2012年4月29日日曜日

太陽光発電パネルと余剰電力買取制度

我が家に太陽光発電パネルを導入した。エネルギーの自給自足はこれからの時代重要なことと思うので、貯蓄面ではあまり余裕がないがちょっと無理してみた。

出力は3.68 kW。メーカーはサニックス。値段重視のメーカー選択が吉と出るか凶と出るか…。細かく見れば、性能は各社でバラツキがあると思うが、結局は大同小異だと思いたい。

また、太陽光発電パネルは価格の下落が続いていて、年30%下落するという商品もあるので、今年設置したことは費用対効果的にどうだったか、これは来年になってみないとわからない(激安になっていたらどうしよう…)。ただ、変換効率は頭打ちになっている状況のようなので、性能については格段の進歩はなさそうだ。

さて、太陽光発電による余剰電力は1 kWhあたり42円(2012年4月現在)で電力会社に買い取って貰え、しかも法律によりこの価格は10年間据え置かれることになっているので、パネル設置の費用は8年程度で元が取れる計算になる。とはいえ、法律など政府の都合が悪くなればすぐに改正されるものだから、この先売電価格が実際どうなるか分からない。

しかし、(1)原発再稼働に向けた情勢の不透明性、(2)石油の世界的需要増と中東情勢の不安定化による価格高騰、(3)これからの円安リスク、の3点を考えると、エネルギー価格はより高くなる可能性が大きく、仮に法律が改正されても、ひどく損するということはなさそうだ。

ところで、導入した立場でいうのも何だが、1 kWhあたり42円というのは、買電価格(約8円/kWh)に比べてべらぼうに高い売電価格で、パネルの設置自体にも国や自治体からの補助があることを考えると、非常に不公平な政策であると思う(ちなみに、私は今回補助は受けていない)。

というのも、売電・買電の価格差はいずれ電気料金に反映されるわけで、太陽光パネルが普及すればするほど、(理論上は)普通の電気料金は上がっていくということになる。しかも、太陽光発電パネルが導入できるのはある程度余裕のある家計になってくるので、太陽光発電優遇は、極端に言えば貧困層から富裕層への電気料金による所得移転と言えるのである。

このような政策が長続きするとは思えないし、そもそもこれは太陽光発電パネルを普及させるための一時的なカンフル剤として実施されているものなので、早晩このような状況は是正されるはずだ。それまでは、ちょっと後ろめたい気持ちで、この余剰電力買取制度を活用させてもらおう。

3 件のコメント:

  1. こんにちは。えびの人です。

    このテーマには本当に考えさせられますね。特に以下のくだり。

    「・・・しかも、太陽光発電パネルが導入できるのはある程度余裕のある家計になってくるので、太陽光発電優遇は、極端に言えば貧困層から富裕層への電気料金による所得移転と言えるのである。」

    この制度の恩恵に与れる人は、もともとが豊かな階層の人たちが多いはずで、自分の周辺をみてもまったくそのとおりです。
    電力供給の担い手の創出のためには仕方ないとも思いますが、補助金を拡大してソーラーパネルをもっと買いやすくすると公平感もあってよいのでしょうけれど。
    あ、これってエコカー購入と一緒の構図ですね・・・。

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    1. いつもコメントありがとうございます。

      余剰電力買取制度、そしてその発展系である固定価格買取制度を導入された方々は、再生可能エネルギーの普及という目先のことにとらわれるあまり、社会全体のことを考えていないフシがあります。本来は、エネルギーの安全・安価・安定を確保するのがエネルギー安全保障の基本であり、安価と安定に反する再生可能エネルギーを国策として進めること自体に違和感があります。「なんとなくいいものそうだから」という漠然とした期待感から再生可能エネルギーが推進されているような気がして仕方ありません。

      そういうわけで、太陽光パネルを導入したことについては、今でも正しい選択だったか悩んでいます(金銭的には元が取れると踏んでいますが…)。

      本当は、パネルなんかよりも薪の風呂とか、薪のカマドといった家にもともとあったものを使って、山からの恵みを活かした暮らしがしたかったのです。しかし、薪の風呂は金属が腐っていて使えず、またカマドは現実的に家内の家事の負担になることからそうできませんでした。

      ともかく、冷静なエネルギー安全保障の議論に立脚し、どのようにエネルギーを供給していくかということを真剣に検討すべき時期に来ていると思われますが、いかがでしょうか。

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    2. えびの人です。

      現在私は借家に住んでいますが、実家の風呂は薪をくべて湯を沸かすのです(補助的にボイラーも使います)。
      薪は自家の山から風倒木などを適当に伐って、軽トラで運んできます。

      何とも昔のやり方なのですが、借家のガス湯沸かし器の湯を張った風呂などとは、比較できないぐらいの気持ちよさです。
      いつまでも、体がポカポカして・・・
      これも立派なエコなエネルギー利用ですよね。

      さて、エネルギー問題は昔から原油(石油)高になるたびに蒸し返されてきたテーマのように思います。遥か昔、私が中学生のころには、(石油)代替エネルギーが大きく取り上げられたことがあるように思います。
      そして、あと石油は○○年しかもたない!などと言われていたものです。いつの間にか、危機が過ぎ去ると、また石油を使い放題の生活・・・

      ですから、個人的には原油価格が落ち着いたら、「余剰電気買取制度?昔そんなのあったよね・・・」みたいになる気もします。

      そういうことにならないためにも、真剣に次世代のためのエネルギー論議がなされるべきだと思います。

      また、電力の供給の多寡によって、経済がうまくいくものでもなかろうと思いますので、電力会社が崇め奉られ、特別な存在に扱われるような制度や仕組もなくしていくことが必要だと思います。

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