2012年1月30日月曜日

林業就業支援講習に参加しています

本日1月30日より、厚生労働省が全国森林組合連合会に委託して実施されいている「林業就業支援講習」に参加している。

鹿児島では、鹿児島県林業労働力確保支援センターが実施しており、私は「森の研修館かごしま」という研修所に宿泊しながらこれから20日程度の研修を受ける予定である。

もとより林業作業員になりたいわけではないが、山づくりに取り組むに当たっては、チェーンソーや小型重機を使えるに越したことはなく、このような研修を受けることとした次第である。

1日目を受けた感想としては、研修資料などはなかなかよく準備されていて、眺めていて楽しく、よい研修だと思う。宿泊施設も一泊300円という低額ながら、一通りのものは揃っているし、インターネットの環境がないことを除けば居心地は悪くない。

研修が終わってからは、1時間程度、この森の研修館かごしまのある蒲生町を散策したが、この町も長い歴史を持つ趣のある町である。散歩の目的地もたくさんありそうだ。

というわけで、しばらくは林業の勉強に落ち着いて取り組みたい。

2012年1月28日土曜日

古民家——適材適所の家づくり、山づくり

古民家を隅々まで掃除すると、改めてその構造と材の使い方の丁寧さにハッとする。

構造材には堅く頑健な重い木を、意匠や建具には加工しやすい柔らかく軽い木を使っている。しかも、求められる強度に合わせてその太さを変え、木目と節の見え方まで計算されているように見える。

まさしく、「適材適所」だ。

現代の建築のことはよく分からないが、基本的には材が規格化されているし、普通住宅ではこのような細かい気遣いはなされていないのではないかと思う。

これに関してもう一つ驚くのは、これらの材は全て自家林あるいは集落の山から調達してきたものだということだ。現代では、どこからでも材木を仕入れることが可能だろうが、昔は材も自給自足していたので、これらの材は全て手近にあったものである。

ということは、構造材、内装材、仕上げ材などになり得る木を予め植えてなくてはいけない。つまり、家づくりの前に、山づくりがなくては適材適所の家はできなかったことになる。改めて、昔の人の、自然を管理する術には賛嘆せざるを得ない。

2012年1月27日金曜日

大島紬、正確無比な染織と完全分業体制

鹿児島、天文館のマルヤガーデンズで開催されていた「さつまの伝統的工芸品フェスタ」で大島紬を見た。大島紬は今までも何度か見たことはあったのだが、改めて驚嘆した次第である。

とにかく、染めと織りが半端なく正確である。大島紬は「(つむぎ)」と名付けられているが、実態は「(かすり)」である。つまり、一度染めのために織締させ、それを解いて染色してからもう一度織る。絣は、このような工程を経ることによる誤差で、模様がかすったようになることからカスリと呼ばれるわけだが、大島紬の模様は正確無比であり、全くかすっていない。

正確無比な染めと織りが出来ることで、大島紬では、本来、絣とは相性が悪いはずの精緻な紋様が発達したように見受けられる。非常に精緻な幾何学紋様が絣で表現されているとは、一見信じられないほどである。しかも、今回展示されていたものは、伝統的な幾何学紋様をベースにしていながら、極めてモダンなデザイン性を感じさせるものばかりで、非常に魅力的だった。

また、イベントとして織りの体験が準備されていたが、その織り子のおばあちゃんとちょっと話すことができた。この道数十年のベテラン、という方だったけれども、「今でも、模様をつくる織り始めの時は、凄く緊張するんです。あらゆる雑音を入れずに、出来れば鍵をかけてでも一人だけになってやるんです」とおっしゃっていた。

やはり、絣であの精緻な模様を出すのは半端なことではなかったのだ、と納得した。また、そのおばあちゃんが教えてくれたところでは、大島紬ではデザイン、染め、織りなど各工程が完全分業になっているそうだ。これによって正確無比な模様が実現できるのかもしれない。

とはいえ、伝統工芸品は大抵分業して制作されている。アダム・スミスが言ったように、複雑な作業は分業によって効率化される。長く残ってきた伝統工芸の多くは、効率化の圧力に晒され続けてきたことで分業体制が自然に確立したのかもしれない。

ところで、分業しているから凄い、ということはないが、地域の特産品として成立するためには、地域内で分業していることが必要なのだと思う。そうすれば、各戸は独立した経営体であっても、その地域は全体として一つの企業のように経営しうる。大げさに言うと、経営の大規模化ができるわけである。

もちろん、一人で全ての工程をこなす芸術家タイプが創る伝統工芸品もあるが、そういうのは、地域の特産品ではなくて、やはり個人の職人の作品、という側面が強い。地域振興の観点から特産品を考えると、地域内での分業体制が重要ではないか、と思ったりした。


