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2016年7月5日火曜日

7月15日、「加世田かぼちゃ闇市」と「南薩日乗サロン」を開催

2016年7月15日(金)、鹿児島市名山町のレトロフトに出没して、「加世田かぼちゃ闇市」と「南薩日乗サロン」を開催します!

まずは「加世田かぼちゃ闇市」の方から。レトロフトでは毎週金曜日に半地下スペースで出張販売を行う「レトロフト金曜市」という催しが開催されている。これは、そこに出店させてもらって、私の農業経営における主要作物である「加世田のかぼちゃ」を販売しようという取組だ。ではなんで「闇市」なのかというと、「加世田のかぼちゃ」というブランド野菜は農協が商標を持っているので、本来は農協以外が「これは加世田かぼちゃですよ」といって販売してはいけない。農協に出荷するものと同じ基準を満たしていても、個人で販売する場合は、あくまでただの「かぼちゃ」として売らないといけない。

だが、「加世田のかぼちゃ」というブランド自体が県内でもあんまり認知されておらず、またほとんどが東京や大阪に出荷されてしまうことから、鹿児島市では売っているところを見たことがない。せっかく立派なブランド野菜があるのに、鹿児島市の人は見たことも聞いたことも、当然食べたこともない、というような存在になってしまっている。

もちろん、東京や大阪の人たちに高いお金を出して買ってもらったら、いわゆる外貨獲得になるのでいいことである。でも地元の人たちには手に入らない、というのは残念だ。というわけで、 敢えて商標の禁を犯して、私の育てたかぼちゃを「加世田のかぼちゃ」として、レトロフトで「闇販売」してみることにした。もちろん農協に「加世田のかぼちゃ」として出荷したものと同じものである。

鹿児島市で「加世田のかぼちゃ」が手に入る機会は本当に少ないと思うので、この機会にぜひお試しあれ! なお、当日は包丁を持っていって、量り売りする予定である(1個そのままも持っていきます)。そして、かぼちゃを使ったお菓子なども販売するし、もちろんいつも通り南薩コンフィチュール「うめ」も持っていく予定。

で、次の「南薩日乗サロン」がこの記事の本題。

以前、「マルヤガーデンズで講演をすることになったのですが…。 」という記事を書いた。 要するに、「秋に田舎暮らしについて講演することになったのだけど、何をしゃべったらいいのかいまいちピンと来ないんです」という話である。

で、この記事を読んだレトロフトのオーナーから連絡があり、「もしレトロフトがお役に立てるなら、予行練習として金曜市の時間帯かで、隣の空いたブースで『田舎暮らし座談会』とかされてもいいですよ。少人数での気楽な茶話会でも。」というお話があったのである。
こんな風に言われたら、やらないワケにはいかない。

最初は「懇話会」みたいなものを考えていたが、それだと参加者同士の話が中心みたいな雰囲気になるし、一応自分が中心で話すという趣旨は明確にしつつ、お茶やお菓子を食べながら気軽に話すという意味を込めて「サロン」としてみた(「サロン」は、元々は主人が取り仕切るサークルのことを言う)。内容は、基本的に「南薩の田舎暮らし」(というより私?)の活動紹介を行いつつ、田舎暮らしについての考えをボツボツとしゃべってみるというもの。でもそもそも、「何をしゃべったらいいのかいまいちピンと来ない」というところから始まっているので、話が支離滅裂になるかもしれない(でも一応、資料なんかも持っていこうと思っている)。

よって、あるテーマについて語る会、というよりも、一種の「オフ会」みたいなものとしてやってみることにした(このブログを見ている人くらいしか参加者が想定されないですしね)。だからタイトルが「南薩日乗サロン」なんである。

時間は、金曜市をやっている最中の14:00〜16:00くらい。この時間帯はお客さんが少なくなるので、ちょっとだけ販売を中座させてもらってサロンを行う。一応「サロン」と銘打っているので、飲み物とお菓子を準備する予定である(お菓子代を300円〜500円くらいとるかも)。

その準備の都合もあるので、参加したいという方はコメント欄にでも書き込むか(もちろん匿名で可)、後日Facebookでイベントページを作るのでそちらで「参加」のボタンを押すかでご連絡いただければ大変幸いである。Facebookイベントページをつくったので、「参加」のボタンを押していただければ幸いである。

秋の講演のテーマは「田舎工学」としているけれども、それだけにこだわらず、鹿児島に生きる皆さんが、生活する上でどういうことに関心を持っているかということを学ばせてもらい、本番の講演内容の検討に活かしたいと思うので、ぜひよろしくお願いいたします!

