が利益(粗利=収益から費用を引いたもの)で、オレンジ色の部分が費用である。
ただしここでいう「費用」は事業ごとの費用であって、上の表中での「費用」とは違う。上の表中の「費用」は、事業全体を実施するための人件費とか施設費であって、ここでいう「費用」は、販売品の原価のように事業ごとにかかっている「元手」のことである。なお、純粋に利益だけ見る時はオレンジ色の部分は不要であるが、今回は参考につけている。
この図を見ると、JA南さつまの利益の3本柱は「肥料や農薬の販売」「保険業」「銀行業」であることが分かる。この3つで大体25億円くらいの利益を稼いでいる。ちなみに、「肥料や農薬の販売」にかかっている費用が突出して大きいが、これは「仕入れて売る」という普通の商売をしているためで自然なことである。「保険業」や「銀行業」はほぼ窓口業務であるために(別に計上されている)人件費以外の費用がほとんどかかっていない。
さて、ここまで見てみると、特に経営上の問題もなく、健全経営をしているように見えるが、JAのメインの事業である農産物の販売についてはどうなのだろうか? JA南さつまでは、約174億円の農産物の販売実績があるが、その内容はどうなっているのだろう?
左は、農産物販売実績の内訳を円グラフにしたものである。販売金額のほとんどはお茶と畜産で野菜とかお米は全体の15%ほどしかない。
私が取り組んでいるかぼちゃやカンキツなどはさらにその中のほんの僅かな部分を占めるに過ぎないから、経営的に見ると、JAとしてはあってもなくても変わらない事業だと思う。
さて、問題は、この174億円の売上が、財務諸表上でどう位置づけられているかである。ここが、今回農協の財務諸表を調べて大変に衝撃を受けたところなのだが、この円グラフのうち、財務諸表に掲載されているのは、紫の部分のたった7.5億円だけなのである。これは、棒グラフの方の「お茶等の買取販売」という項目にあたり、この7.5億円の販売から4.7億円の粗利が生まれている。
では、他の部分はどこに消えてしまったのか?
実は、私も始めて知ったのだが、ここに帳簿上のカラクリがある。農家にとってJAは卸先の一つ、つまり農産物をJAに売却し、JAがそれを市場で売る、のだと思っていた。だが形式的にはそうではなく、あくまで販売の主体は農家で、JAは販売を委託されているに過ぎない。だから農産物販売はJAにとっては受託事業であり、いくら農産物を販売しても売上としては計上されないのである。
だが、実際には農産物の代金はJAから農家に支払われているわけで、一度はJAの会計を通っているお金が財務諸表に載らないのは奇妙である。受託事業だからといって決算に含めなくてもよい道理があるとも思えない。というより、JA南さつまにとって最大の事業である農産物の販売が財務諸表に載っていないということだと、経営者(理事)が業績を評価することもできない。少なくとも民間企業において、メインの事業が財務諸表に掲載されていなければ、とてもまともな決算とはみなされないだろう。
この財務諸表もJA全中の監査と内部監査を受けてOKをもらっているわけだから、この財務諸表がダメとは直ちに言えないが、少なくとも業績がわかりにくい財務諸表であることは間違いない。
それに、私が一番問題だと思うのは、JAの担当の方が一生懸命農産物を販売しても、その業績は財務諸表上では全く評価されないということだ。農家としては農産物を1円でも高く売って欲しいが、JAの担当者が販売に力を入れても、JAの利益には1円も計上されないので、担当者やその上司のやる気も出ないだろうと思う。では、農産物販売の利益はどこに行っているのだろうか?
