2013年11月14日木曜日

南さつま市長・市議選挙、ですが…

2013年11月11日〜17日(投票日)で、南さつま市長選挙、及び市議会議員選挙が行われている。なので、選挙カーがそこら中を走り回っており、大変にやかましい。ドイツでは選挙カーや街頭演説が禁止され、「静かな選挙」が行われていると聞くが、日本もそうあって欲しい。

そもそも、選挙カーも政治的理念を述べるとか、何か意味のある主張をするのならばいいのだが、単に候補者の名前を連呼し、「ご支援をお願いいたします」とか言うだけだから、(私にとっては)ほとんど意味がない。

というか、選挙カーだけでなく、選挙においてほとんど政治的主張がなされないというのもまた違和感がある。正確を期すれば、選挙公報には少しはそういうことも書いてあるし、個人演説会などで確認はしていないので、全くないというわけではないのだろうが、少なくとも選挙の中心は政策論争ではない

では選挙(投票行動)の中心に何があるか、というと、「誰から投票をお願いされたか」ということだと思う。日頃お世話になっている人に協力をお願いされて、その候補者が特に悪そうな感じもなく、他の候補者がよく知らない人ばかりとなれば、その人に投票するのは自然だろう。もちろん、実際に誰に投票したかはお願いした方にはわからないから、しがらみ云々というより、誰からお願いされるかということが、候補者のスクリーニング(篩い分け)として機能していると考えた方がよい。それはそれで、悪いことではないのかもしれない。

しかし、市政というものを市民全員が考える数年に一度のチャンスでもあるし、静かに市政の在り方を見つめ直し、議論することがあってもいいのではないだろうか。

というわけで、自分なりに選挙の争点らしきものを考えてみた。

第1に、人口減及び高齢化への対応である。全国で問題になっていることであり、移住定住の促進といったパイの奪い合い的な対処ではなく、少ない生産人口で街の活力をどうやって維持・増加させるかという観点が必要と思う。産業政策、文化政策、観光政策などを複合的に組み合わせ、停滞した街の雰囲気を打破することが必要だ。もちろん、高齢者を福祉の受益者とだけ見るのではなく、高齢者の力をどう活かすかということも重要である。

人口減というのは、ある意味で子育ての終了にも似ている面がある。子どもが家を巣立っていけば、子ども部屋はいらなくなるし、広いリビングもいらなくなる。家の中は年老いた夫婦だけになり、家庭の活力はある面では失われる。しかし、いらなくなった子ども部屋は何か別のことにも使えるし、定年を迎えるとお金は減るが自由に使える時間は増える。不要な部屋や空いた時間をどう使うかということは、老夫婦の見識次第で素晴らしい可能性も持っている。人口減と高齢化も非常に大きな問題ではあるが、それと同じように、これまでと別の資産が増えるという側面もある。

例えば、人口減により、近年当市では小学校及び中学校の閉校が続いているが、閉校した学校の校舎は実は大きな資産である。大きすぎる公民館として使うのが無難なのだろうが、こういった遊んでいる資産をどう使うか、それが行政の腕の見せ所ではないだろうか。ぜひ前向きな活用を期待したいものである。

第2に、前項と関連するが財政の健全化。南さつま市は全国的に見ても異常に国民健康保険からの支出が大きい(一人当たり医療費が高い)という問題があり、国民健康保険及び介護保険は市の支出の約1/3を占めているので、この問題は大きく取り上げ、改善していく必要がある。今回の市議選でも、福祉の充実を訴えている候補者は多いが、「健康で長生きできる環境」を整えることを訴えている候補者がいないようなのは残念だ。医療費の抑制については、数値目標を定めて意欲的な取り組みをしていくべきである。

市の方もこれに関しては専門家に分析をお願いする予定にしているらしいが、私としてはかなり深刻な問題と思うので、政治的なレベルで取り上げていただきたいと思う。全国的な比較をしてみれば分かる通り、医療水準を低下させずに、医療費をどうやって下げるかということに関しては、南さつま市は日本で最も先端的な取り組みをすべき自治体である。

第3に、合併効果の顕在化。当市は2005年に5つの自治体が合併して誕生したが、既に合併より8年経っており、自治体の寄せ集めではない、南さつま市としての形を見せていく段階に来ている。市議選では、「支所はなくさせない」とか、「各地区の均衡ある発展を」とかいう主張を見るけれども、(私も支所がなくなったらイヤだが)実際には資源配分には冷徹な判断が必要である。もちろん、合併により住民サービスを向上させるべき部分もあってしかるべきだし、合併すなわち過疎地の切り捨てであってはならない。

これに関して隣の南九州市では面白い取り組みがある。南九州市でのお茶の銘柄茶を「知覧茶」に統一しようという動きである。南九州市は市町村として全国一の荒茶の生産量を誇るが、統一した茶のブランドを持っていなかった。これを、市町村合併及び(予定されている)JAの合併に合わせて知名度の高い「知覧茶」にしようという話である。面白いのは、生産量で言えば知覧より頴娃(えい)の方が大きいということで、量が多い方に合わせるという普通の考えでいけば「えい茶」になってもおかしくなかったし、間を取って「南九州茶」という新たなブランドを立ち上げる案もあっただろう。しかし、「知覧茶」の知名度による今後の発展を考えて、あえて生産量の小さな「知覧茶」に統一することにしたのである。