【情報】レトロフト金曜市
2016年7月15日(金)11:00〜19:00
鹿児島市名山町のレトロフトの半地下スペース
当日は、「南薩の田舎暮らし」の他に「笹野製茶」も出店します。

2015年6月27日土曜日

かぼちゃは何のために実るのか

かぼちゃは、何のために実るのだろうか?

次世代を残すためでしょ? と思うかもしれないが、ちょっと他の植物のことを考えてみよう。植物が実るのは何のためなのか。

例えばイモ類。イモ類が土の中に丸いイモを作るのは、数ヶ月後の次のシーズンまで生き残るためのタイムカプセルのようなものである。

例えば果樹類。多くの果樹は元々は鳥や動物に食べられてフンとして排出してもらうためで、自分では移動できない植物の移動手段になっている。

もちろんこのように単純には分からない植物も多い。人間が植物を栽培し始めてから約1万年も経っているので野生の形質がほとんど残っていない植物もある。例えばトウガラシなんかは何のために実るのか私にもよくわからない。あれを食べる動物はいないと思うが…。

で、かぼちゃである。かぼちゃの実は何のために成るんだろうか? 正確に言えば、かぼちゃの原種はどのような生存戦略の下で実をならせていたのだろうか?

かぼちゃが栽培植物化されたのはメソアメリカ(メキシコあたり)で、約1万年も前のことである。実はかぼちゃは最古期から栽培されている植物の一つなのだ。

この頃のかぼちゃ原種(正確にはペポカボチャの原種)の果肉は食べられなかったらしい。では何のためにこれを古代人は育てたのかというと、かぼちゃの種を食べていたのだ。そう、かぼちゃは元々種を食べる野菜だった。それから果皮を乾燥させて容れ物にしていた。今で言う瓢箪みたいなものらしい。オルメカ文明やアステカ文明の遺物には、かぼちゃ型の土器や石器が存在するが、これはかぼちゃを容れ物に使っていたことの象徴である。

話を戻すと、要するに、元々かぼちゃというのは果肉は食べられないものだった。

で、ここからは私の推測なのだが、かぼちゃの実は動物に食べられるためではなく、種が発芽する際の栄養パックとして存在したのではないだろうか。つまりかぼちゃの果肉は「肥料」だということだ。

実はかぼちゃというのは大変に肥料分を必要とする。普通の野菜というのは、最初はちょっと痩せたところで発芽させて徐々に追肥していく方が調子がいいように思うのだが、かぼちゃの場合はたくさんの元肥(特に有機質肥料)をあげて肥満気味に育てるのがよいようである。これは野生の頃から変わっていない性質なのかもしれず、そのために肥料分がぎっしり詰まった果肉が存在したのだろう。

つまり、かぼちゃの果肉は腐って肥料になるために存在しており、元々(動物にも!)食べられるものではなかったのかもしれないということだ。そういえばかぼちゃ類は腐ると悪臭を放ち、大抵の動物は寄りつかないがこれは種を食害から保護するための策なのかもしれない。

いつの頃にかぼちゃの果肉が美味しくなるという突然変異が起こったのかはよくわからない。かぼちゃの系統関係というのも、意外と錯綜としていて不明である。日本ではかぼちゃは「西洋カボチャ」「日本カボチャ」「ペポカボチャ」の3つに大きく分かれると書いている資料が多いがこれは日本独自の分類(!)で、英語資料ではこういう分類は見たことがない。