それは、形式的には、農家へ全て配分されているのである。これは、農家が販売をJAに委託しているわけだから当然だ。だが、この仕組みだとJAの販売担当者には少しでも高く売ろうとする理由がない。委託販売は、JAにとっては損もしないが得もしない事業だからだ。やはり、高く売ったらその分JAが儲かる(あるいは担当者が評価される)、という仕組みにしないかぎり、JA出荷の農産物の価格低迷が解消されることはないだろう。制度というのは、実際に手を動かす人、それを評価する人、それを利用する人に適切なインセンティブがないとうまく働かない。
そして、さらなる問題は、農産物販売の帳簿はどこで誰が管理しているのか? ということである。農家からの受託事業としてJAが農産物を販売しているなら、委託者である農家には事業実績(収支)を報告する義務がある。しかし、農産物販売174億円の、そのお金がどう配分されているのか、実は全く公開されていない。つまり、農家に支払った代金がいくらで、選果や集荷にかかった費用がいくらで、販売手数料がいくらなのかといった収支の全体が全く不明なのである。
これはJAの財務諸表の問題ではないのかもしれない。もしかしたら、農家自身の組合(園芸振興会とか、果樹部会とか、農家の組合組織がたくさんある)の問題なのかもしれない。だが、実態を数字で捉えることなしに、経営を改善していくことは絶対に不可能である。農産物販売の内実が明らかになっていないのは何か理由があるのかもしれないが、現実を直視することは必要不可欠のことなので、農産物販売の収支決算書を共有できるように図っていきたいと考えている。
※ わかりやすくするため事業名を一部改変している。財務諸表上では、上から購買事業、共済事業、信用事業、販売事業、利用事業、その他事業、加工事業、指導事業とされている。
2013年12月11日水曜日
南薩のポストカードはクレジット決済でも買えます
うちでは「南薩の田舎暮らし」というネットショップを「カラーミー」というサービスを利用して開設しているが、このたび「STORES(ストアーズ)」というサービスを利用して、同名のサイトを準備した。
というのも、このSTORESというサービス、無料でショップサイトが開設できるうえ、クレジット決済も月額基本料金なしで利用できる!(ただ、当然だが決済毎の手数料はかかる。)
ネットショップをやっていると実感するが、農産物のような低価格な商品を扱っていると決済というのがけっこうな問題である。振込であれ代引きであれ、決済には手数料がかかるが、1000円のものを買うのに200円も300円も決済手数料を取られるのはいかにもバカバカしい。配送料もかかっているわけなので、配送料と決済手数料という、商品そのものの値段ではないところでお客さんに負担を求めるのは心苦しいし、自分が買う側ならちょっとそういう店では買いたくないと思う。
そのうえ、最近「Nansatz Blue」というポストカードの販売を開始したが、これは450円なので、配送料も含めて600円程度の商品に決済手数料を200円も払うのは現実的ではない。このポストカードは、基本的には農産物を買うついでに買ってもらったらいいかなと思っているが、ついでがない人もいるはずだ。
だから、クレジット決済を導入したらいいわけだが、普通、これはこれで月額利用料がかかる。そこで、ネットショップを2店舗も構えるのは少し無駄な感じもするものの、クレジット決済機能を備えているSTORESでもショップをオープンさせたというわけである。
このSTORES、「最短2分でオンラインストアがつくれる」を売りにしているが、これは本当で、実際に2分くらいで、実に簡単に開設することができた。無料コースだと商品を5つまでしか登録できないといった制限はあるが、基本的な機能はすべて備わっている上にスッキリとしたデザインであり、ネットでちょっとしたものを売りたいという人にはうってつけのサービスだと思う。
現在、こちらの方の「南薩の田舎暮らし」では「Nansatz Blue」以外の商品は登録していないが(というのは、配送の設定の問題があるため)、ネットショップをいくつも持つのは当然好ましいことではないので、しばらくの間は並行して運営してみようと思う。もし、こっちの方がよさそうなら統合することも考えてみたい。
というのも、このSTORESというサービス、無料でショップサイトが開設できるうえ、クレジット決済も月額基本料金なしで利用できる!(ただ、当然だが決済毎の手数料はかかる。)
