2021年12月27日月曜日

パチンコ屋が潰れて、跡地にまたパチンコ屋ができる街

今年のうちに、今年一番のガッカリ、について書いておきたい。

以前、「イケダパン跡地の有効利用」という記事を書いたことがある。加世田の街の中心部に、イケダパン跡地が廃墟化した区画が残っているからそれを有効利用した方がいい、という内容だ。

【参考】
イケダパン跡地の有効利用
https://inakaseikatsu.blogspot.com/2016/01/blog-post_22.html

その跡地は、どういう経緯か知らないが「株式会社正一電気」というところが再開発することとなり、「いろはタウンかせだ」という複合施設が2018年に誕生した。 今ではヤマダ電機を中心にコメダ珈琲、シャトレーゼなどが入った、駐車場350台を擁する施設になっている。

これによってさらに加世田中心部は再開発的機運が高まってきたように見受けられた。

そんな中、「いろはタウン」に隣接するパチンコ屋「T-MAX」が廃業し取り壊された。 実はこの「T-MAX」は、元々はイケダパンが経営していたパチンコ屋を、市丸グループ(鹿児島の企業)が買収したものだ。1985年に買収したそうだから、建物がだいぶ老朽化して廃業したのだろう。この由来を考えれば、「T-MAX」の取り壊しはイケダパン跡地有効利用の一環であるように思われた。

「T-MAX」の取り壊しに続いて、新たに店舗が建設される工事が始まった。

私は、どんなお店ができるのだろうと楽しみにしていた。「けっこうお店は大きい。駐車場らしき建物も大きそうだ。いろはタウンと同じような複合施設だろうか…」と建設工事を見るたびに期待を膨らませたものである。

ところが!!

なんとオープンしたのは、またパチンコ屋「イエスランド」だったのである…!! パチンコ屋が潰れて、またパチンコ屋ができた。そんなことってアリかよ。

いや、何も私はパチンコをひどく毛嫌いしているわけではない。もちろんあまり誉められた娯楽ではないと思うし、私自身は全くやらないが、節度を持って楽しむならば無害な遊興なのかもしれない。

だが、加世田には既にパチンコ屋が林立しているのである。街の中心部にあり、もはやランドマーク的な存在感がある「モリナガ」、ニシムタの裏手にある「ダイナム」、本町の「京極」とモリナガの近くにある「ライト京極」といったパチンコ屋が犇めいているのだ。

その上、パチンコ 559台/スロット 232台で地域最大の規模の「イエスランド」が参戦したわけだ。連日駐車場もいっぱいで繁盛しているように見える。すっかり飽和しているのかと思っていた加世田のパチンコ界が、意外な需要を抱えていたことを気づかされると共に、いろんな意味でガッカリしたのが正直なところだ。

ちなみに「イエスランド」を含め、加世田にあるパチンコ・スロットの数を合計すると、

パチンコ  1646台/スロット 722台 合計2368台

にも上る(私調べ)。南さつま市の人口は32,946人(2021年11月末時点)。このうち、未成年がだいたい5000人くらいいるので、成人人口に対してほぼ10%の数のパチンコ・スロット台があるということになる。これはさすがに多すぎではないか。

もちろんこれは、パチンコ屋のせいではないのである。これだけのパチンコ屋に行く人がいる、という事実がパチンコ屋を呼び寄せているのだ。

私は、人生には無駄が必要である、と常々思っている。パチンコやスロットに費やす金は無駄だとは思うが、アウトドアやスポーツなどのもっと健全なレクリエーションだって無駄だし、極論を言えば読書だって無駄だと思う。しかしこのパチンコ・スロットの数を考えると、街ぐるみで随分な無駄遣いをしているということになりはしないか。

「お金は賢く使いましょう!」なんてつまらないが、それにしても、うーん、「もうちょっと前向きなことにお金を使った方がよくありませんか…」と思っちゃうのである。

日本は今、急速に貧しくなりつつある。この25年ほど、ほぼ全く経済成長していないのだから、世界の国々に置いて行かれるのは当然だ。とはいえ同時に、社会に全くお金がないというわけでもない。現に南さつま市も、高齢化と人口減少に喘ぐ典型的な崖っぷちの街ではあるが、まだまだ2368台のパチンコ・スロット台を支えていける経済的余力は持っていることになる。

問題は、その「余力」をどう使うか、ということだ。これは日本全体にも言える。貧しくなりつつある中だからこそ、未来を創ることにお金を使いたい。

いや、「未来を創る」なんて大げさでなくて、もっと正直に言えば、今でも十分多いパチンコ屋より、街にないものが欲しかった。発想がつまらねーと思うかもしれないが「スターバックス」 「無印良品」「ケンタッキーフライドチキン」「餃子の王将」…そういう店だった方がまだずっと嬉しかった。

都会にいる人は、こういうフランチャイズの店が地方都市を画一化して、さらに衰退を早めることになる、と思うだろう。それはおそらく正しい。でも、そういう店が進出してくる街の方が、パチンコ屋が潰れて、跡地にまたパチンコ屋ができる街よりは、まだ未来がある。

何にお金を使うのか、みんなの選択が街をつくる。

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