といっても英語圏でも系統的にかぼちゃが分類されているわけではなく、古い古い栽培植物だからその遺伝関係はもうわけがわらからなくなっているのかもしれない。ただ慣用的には、summer squash, winter squash の大きく2つに分けて認識されており、日本で言うセイヨウカボチャは winter squash の acorn squash に当たるようである(これは誰も言っていないようなので間違いかもしれませんが)。

こんな風に、「かぼちゃは何のために実るのか」などということを考えても農業そのものにはあまり役に立たないが、農作業をしながらこういう無駄なことを考えるというのも農業の醍醐味かもしれない。

※冒頭画像はこちらのサイトからお借りしました。→ The Olmec Effigy Vessels

【参考文献】
"The Initial Domestication of Cucurbita pepo in the Americas 10,000 Years Ago" 1997 Bruce D. Smith

2015年3月22日日曜日

「加世田のかぼちゃ」とは

先の記事で、「加世田のかぼちゃ」のチラシをデザインしたということをお知らせしたのだが、そこでも触れたように「加世田のかぼちゃ」は一体どういうものなのか、ということはこれまで意外と説明されていなかった。

というわけで、参考までにその部分を紹介しておく。

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加世田のかぼちゃ

 Policy “普通のかぼちゃ”をこだわりの栽培で特別なかぼちゃへと変える

「加世田のかぼちゃ」は品種名ではありません。品種の中心は一般的なかぼちゃである「えびす」。その“普通のかぼちゃ”をこだわりの栽培によって美味しく育てたものが「加世田のかぼちゃ」なのです。

1 積算温度に基準を設け “熟成度”をチェック

「加世田のかぼちゃ」は、畑で十分に熟成させてから収穫します。生産者が交配後の日数等を記録し、積算温度1100度という基準に達したところでサンプルを収穫、選果場で試し切りします。皮際まで熟しているか、種は充実しているかといった厳しいチェックを受けてから本収穫。そうやって担保されたバラツキのない高品質さが「加世田のかぼちゃ」の誇りです。

2 収量を犠牲にして 養分を集中させる

一蔓につけるかぼちゃの数は葉の数で決まります。しかも基本的に蔓ごとに1つずつならせて順次肥大させ、一蔓あたりのかぼちゃの数は最大でも3個! もちろん収量は減りますが少数の実に養分を集中させることで、より大きく充実したかぼちゃを実らせています。

3 丁寧な「芽欠き」で蔓の本数まで管理

かぼちゃの蔓は放っておくと縦横無尽にはびこります。しかし不必要な芽を丁寧に取り除き、蔓の本数までも管理するのが「加世田のかぼちゃ」流。このため芽が伸びるシーズンには、芽を取り除く手間のかかる「芽欠き」作業を連日行っています。

4 花の段階で選別・受粉

立派なかぼちゃに向けた選抜は、花の段階から始まります。蔓に実をつける位置も調節し揃える上、大きく優良な雌花だけを選んで受粉させています。

5 美味しいのは当たり前 その上、美しく

かぼちゃの下に透明のシートをしたり、立体栽培したりすることにより、土に直接つけずに均等に着色するようにして、キズが少なく色むらのない美しいかぼちゃが出来るのです。
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ちなみに、一応「南薩の田舎暮らし」が請け負ったのは「デザイン」であるが、実質的にこの説明文も当方で作成したものである。「積算温度」やら「芽欠き」やら、一般の人たちにはちょっとわかりにくいんじゃないの〜と言われながら、やはりそういう言葉をちゃんと出した方が誠実で、意外と分かってもらえるのではないかという考えで上のような説明にまとめた。

また、こういう農産物紹介にはかなりの確率で現れる「農家の愛情を受けて育てられた〜」のような言葉は絶対に使いたくなかったし、同じく農産物紹介の頻出単語である「手間ひまがかかった〜」も具体性がなく独善的(たいていの農産物は手間ひまがかかるものだと思います)なので、そういう叙情的単語を使わずに、栽培の特徴を素直に伝えようとした結果でもある。

