2022年10月17日月曜日

ボロクソに否定した会議のメンバーに。「かごしま文化未来創造プロジェクト会議」

ひょんなことから、「かごしま文化未来創造プロジェクト会議」という会議のメンバーになった。

この会議は、「鹿児島県文化協会(会長:原口泉さん)」が主催するもので、「鹿児島の文化振興ビジョンを作りあげること」と目標には掲げているが、実際には「今後の文化協会はどうしていくべきなのか」という危機感に基づいている。

みなさんは、文化協会というものをご存じだろうか。多くの自治体で地域の「文化フェスタ」とか「文化祭」を開催しているのが文化協会である、と思っていただいて間違いない。

例えば、南さつま市の場合は「南さつま市文化協会」があり、これは旧市・町の5地区の文化協会で構成される団体である。うち「加世田文化協会」は例年文化の日に文化祭を開催している。こういう団体が各市町村にあって、その連合会が「鹿児島県文化協会」である。

【参考】 鹿児島県文化協会
http://www.ka-bunkyo.com/index.php

では、各地の文化協会は誰が加入しているのかというと、いわゆる文化団体がこれに当たる。例えば、短歌の会、演劇団体、コーラスグループ、お茶やお花のグループ、伝統芸能継承グループ、エッセイクラブ、日本舞踊の会などなど、である。こういう会は、元は公民館講座だったり、自然発生的な活動であったりするが、とにかく小さな団体が多い。ということは、なかなか単独で発表の場を設けられないし、横の連携もやりづらい。

ということで、そうした小さな団体が寄り集まって「文化祭」をやったり、会報を出したりすることで活動をやりやすくしましょう…というのが地域の文化協会の設立趣旨である。これは自然に出来たのではなく、国が「これからは生涯学習の時代だ」と旗を振って、地方自治体に呼びかけた結果である。それが約50年前。

その頃は、日本は高度経済成長の時期で、サラリーマンと専業主婦が出来て、特に専業主婦が日中の余った時間を有効に活用するために「生涯学習」に勤しむようになった時代でもあった。しかしご存じのように、その後が続かなかった。バブル崩壊後、人々の生活には余裕がなくなり、例えば日本舞踊を習うような、そんな雰囲気は無くなったのである。また人々が学ぶ内容も、時代とともに移り変わっていった。

結果として、その時に出来た文化団体はそのまま高齢化していったところが多い。設立当時に20歳や30歳だった人が、今でも70歳や80歳になって続けているばかりで、若い人があまりいないという状況になっている。もちろん、それでも続けているところは立派で、多くの団体は解散してしまった。特に舞踊関係の壊滅ぶりは、滄海変じて桑田と為す観があるという。

そういう文化団体の連合会が「鹿児島県文化協会」だから、当然にここの将来は暗い。会員団体数の減少、役員や運営を担ってくれる人の高齢化など、単位団体が抱える問題と同じ課題が襲ってきている。

ちなみに、「鹿児島県文化協会」にはほとんど補助金も投入されておらず、会員団体が納入する会費が頼みである。となると、このままでは運営が立ちゆかなくなるのは必定なのだ。

…というようなことを考えていくと元気がでないので、もっと前向きに「鹿児島の文化振興ビジョンを作りあげること」を名目として、文化協会の運営に限らない夢のある話をしよう! ということで招集されたのが冒頭の「かごしま文化未来創造プロジェクト会議」なのである。

で、私に白羽の矢が立った理由は、このコアメンバーである南さつま市文化協会のK会長からの推輓による。先日、K会長が訪問されて、会議の意義を縷々説明してくださった。

それに対し、私は初対面であるにも拘わらず「こんな会議は時間の無駄」とボロクソに否定した(関係者のみなさんスミマセン)。

というのは、資料の最初に「新しい文化を創造します」と書いてあったからで、今の文化を守っていくことすら出来ていないのに、新しい文化なんか出来るわけがなく、「新しい文化を創造します」などと言っている人は文化のなんたるかを全く理解していないと思ったからである。

もちろん資料の最初からこの調子だから、全体的にツッコミどころが多く、当然に会議メンバーを断るつもりだったのだが、意外や意外、K会長が「そういう話をしてほしいんです!」というものだから、断ることができずに引き受けてしまった。

これから数回の会議を行い、1年ほどかけて議論をまとめるそうである。正直、場を乱すことくらいしかできそうにないが、せっかく参加させてもらうことになったので、真面目に考えていきたい。

(つづく)

↓「文化かごしま 124号」抜粋




2 件のコメント:

  1. 本当ですよね。

    まずは口を出せと言うなら金を出せと言いたいです…話はそれからだと思うところもありますがそれこそこの会議に関してもボランティアじゃなくて仕事として給料払ってもらって会議の為の会議じゃない実のある議論をお願いしたいです。

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  2. k会長の吸引力は半端ないですぞ。
    田舎で地道に活動している人もおります。
    もうすぐ加世田で文化祭、そして加世田文化協会創立50周年記念式典も開催されます。

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