ネットショップをやっていると実感するが、農産物のような低価格な商品を扱っていると決済というのがけっこうな問題である。振込であれ代引きであれ、決済には手数料がかかるが、1000円のものを買うのに200円も300円も決済手数料を取られるのはいかにもバカバカしい。配送料もかかっているわけなので、配送料と決済手数料という、商品そのものの値段ではないところでお客さんに負担を求めるのは心苦しいし、自分が買う側ならちょっとそういう店では買いたくないと思う。
そのうえ、最近「Nansatz Blue」というポストカードの販売を開始したが、これは450円なので、配送料も含めて600円程度の商品に決済手数料を200円も払うのは現実的ではない。このポストカードは、基本的には農産物を買うついでに買ってもらったらいいかなと思っているが、ついでがない人もいるはずだ。
だから、クレジット決済を導入したらいいわけだが、普通、これはこれで月額利用料がかかる。そこで、ネットショップを2店舗も構えるのは少し無駄な感じもするものの、クレジット決済機能を備えているSTORESでもショップをオープンさせたというわけである。
このSTORES、「最短2分でオンラインストアがつくれる」を売りにしているが、これは本当で、実際に2分くらいで、実に簡単に開設することができた。無料コースだと商品を5つまでしか登録できないといった制限はあるが、基本的な機能はすべて備わっている上にスッキリとしたデザインであり、ネットでちょっとしたものを売りたいという人にはうってつけのサービスだと思う。
現在、こちらの方の「南薩の田舎暮らし」では「Nansatz Blue」以外の商品は登録していないが(というのは、配送の設定の問題があるため)、ネットショップをいくつも持つのは当然好ましいことではないので、しばらくの間は並行して運営してみようと思う。もし、こっちの方がよさそうなら統合することも考えてみたい。
2013年10月8日火曜日
南薩のポストカード「Nansatz Blue」できました
以前お知らせした南薩のポストカード「Nansatz Blue」5枚セットが完成して、「南薩の田舎暮らし」で販売を開始した。
たくさんの素晴らしい写真の中から5枚を選ぶ作業はとても悩ましいもので、正直未だに「あっちの方を入れた方がよかったかなあ」と思う部分もある。特に気になっているのは、いろいろ考えて選んだにも関わらず、なぜか構図が似たようなものが並んでしまったことである。うーん。
とはいうものの、結果的にこれらの5枚は、観光客向けのよそ行きの顔ではない、南さつま市の素顔が切り取られたものになったように思う。これらは最近行政が力を入れている「南さつま海道八景」のメジャーな風景ではないし、迫力のある絶景というわけでもないけれど、地元の方に「自分たちの風景」だと受け取ってもらえるよう願っている。
それぞれの写真はぜひ現物を見てもらうこととして、この機会に、この5枚の写真の解説をしておきたい(順不同)。
○『空色の越路浜』
越路浜は、大浦町の遠浅の海岸である。日本三大砂丘の一つである吹上浜の南端に位置するが、越路浜自体は吹上浜の一部ではない(と思う)。この越路浜の特徴は、非常に遠浅であることで、勾配が15,000の1程度(つまり、15キロ進んで1メートル下がる傾き)しかない。この遠浅の勾配を利用して戦中より大規模な干拓事業が進められ、大浦町は鹿児島県において最大の干拓地を有している。(撮影:愛甲 智)
○『実る金峰町』
金峰町は早期水稲「金峰コシヒカリ」の一大産地であり、その出荷は日本一早い。霊峰金峰山からの石清水に育まれたお米は美味である。金峰町からは、一面に広がる稲穂の海の中に笠沙のランドマークである野間岳が望める。ちなみに、金峰町だけでなく、南薩西部(加世田、大浦町、笠沙町)は早期水稲の産地である。(撮影:愛甲 智)
○『黄昏の後浜』
笠沙の野間岬の根元は、野間池という(実際には池ではなく)湾になっているが、この反対側を後浜といい、ここに立神と呼ばれている大岩がある。この大岩は東シナ海に面して荒波を受け止める存在で、地元の人によれば写真のように鏡のような凪ぎになるのは一年に数回しかないという。(撮影:愛甲 智)
○『野間岳と蕎麦の花』
南薩は早期水稲の産地であるため、水稲後の水田の後作として蕎麦の栽培が盛んである。 長野とか新潟のように、一面の蕎麦の花、とはいかないが、最近では蕎麦の戸別所得保障の制度的後押しもあり産地が形成されつつある。金峰町の「きんぽう木花館」ではそば打ち体験も出来る。(撮影:向江 新一)