少し心残りな点があるとすれば、あくまで栽培方法だけにフォーカスしているところで、本来は「このような栽培方法のお陰で他のかぼちゃとどのような違いが生まれているのか」をより定量的に示せたらよかったと思う。この説明だと、「加世田のかぼちゃ」自体の解説というより、その栽培法の解説という性格が強い。

でも味とか食感の説明とかは、いくらやっても伝わるというものではないし、結局はこのような栽培法の力を信じていただくほかない。「なるほど、加世田のかぼちゃってそういうものだったのか!」と思ってもらえたらとても嬉しい。

2015年3月19日木曜日

「加世田のかぼちゃ」のチラシをデザインしました!

先日、南さつま市役所が「加世田のかぼちゃ」のチラシを作りたいということで、なんと「南薩の田舎暮らし」でデザインを受注した!

「加世田のかぼちゃ」は県のブランド指定を受けてから20年以上経つが、対外的に「こういうものですよ」と説明する資料が乏しく、全国的には(というより鹿児島県内でも)全然認知されていないので、そういうチラシでも作ってもらいたいと思っていたところである。

それをかぼちゃを栽培している自分が構成・デザインできるということで、受注自体とても嬉しかった。だが、こういう資料を農家自身がデザインするということはすごく珍しいことで、もしこれで「やっぱり農家クオリティだよね」と言われるようなことがあれば次に続かない。それに少額とは言え税金を使って作るものだから、納得できる水準のものを作ろうと、素人ながら「あーでもないこーでもない」と悩みながら連夜作業し、つい先日入稿したところである(正直、プロには及ばない出来ですが)。

 →加世田のかぼちゃPR小冊子
  ※データサイズの問題からだいぶ画像を粗くしています

ところで、この冊子を製作する過程でいろいろ取材し、ビックリしたことがある。それは、一応ブランド野菜であるにも関わらず、「加世田のかぼちゃ」が「加世田のかぼちゃ」として売られているところがどうやらないようなのだ!

何を言っているかというと、これはJAが集荷し、市場や相対取引で「加世田のかぼちゃ」として出荷されるわけだが、「加世田のかぼちゃ」という言葉にブランド力がないためか、実際の小売店では単に「鹿児島産」として売られているらしいのである!

市場出荷の場合、これを買っていった卸業者がどのように販売するか追跡はできないので、少数の例外はあると思うが、大まかにいって、「加世田のかぼちゃ」は市場では単に「鹿児島産かぼちゃ」として取引・販売されているのだ。

正直、このことが分かった時、生産者の一人として悲しく思った。「加世田のかぼちゃ」は知られていないマイナーなブランドなのではなく、ブランドですらなかったということなのだ。でも、そもそも「加世田のかぼちゃ」とは何かを対外的に説明してこなかったわけで、それもやむを得ないかもしれない。私もこうして資料にまとめるまで、「加世田のかぼちゃ」が他のかぼちゃとどう違って、何が特徴なのかということを、明確に認識していなかったような気がする。

そしてだからこそ、こういうチラシの意味がある。たぶんこのチラシを読めば、単に「鹿児島県産」だけだと伝わらない栽培のこだわりがわかり、他のかぼちゃと区別したくなるのではないかと思うからだ。今後、小売店などでこのチラシが共に置かれ、「加世田のかぼちゃ」が「加世田のかぼちゃ」として売られるようになることを切に願っている。

※チラシに書いた内容は、後日改めてブログにアップしたいと思います(上のリンク先と同じですが、なにせ読みにくいので)。

2015年2月12日木曜日

「加世田かぼちゃ」の30年

今、ちょっとワケあって「加世田のかぼちゃ」の歴史を調べている。歴史といってもたかだが30年とちょっとのことだ。

それで、2012年が「かごしまブランド」に指定されてから20年ということで記念大会が開催されており、その冊子を貸してもらって見てみた。その冊子にはこれまでの歩みということで試作が始まった1976年からの主な出来事がまとめられており、大変参考になった。