九州新幹線開業1周年記念イベント
かごしまの匠展 第一弾
期間  1/25(水)~29(日)[※最終日は17:00まで]
場所  マルヤガーデンズ 4F garden4,cafe garden
主催  本場大島紬織物協同組合・鹿児島県陶業協同組合

期間  1/28(土),29(日)[1席目 11:30~/2席目 13:30~/3席目 15:30~]
場所  マルヤガーデンズ 7階 open garden

2012年1月25日水曜日

存在感が希薄なポンカンですが、栽培にトライしてみます

ポンカン作りに取り組んでみることにした。

面倒見がよい先輩農家に紹介してもらったのだが、ポンカン栽培をされている方が生産を縮小するということで、そのポンカン畑を貸してくださることになったからだ。

ところで、生産するからには需要がなくてはいけない。ポンカンの需要はどうなんだろうか? 仄聞するところでは、あまり振るわないらしい。かつてポンカンはお歳暮の贈答用果物としてある程度のプレミアがあったが、最近ではあえてお歳暮にポンカンを贈りたいと思う人は多くない。

理由はいろいろあるだろうが、ポンカンの存在感が希薄なことも一因と思う。ミカンと比べて味はどうか、と言う前に、そもそもポンカンの味を想起できる人が少数派だ。「なんだか皮が剝きにくい」とか「皮がきれいじゃない」というくらいの印象を抱いている人は多いが、味の方は「特別マズくはなかったと思うが…」という程度ではないだろうか。

ポンカンは日本では明治29年に栽培が開始された作物で、少なくとも500年は食べられているミカンと比べて浸透度が低いのは当然と言えば当然だ。とはいえ、独特の芳香を持ち、甘みが濃厚で酸味が少なく、「東洋のベストオレンジ」と呼ばれたほどおいしい果物であればこそ、明治の先人はこれをわざわざ輸入、栽培したのである。ちなみに、良品は皮も剝きやすい。

では、なぜそのようないいイメージが浸透していないのだろうか? 大きくは次の3つの理由があると思う。

第1に、生産量が多くないこと。果樹は植樹から収穫までに時間がかかり、一度植えたら簡単には転作できない。つまり、リスクがあるのでジワジワとしか生産が広まらない。生産量が少なくては、食べた人の数も少ないので、どんな印象であれ浸透しにくいのは当然だ。

第2に、より高品位な果樹が品種改良によってたくさん開発されたこと。ポンカン自体、品種改良されタンカンデコポンを生み出している(正確にはタンカンは自然交配らしいが)。柑橘系のみならず甘みの強い品種が近年数多く生み出されており、正直ポンカン程度の糖度では「甘みが濃厚」とは言えなくなってきている。さらに、品種改良された柑橘類が多く出回ったことにより、ポンカン栽培の歴史は実際には短いにも関わらず、どことなくポンカンが古くさい印象になってしまった可能性もある。

第3に、これまでポンカンの品質管理が十分でなかったということがあるかも知れない。上述の通り、ポンカンにいい印象を持つ人は少ないが、それはこのあたりが産地であるが故に余り物のポンカンを食べ(させられ)てきたことに由来するだろう。柑橘類のみならず、一般に果物の糖度は(日当たりの差などにより)玉ごとに違う。様々な品質のものを「ポンカン」として出荷してきたからこそ、いいイメージが定着しなかったのかもしれない。

実際、デコポンは未だ浸透度が高いとは言えないながら、「甘みの強い柑橘類」というイメージが確立しつつある。なぜなら、デコポンは「不知火」という品種の収穫物のうち、糖度13度以上のもののみを「デコポン」と認定するという品質管理がされているからだ。ちなみに、デコポンは全国統一糖酸品質基準を持つ日本で唯一の果物らしい。

ところで、ポンカンは私の住む鹿児島県南さつま市大浦町の特産品だ。せっかく特産品を栽培するのだから、微力ながらその振興にも寄与したいと思う。もちろん、まずは人様に召し上がって頂くに十分なポンカンを作れるようになることが第一だが、都会からの移住者として新しい風を吹き込むことも期待されているのだと思う。

先述した3点を踏まえると、ポンカンの進むべき道はぼんやりと見えているのではないかと思うが、具体的にどうやって需要を掘り起こしていくか、実際に栽培しながら考えたい。

