2012年6月5日火曜日

「科学的な農業」の基本的考え方を学ぶ本

6月4日に南九州は梅雨入りし、雨模様の天気である。というわけで『新版 農業の基礎 (農学基礎セミナー)』で農業の基本についてお勉強。

本来は、もっと早くに(就農前に)こういう本を読んでいるべきなのだが、とりあえず動いてから考えるという性分なので今になってしまった。

内容は、まず栽培・飼育技術の基礎となる環境や管理法の総論から始め(第1章)、主要植物の栽培法を概説し(第2章)、家畜の飼育の総説を述べ、イヌ、ニワトリ、マウスの飼育法を概説する(第3章)。最後に「農業・農村と私たちの暮らし」と題し農業を巡る趨勢や農業に期待されている役割を述べて終わる(第4章)。

書名に「基礎」と銘打っているだけあって、具体的な栽培技術などはあまり書かれておらず、第2章の栽培法の概説も、農業の考え方を説明するために具体例を引いているという位置づけに思える。つまり本書は栽培技術の基盤となる基本的考え方を学ぶ本なのだが、その大きなメッセージは「科学的な農業を行うためにはどうすればよいか」ということに尽きる。

それを要約すれば、「栽培植物の特性をよく理解して環境を整え、収量の目標を定めて適切な施肥を行い、生育をつぶさに観察して記録し、収穫時には栽培の結果をまとめて評価と反省を行い、次年度の課題を設定する」ということになるだろう。それ自体は、ずっと昔から行われてきたこととは思うが、例えば生育の観察を厳密に行うには科学実験のような記録が必要なように、なんでも厳密に実践しようと思えば科学的にならざるを得ない。

本書では、特に「科学的な農業」という言葉は出てこないが、最小の労力で最大の効果を挙げようとすれば、自然に科学的になっていくのだということが、行間に読み取れる。例えば、限られた紙幅の中であえて一般的でない「マウス」の飼育法を説明しているあたりに著者の科学性へのこだわりを感じることが出来るだろう。

よく「これからの農業は知識集約産業」というようなことが言われるが、本書で当然のように説明されているこのような農業は、農家全員ができるものではないような気がする。というか、私自身、ここまで厳密な管理に基づく農業をする自信が持てないのであった。

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