その歴史を簡単に述べると、「栽培が始まった頃は天候にも恵まれ豊作が続き順調に生産量が拡大したが、次第に天候不良や疫病の発生に見舞われるようになり、近年では不作が常態化するようになった」とまとめられる。

ちょっと趣味的になるが、その様子を下のような表に整理してみた。「主な出来事」の欄を眺めているだけでもなんとなく風向きが悪くなってきている様子が感じられるが、よりわかりやすいのは「生産性」の欄である。

「生産性」は、便宜的に出荷量を作付面積で割ったものである。これは正確な単位面積当たりの収穫量とは異なる。なぜなら、作付面積も出荷量も、本来は春作と秋作それぞれの計算が必要だからである。しかし便宜的な合算でも、その年の雰囲気を摑むことはできるだろう。

そして「生産性」の欄には、これまた便宜的に、〜15:赤色、15〜20:黄色、20〜:水色、と色をつけてみた。年を経るにつれて赤色が多くなっていることが一目瞭然である。というか最近は赤色しかない。

「加世田のかぼちゃ」のあゆみ

主な出来事 作付面積(ha) 出荷量(t) 生産性
1976年 春かぼちゃ試作      
1977年 春かぼちゃ本格的栽培開始
秋かぼちゃ試作
3 75 25.0
1978年 秋かぼちゃ本格的栽培開始 9 153 17.0
1979年 台風による被害 14 184 13.1
1980年   30 487 16.2
1981年   50 1160 23.2
1982年 晩霜による大被害 84 1820 21.7
1983年 台風による被害、疫病大発生 88.8 1195 13.5
1984年   100.8 2220 22.0
1985年   92.5 2110 22.8
1986年   95.1 2300 24.2
1987年   103 2212 21.5
1988年   124.5 2498 20.1
1989年 安定生産 111.5 2277 20.4
1990年 台風による被害 107 1988 18.6
1991年 かごしまブランド産地指定
秋かぼちゃ台風被害により収穫皆無
116 1747 15.1
1992年 朝日農業賞受賞 93 2298 24.7
1993年 晩霜による被害
記録的長雨による2番果着果不良
MBC賞受賞
107.7 1915 17.8
1994年 春先の低温、日照不足で生育遅れ
輸入かぼちゃとの競合で価格低迷
105.3 2106 20.0
1995年   92.1 1564 17.0
1996年 かぼちゃサミットを開催 95.1 1818 19.1
1997年 天候不良による減収 104.2 1669 16.0
1998年 春かぼちゃ、天候不良による減収 102.2 1505 14.7
1999年 天候不良、台風による減収 79.1 1222 15.4
2000年 春かぼちゃ疫病が大発生 73.3 1092 14.9
2001年 単価安
産地指定10周年記念大会開催
70.8 1194 16.9
2002年 天候不良や疫病による減収 67.6 1097 16.2
2003年 天候不良や疫病による減収 75.2 1295 17.2
2004年 台風被害による大幅な減収 76.7 918 12.0
2005年 台風被害による大幅な減収 70.5 1068 15.1
2006年 春かぼちゃ天候不良による品質低下
秋かぼちゃ豊作
68.7 946 13.8
2007年 天候不良による減収 71.2 1025 14.4
2008年 天候不良による減収 70.6 795 11.3
2009年 天候不良による減収 72.5 964 13.3
2010年 天候不良や疫病による減収 74.7 801 10.7
2011年 天候不良による減収 72.9 724 9.9

このように見てみると「加世田のかぼちゃ」が次第に衰微しつつある様が見て取れ、生産者として薄ら寒い気持ちになるのだが、本当に危機感を抱くべきなのは不作が続いていることよりもむしろ、近年の「産地としての動きのなさ」かもしれない。

というのは、順調な栽培が続いた”青色の時代”を経て「かごしまブランド」の産地指定を受け、その後”黄色の時代”にも「朝日農業賞」「MBC賞」を受賞したり「かぼちゃサミット」を開催したりといった動きがあった。もしかしたら積極的に行ったものではないのかもしれないが、結果的にブランドの認知を挙げ、産地が一丸となる方向ができたのではないかと思う。