知覧の人には、これまでコツコツと積み上げてきたブランドを他の地区の人に乗っ取られたように思う人もいるかもしれないし、頴娃には「えい茶」がなくなって寂しく思う人もいるかもしれない。というか確実にいるだろう。でも、「知覧茶」に統一する方が未来があると賭けるわけだ。私は、こういうのが合併効果なのではないかと思う。小さな地域の何かが断絶しても、より大きな何かが発展していくような政策が南さつま市でも求められているのではないだろうか。少なくとも、合併を前向きに捉え、それを活用していこうとする考えはあるべきだ。

例えば、些末なことではあるが「加世田郷土資料館」、「笠沙恵比寿」、「輝津館(坊津)」、「歴史交流館金峰」と各地区にある博物館的施設をどう運営していくか。現在はこれらの学芸員間の組織的交流すらもないようだが(伝聞です)、南さつま市の豊かな歴史という資産をどう活用していくのか、各地区でのバラバラの展示から一つ上の段階に進むべき時期だと思う。

以上の3点は、真剣に検討して書いたものではないので、これ以上に重要なことがあるかもしれない。いや、市長選、市議選に出るような人には、もっと深く、広く検討し、我々が気づかない部分まで熟考していて欲しい。だからこそ、ワンフレーズ選挙ですらない、選挙協力だけが踊る選挙が残念だ。各候補者とも、実際には熱い思いを抱いた人なのだろうから、ぜひ中身の濃い選挙活動が展開されることを希望する。

4 件のコメント:

  1. そんうっじ出やいね!

    もう40年くらい昔、何の時だったかケ忘れてしもたどい、京都のおば様(じい様の妹?)と電話で語った事が有ったどい、それはそれはおば様はあの頃のおじ様への熱~い想いを
    いっぺこっぺ語ってくれました(今でん耳の奥に響いてきそう・・・)。

    おば様はもうご存命ではないかと思われるどい、一緒に語った“希望”はまだビンタん中で
    しっかとうごめいちょっど。
    初めてここに出遭うた時、『ア、オバ様ノ希望ガ叶エラレソウダ!』っち真っ先に思った事
    でした。
    あと少し、10年もは要らんちと思ど、ヒャッショでん此処でん何でん、いっぺ気張いやい!
    おば様が果たせなかった夢を、夢半ばに終わったじい様の思いを、継いでくいやい!
    そんうちに出やいね、立っちゃいよ!
    員を重ねて、時期到来の暁には長やっど。
    時は、大浦の同志みんなに声掛けて、いっぺ応援すっど!!
    いんもかんも、心底そう思いながら此処を覗いちょっど。

    返信削除
    返信
    1. 下から2行目、『時は、』は、『そん時は』でした。
      訂正してご判読下さい。

      削除
    2. つよしさん、コメントありがとうございます!

      祖父の妹ですか…。全く知らない方ですね。どんな希望だったんでしょうか。親戚のある方からは、「精造はいろいろ精力的に取り組んではいたが、やろうとしたことは何一つうまくいかぬまま世を去った」というような悲しい話を聞いています…。祖父の遺志を継ごうというわけではありませんが、地元の活気を盛り上げる力の一つになれたら本望ですね! 応援ありがとうございます!

      削除
  2. 私も南さつま市民です。Iターンでここ(金峰)に15年前に移住してきました。子育て現役世代、子供は7人、上は高1、下は新生児です。
    南さつま市の市議のレベルは非常に低いですよ。期待する方が無駄だと思います。私は個人で議会に陳情を出したりしてますけど、情報公開で委員会での議論を出させたことがありますが…はっきり言って「馬鹿」です。そんな連中が連日、選挙中に自分の名前を連呼しているのを聞いて反吐が出る思いです。
    国保税値上げの時も、かなり市当局とやりあったんですが、議員の援護射撃は皆無…共産党もやる気があるのか?って聞きたいくらいです。
    結局は急激な医療費の伸びだ、ということ。その分析が未だ「専門家に依頼して…」って、あれからもう1年半も経つのに、行政の対応の遅いこと…
    今日も保険課課長とバトルをしましたけど。
    社会保険に関連する法令の条文もロクに読まないのが市の責任者だったり、議員だったり…
    情けないを通り越して怒りを覚えます。
    金峰から出ているS議員は、前回の選挙の時「あと一期やらせてくれ」と言って私の家に来ました。「何故」と聞くと「あと一期すると、議員年金がもらえるから」とのたまう。
    まあ、正直なのか馬鹿なのか…
    案の定、議会でロクな質問をしていない。
    こんなのが当落線上ギリギリ(数票差)で当選するんですよ、ここは。
    市民も思考停止状態…
    こんな市が良くなるわけがない。硬直した思考回路を持った老人、馬鹿ばかり。この市民にこの議員あり、この市民にこの職員有り。民主主義とは何か。知らない者ばかり。

    ヒトラーがベルリン陥落直前に、側近が市民を避難させましょうと進言した時のヒトラーの言葉
    「市民がどうなろうが関係ない。私は正当な選挙で市民から選ばれた。私を選んだ市民の自己責任だ。私に地獄の底まで付き合ってもらう」
    元キャリア官僚のあなた様ならよく分かるでしょうね。きっと官僚時代は好き放題でしょ?官僚社会主義のニッポン。

    返信削除