○『瑠璃色の坊浦』
坊津町に、網代(あじろ)浜という美しい浜がある。ここは、陸続きではあるが道がないので瀬渡し船を使って行く、プライベート・ビーチのようなところで、その海の青さは本土よりむしろ沖縄に近い。写真は、網代浜を往復する渡し船と付近にある小さな赤い灯台。(撮影:愛甲 智)
今回シリーズ名を「Nansatz Blue」としているが、もし資金が回収できれば、第2弾も作りたいし、例えば「Nansatz Green」とか他の色でもポストカードを作ってみたい。それに「南薩」を銘打っているので、南さつま市だけでなく、枕崎市や南九州市、 日置市へも対象を拡大してもいきたいと思う。また、今回の製作には友人・愛甲くんの絶大な協力をもらったが、地元の人が撮り溜めた素敵な写真を発掘してポスト カードを作ってみたい気持ちもあるし、単にポストカードを作って売るのではなくて、ソーシャル・メディアを使って参加型の取り組みもできたら面白い。だが増刷はしない予定なので、ご関心のある方はぜひ早めにお買い求めいただきたい。ちなみに地元では、「大浦ふるさと館」と「笠沙恵比寿」に置いている(1枚100円、5枚セット450円)。
たくさんの素晴らしい写真の中から5枚を選ぶ作業はとても悩ましいもので、正直未だに「あっちの方を入れた方がよかったかなあ」と思う部分もある。特に気になっているのは、いろいろ考えて選んだにも関わらず、なぜか構図が似たようなものが並んでしまったことである。うーん。
とはいうものの、結果的にこれらの5枚は、観光客向けのよそ行きの顔ではない、南さつま市の素顔が切り取られたものになったように思う。これらは最近行政が力を入れている「南さつま海道八景」のメジャーな風景ではないし、迫力のある絶景というわけでもないけれど、地元の方に「自分たちの風景」だと受け取ってもらえるよう願っている。
それぞれの写真はぜひ現物を見てもらうこととして、この機会に、この5枚の写真の解説をしておきたい(順不同)。
○『空色の越路浜』
越路浜は、大浦町の遠浅の海岸である。日本三大砂丘の一つである吹上浜の南端に位置するが、越路浜自体は吹上浜の一部ではない(と思う)。この越路浜の特徴は、非常に遠浅であることで、勾配が15,000の1程度(つまり、15キロ進んで1メートル下がる傾き)しかない。この遠浅の勾配を利用して戦中より大規模な干拓事業が進められ、大浦町は鹿児島県において最大の干拓地を有している。(撮影:愛甲 智)
○『実る金峰町』
金峰町は早期水稲「金峰コシヒカリ」の一大産地であり、その出荷は日本一早い。霊峰金峰山からの石清水に育まれたお米は美味である。金峰町からは、一面に広がる稲穂の海の中に笠沙のランドマークである野間岳が望める。ちなみに、金峰町だけでなく、南薩西部(加世田、大浦町、笠沙町)は早期水稲の産地である。(撮影:愛甲 智)
○『黄昏の後浜』
笠沙の野間岬の根元は、野間池という(実際には池ではなく)湾になっているが、この反対側を後浜といい、ここに立神と呼ばれている大岩がある。この大岩は東シナ海に面して荒波を受け止める存在で、地元の人によれば写真のように鏡のような凪ぎになるのは一年に数回しかないという。(撮影:愛甲 智)
○『野間岳と蕎麦の花』
南薩は早期水稲の産地であるため、水稲後の水田の後作として蕎麦の栽培が盛んである。 長野とか新潟のように、一面の蕎麦の花、とはいかないが、最近では蕎麦の戸別所得保障の制度的後押しもあり産地が形成されつつある。金峰町の「きんぽう木花館」ではそば打ち体験も出来る。(撮影:向江 新一)
○『瑠璃色の坊浦』
坊津町に、網代(あじろ)浜という美しい浜がある。ここは、陸続きではあるが道がないので瀬渡し船を使って行く、プライベート・ビーチのようなところで、その海の青さは本土よりむしろ沖縄に近い。写真は、網代浜を往復する渡し船と付近にある小さな赤い灯台。(撮影:愛甲 智)
今回シリーズ名を「Nansatz Blue」としているが、もし資金が回収できれば、第2弾も作りたいし、例えば「Nansatz Green」とか他の色でもポストカードを作ってみたい。それに「南薩」を銘打っているので、南さつま市だけでなく、枕崎市や南九州市、 日置市へも対象を拡大してもいきたいと思う。また、今回の製作には友人・愛甲くんの絶大な協力をもらったが、地元の人が撮り溜めた素敵な写真を発掘してポスト カードを作ってみたい気持ちもあるし、単にポストカードを作って売るのではなくて、ソーシャル・メディアを使って参加型の取り組みもできたら面白い。だが増刷はしない予定なので、ご関心のある方はぜひ早めにお買い求めいただきたい。ちなみに地元では、「大浦ふるさと館」と「笠沙恵比寿」に置いている(1枚100円、5枚セット450円)。