しかし、それに続く”赤色の時代“には、そういった動きが全くない。おそらく、天候不良に苦しんで思うように結果が出ないため萎縮し、積極的な手を打つことができなかったのだろう。 天候不良というのは如何ともしがたいので、生産量の低迷などはしょうがない。だがだからこそ、産地として埋没しないようにする努力をしなければジリ貧になっていくのではないだろうか。

私は「加世田かぼちゃ」の歴史を振り返るにあたり、「なんだかんだ言っても20年以上の積み重ねがあるわけだから、それなりにいろんな取り組みがあったのでは?」と思っていた。が、これまでの所、取り組みは栽培技術の面に限られているように見える。

栽培技術の進歩は重要だが、ブランドだってただ自称しているだけではその真価は発揮されない。実直に生産するだけでなくて、産地として前向きに動く姿勢を見せ、新たな市場を開拓していくきっかけづくりをしていく努力が必要だと思う。微力ながら、私も一生産者としてそれに取り組んでいきたい。

2014年1月16日木曜日

私のかぼちゃの応援者

撮影:高品様
ひょんなことから知遇を得て、東京の築地で料理教室をしている方に私のかぼちゃを知って頂いた。

南薩の田舎暮らし」で1個1200円で売っているかぼちゃのことである。

その方は野菜ソムリエの高品 和代さんといい、1回3人までという少数精鋭の料理教室「ベジフルクッキングサポート築地」を主宰されている。この方が大変に親切で、私のかぼちゃを気に入っていただいたということで感想を送ってくれたり、アドバイスをくれたりと目をかけてくださっている。

そういうことで「ブログで紹介してもよろしいですか」と伺ったところ、次のようなコメントもわざわざ送ってくれたのである(!)。世の中には親切な人がいるものだ。
かぼちゃが届いて最初、少し茹でて食べてみた時は「んー、こんなものかな」と普通に美味しかったのですが、生産者さんおすすめの食べ方で、少し長めに蒸したらびっくり! 甘さもぐんと増して、とろけるような食感。普段食べていたホクホクかぼちゃにありがちな重たさ(喉につまる感じ)も無く、大きめサイズなのにあっという間にペロリと食べてしまいました。その他、ブイヨンでじっくり煮てポタージュも作りましたが、まろやかにできて美味しかったです。私は野菜ソムリエとして料理教室を開いていますが、生徒さんからも「今まで食べてたかぼちゃと違う!」と言われました。またリピ買いしたいと思います。
ちなみに、ここで書いて頂いている「生産者さんおすすめの食べ方」というのは、「かぼちゃを切ってクッキングシートにくるみ、オーブンで40分ほど蒸し焼きにする」というものである。ちなみに、これにホイップした生クリームを添えると、それだけでスイーツ的なものになる。かぼちゃを蒸し焼きにしただけのものがスイーツになるわけがない、と感じるだろうが、なんだかんだでシンプルに料理するのが一番美味しいと思し、甘みも十分だ。

それから、スーパーで買うかぼちゃの99%はカットもののため、切ることに抵抗(苦手意識)がある、という指摘もいただいたが、私には全くそういう認識はなかったので勉強になった。確かに、よく熟したかぼちゃはとても堅く、これを包丁で真っ二つにするのは男性でも力のいる作業である。

その他、ナルホドと感じさせられる指摘をいくつか受けたので、できるところから徐々に改善していきたいと思っている。かぼちゃというのはネット通販で扱うには相当に不利な商材で、
  • かさばるので輸送費が高く付く。
  • 嗜好品ではないので、わざわざ取り寄せることがない。
  • 2kgの大玉が送られてきても1回では食べきらないし、冷蔵庫の場所をとる。
などネットには不向きな多い。だが、だからこそ敢えてネット通販で販売していくには特徴的な商品であるし、大手がやっていないニッチな商材でもある。肥えた舌を持つ高品さんから認められ少し自信もついたので暫くこの扱いづらい商材にこだわっていきたいと思う。