2013年8月8日木曜日

桜井製菓の「ミルクキャンデー」から地産地消を考える

近所に馬場店(ばばみせ)と呼ばれているとってもレトロなお店がある。おじいちゃんとおばあちゃんが生活の傍らで営んでいるようなそんな店なのだが、そこにおいてある(というよりここ以外で見たことがない!)「ミルクキャンデー」が逸品だ。

今のデザイン事務所には不可能なバランスが絶妙に崩れた文字にまず惹かれる。そして食べてみて分かったがアイスの棒にはなんと割り箸が使われている。パッケージから何から手作り感満載だ。

味は「昔なつかし」が謳い文句だが、私にとってはあまり懐かしさを感じない。たぶんこの「ミルクキャンデー」がなつかしの対象としているのは、私が産まれるよりもずっと前、「三丁目の夕日」みたいな頃なのかもしれない。

ちなみにこの「ミルクキャンデー」を作っているのは、金峰町にある桜井製菓というところだが、WEBサイトにもこれの紹介がないようなのが不思議だ。姉妹商品に「ソーダキャンデー」とか「パインキャンデー」とかこれまたレトロなアイスキャンデーがあるので、気になる人はうちの近所のレトロな馬場店まで来て欲しい。

ところで話は変わるが、役所の人に勧められて鹿児島県がやっている「地産地消推進サポーター」なるものになった。 これは、要は「鹿児島県の美味しいものの情報発信をしましょう」というボランティア活動である。

このサポーターに登録したお陰で、鹿児島の農産物に関する資料が送られてきたが、どうも鹿児島の特産品を地産地消しましょうみたいな感じがあり、何か違和感がある。

そもそも地産地消は何のために推進するのだろうか。健康のために身の回りで穫れた野菜をたくさん食べましょう、というのは当然として、より重要なことは、高度経済成長期に農村が急速に市場経済化したことの副作用である。高度経済成長期以前には、農村経済が自給自足的であったために現金収入が少なく、そのために各地の自治体は「一村一品運動」などを行って農村の現金収入を向上させる施策を実施した。「一村一品運動」というのは、村に一つは特産品を作って、それを外に売りましょう! という運動だ。

こうしたことから、農村経済も次第に市場経済に組み込まれていったわけだが、1980年代に至って、地域農産物の多くが市場出荷されてしまい、ダイコンのようなありふれた野菜ですら地域外から仕入れた品に置き換わってしまうという現象が生じた。もちろん経済的な合理性からそうなったわけで、それ自体は悪いことではない。だが、ありふれたものまで外から買い入れていては、ただでさえ少ない農村の現金収入を費消することになってしまう。要は、地域の中でお金が回らない

例えば、同じアイスを買うのでも、「ガリガリ君」では地域に還元される部分は少ないが、桜井製菓の「ミルクキャンデー」を買えば、地域の中でお金が回るわけだ。これも地産地消の重要な目的ではないだろうか。一方で、特産品に関しては、そもそも外に売って現金収入を得るということが目的なのだから、地産地消というよりは、積極的に対外販売に力を入れていくべきだ。

だから、私の考えでは、地産地消推進サポーターの役割は、とても美味しい特産品の情報を発信するというより、大企業の商品と代替可能な「地域のありふれた品」を紹介することだ。桜井製菓の「ミルクキャンデー」のような、他の地域に積極的に売っていく品ではないけれど、なんだか楽しい、地元の何気ないものを紹介できたらいいと思っている。

4 件のコメント:

  1. さとちゃん2013年8月9日 7:12

    懐かしい!
    このアイス知ってます。何十年前からありますね。包装の仕方が若干違いますね。。。

    あと○○店とゆう呼び方なんですが、とても懐かしいし久しぶりに思いだしました。
    ○○みせと、たしかにいってました(笑)

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    1. さとちゃんさん

      知ってましたか! 何十年前からあるだろうということは、一目でわかりましたよ!

      それから、○○みせ、という呼び方、南薩で一般的なものなんですかね? 私は北薩出身ですけど、聞いたことなかったです。

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  2. 初めまして。
    (奥さまのブログには何回かお邪魔させていただいてます♪)

    私もなつかし~と思いましたよ。
    同じ会社のものか定かではありませんが、
    割り箸の刺さったアイスキャンデー(時々斜めに刺さってたりします・笑)、
    早期米の稲刈りの時期に、田んぼでよく食べてました。

    先日の長屋山の記事も嬉しかったです。
    帰省の時、長屋山のレーダーが見えると、帰ってきたな~って思う、心の山(笑)なので。(加世田出身です)

    ○○みせ、という言い方、確かにしますね~(笑)。
    南薩では一般的かもしれないですね。

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    1. Piyoさん

      コメントありがとうございます。また、家内のブログもご高覧いただきまして感謝です。

      このアイス意外と覚えられていますね〜。割り箸が時々斜めに刺さっていたり、割り損なって変な形にささくれている割り箸が入っていたり、とにかくゆるーい手作り感がなんともいえません。

      長屋山の記事よかったということで嬉しいです。レーダーについてはなぜかあまり好意的な意見がないように思っていましたが、これに懐かしさを感じている方もいることが分かって安心しました。

      これからもよろしくお願いします。

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