2013年1月27日日曜日
ようやく、ショップサイトを開設しました。
ようやく、ついに、農産物等の販売サイトをオープンする運びとなった。
サイト名は、つい数日前まで本ブログのタイトルであった「南薩の田舎暮らし」。
ネーミングについてはいろいろ検討したが、良案が浮かばなかったこともあり、ある程度イメージに近いこの名前を流用することにした。いろいろアドバイスをもらっている方から、「タイトルは超重要。3年掛けて考えるくらいでよい」という言葉もあったので、とりあえずこの名称でいってみたい。
ただ、私が農産物の販路を開拓していきたいターゲットである若い(小さな子どもがいる)女性のことを考えると、「南薩の田舎暮らし」だけだとハナがないため、”Live Natural, Meet Local"(自然を生きる、地域と出会う)というキャッチコピーを添えた。英語を添えるだけで、なんとなく雰囲気が明るくなるからすごい。これもくだんの「ある方」からのアドバイスである。
ちなみに、文法的には”Live Naturally"の方が正しいが、キャッチコピーというのは若干文法から逸脱しているくらいの方がいい、と思う。
本サイトのデザインは、基本的な部分は私がやっているが、ロゴやタイトルなど重要な部分は家内が消しゴムハンコで作り、それを私が加工した。若い女性に受け入れられることを考えると、やはり同じ女性がデザインした方が共感を得られると思うし、何よりオヤジのデザインよりかわいい。家内との共同作業の結果、全部一人で作るよりよほどいいものが出来たと感謝している。
サイトのデザインはできたものの、実は中身の方が大変で、受注管理や顧客管理は実はまだほぼ空っぽの状態。デザインは極論を言えばテキストのみでもいいが、裏方はしっかりしていないと商売が成り立たない。目に見えない所の方が大変なんだなあとしみじみ感じる。最初のうちはいろいろ不手際もあるかもしれないが、暖かく見守っていただければ幸いである。
ついでにショップブログもオープンしているので、今後はそちらもどうぞ。
サイト名は、つい数日前まで本ブログのタイトルであった「南薩の田舎暮らし」。
ネーミングについてはいろいろ検討したが、良案が浮かばなかったこともあり、ある程度イメージに近いこの名前を流用することにした。いろいろアドバイスをもらっている方から、「タイトルは超重要。3年掛けて考えるくらいでよい」という言葉もあったので、とりあえずこの名称でいってみたい。
ただ、私が農産物の販路を開拓していきたいターゲットである若い(小さな子どもがいる)女性のことを考えると、「南薩の田舎暮らし」だけだとハナがないため、”Live Natural, Meet Local"(自然を生きる、地域と出会う)というキャッチコピーを添えた。英語を添えるだけで、なんとなく雰囲気が明るくなるからすごい。これもくだんの「ある方」からのアドバイスである。
ちなみに、文法的には”Live Naturally"の方が正しいが、キャッチコピーというのは若干文法から逸脱しているくらいの方がいい、と思う。
本サイトのデザインは、基本的な部分は私がやっているが、ロゴやタイトルなど重要な部分は家内が消しゴムハンコで作り、それを私が加工した。若い女性に受け入れられることを考えると、やはり同じ女性がデザインした方が共感を得られると思うし、何よりオヤジのデザインよりかわいい。家内との共同作業の結果、全部一人で作るよりよほどいいものが出来たと感謝している。
サイトのデザインはできたものの、実は中身の方が大変で、受注管理や顧客管理は実はまだほぼ空っぽの状態。デザインは極論を言えばテキストのみでもいいが、裏方はしっかりしていないと商売が成り立たない。目に見えない所の方が大変なんだなあとしみじみ感じる。最初のうちはいろいろ不手際もあるかもしれないが、暖かく見守っていただければ幸いである。
ついでにショップブログもオープンしているので、今後はそちらもどうぞ。
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