SoftBankのホワイトBB(電話加入権不要タイプ)はお薦めできません

タイトルの通りである。

古民家に暮らすことになり、電話を引く必要があったので、その値段の安さからSoftBankのホワイトBB(電話加入権不要タイプ)を申し込んだ。

ホワイトBBは、SoftBankモバイルのユーザーなら通常タイプ1980円/月、電話加入権不要タイプでも3680円/月でADSLとIP電話が使え、さらに初期投資も0円なので、確かに安いことは間違いない。

「通常タイプ」と「電話加入権不要タイプ」の違いは、要はNTTに基本料金を払わなくてはならないかどうか(と思っていた)なので、加入権不要タイプを契約した。が、今は通常タイプにすればよかったと後悔している。

理由は、このIP電話がフリーダイヤル、フリーコールに繋がらず、さらには緊急電話(110番とか)にもかけられない、ということによる(通常タイプならそういうことはないようだ)。

今時、気の利いた企業なら、問い合わせの電話はフリーダイヤルになっていることが多く、それが使えないのは極めて不便である。また、緊急電話が使えないというのは、通常は何も困らないが、いざという時に大変なことになる。何しろ、うちは家の中が携帯圏外なのだ…

IP電話だから、技術的にフリーダイヤルに繋がらないとか、緊急電話に繋がらないというわけでないはずだ。なぜなら、以前KDDIの同種のADSL・IP電話のサービスを(もちろん電話加入権なしで)使っていたが、KDDIの方ではそういう不都合はなかった

だから、この制約は技術的には克服できるはずだ。是非SoftBankには対処してもらいたいと思う。お願いします。

古民家の掃除でボロぞうきんが現代美術に

古民家の掃除は大変である。

掃除というのはどんな家でもそれなりに大変だが、古民家へ移住したての掃除はかなり大変だ。

そもそも、何十年間も溜まった汚れを落とすのは骨が折れる。これは、普通の中古住宅にはないだろう。

そしてもう一つは、必ずしも汚れを落とすのが家にとっていいわけではない、ということだ。つまり、数十年を経た材のその風合いまで落としてしまっては味気ない。だから、例えば「激落ち君」のようなものを使って汚れを落としてしまうと、材の風合いが落ちてしまったりする。

古民家の掃除は、汚れを落とすのではなくて、家を美しくすることでなくてはならない。

そこで、掃除の中心はぞうきんでの水拭きになる。そして、ぞうきんは写真のようにボロボロになってしまう。この穴だらけのボロぞうきんは、まるで、現代美術の立体作品のようで、つい写真を撮ってしまった。

2012年1月23日月曜日

古民家の物件を見つける一つの方法

全国のいろいろな自治体がやっていると思うが、「空き屋バンク」というのがある。私の住む南さつま市にも、それはある。

私は、狙ってそうなったわけではないけれど、一応「古民家」と呼ばれるものに住んでいる。古民家には、今の家にはない魅力があるから、多くの人が憧れる。しかし、古民家の物件を見つける手段はあまりない。それは、古民家と呼ばれる物件が、通常の不動産マーケットに出にくいことによる。

そこで、もし、古民家の物件を探している人がいたら、地域の「空き屋バンク」をチェックするのは損ではない。「空き屋バンク」というのは、空き屋になった住居を自治体に登録しておき、希望者が参照できるシステムで、通常、普通の不動産情報誌(例えばSUUMOとかCHINTAIとか)と同じ機能を果たす。

一見「そんなのは行政がやらなくても、民間の不動産屋に任せればいいじゃないか」と思うが、存在意義はある。なぜか。

まず、田舎の空き屋というのは、通常の不動産マーケットには相容れない物件が多い。築年数が何十年を超えていたり、住むために大規模な改修が必要だったり、そもそも、持ち主が貸すことにあまり積極的でなかったりする(これが一番大きい)。

そこを、「地域資源を生かす」という名目で行政が不動産業者との橋渡しをするわけだ。田舎では、行政と人々の暮らしは近い。役場の人に「○○さん、空き屋にするなら、空き屋バンクに登録しておきませんか?」と勧められて登録するのは、不動産屋に仲介を依頼するよりもずっと敷居が低い。

だから、古民家みたいな、普通の不動産マーケットには出にくい物件が、そこには登録されていたりする。 南さつま市の空き屋バンクのWEBサイトを見ていてびっくりしたのは、建築年次が明治18年の物件が成約を見ていたことだった。明治18年といえば、1885年。築130年近い古民家だ。こんなのは、普通の不動産情報誌には、まず出てこない。

ただ、南さつま市の空き屋バンクに登録されている数は、まだそんなに多くない。実際には、空き屋となっている建物はずっとたくさんあるので、もし空き屋を持っている人で貸してもいいと言う人は気軽に登録して欲しいし、またそれを促す意味でも、空き屋を探している人には積極的に使ってもらいたいと思う。