2013年7月17日水曜日

アーモンドの品種と植物検疫

開墾作業中である。

かつてカンキツが植えられ、この5〜6年ほど耕作がされていなかった所を借りることができた。既に果樹は枯れるか弱るか切られるかしているし、セイタカアワダチソウが人の背より伸びているが、逆に自由に植栽計画を考える楽しみもある。

というわけで、以前から注目しているオリーブと、思いつきのような話だがアーモンドを植えられないか検討している。

アーモンドというとどういう樹なのか全く見当がつかない人がほとんどと思うが、アーモンドはモモの仲間で日光と乾燥を好み、栽培適地がカンキツと似ている。世界的に有名なアーモンドの産地にはカリフォルニア、スペイン、そしてイタリアのシチリア島があり、これら全てがオレンジの名産地であることを考えると、同じくカンキツの産地である南薩でもアーモンド栽培ができるのではないか、と期待させられる。

ちなみに、一般的なアーモンドのイメージは「チョコの中に入っているもの」「おつまみのナッツ」あたりだろうが、アーモンドは紀元前から地中海沿岸では大変重要な作物とされており、お菓子や料理の材料として必要不可欠なものだ。地中海のアーモンドは日本に輸入されている米国産の大量生産品と比べ格段に美味しいと言われ、イタリア料理においては主役級の役割を果たす。

そこでアーモンド栽培に取り組んでみたいと思い、苗木を探しているのだが、これが全く見つからない。趣味の園芸用の苗木はインターネットで売っているが、品種の明らかなものはほとんどなく、品種が明示されているものも「ダベイ」という品種のものしかない。ダベイはかつて米国で栽培されたが不振で放棄された過去の品種であり、これを今さら経済生産するのは理に適わない。いろいろ調べてみると、どうやら、日本には現在世界の主要品種のアーモンドは入ってきていないようだ。

私が是非とも手に入れたいと思っているのは、「アーモンドの女王」と呼ばれるスペインの主要品種「マルコナ」か、シチリアの主要品種である「パルマ/ギルジェンティ」種である。これらが日本の湿潤な気候に耐えうるのかはよく分からないが、少し調べてみるとこれらにはめちゃくちゃ美味しそうな雰囲気があり、食べてみたいと思わされる。できるならこういう美味しそうなやつを育ててみたいのが人情だ。

しかしこういった品種の苗は日本には見当たらない。というのは、周知の通り日本ではアーモンドが経済生産されていないので、これらを輸入しようという奇特な人がいないためだろう。というのも、植物検疫の関係で、アーモンドを輸入するのはかなり手間がかかるからだ。植物検疫というのは、世界的な病害虫の蔓延を防ぐためにある種の植物については輸入に大変気を使うという仕組みである。アーモンドのような果樹については、海外から取り寄せる場合は1年間も隔離栽培を行って、病害虫に冒されていないことを確認した上でないと輸入できないのである。

1年間も特別のビニールハウスで隔離しなくてはならないというのはかなりのコストなので、これを誰もやりたがらないのは当然だ。そのため、日本で今流通しているアーモンドの苗というのは、かなり昔に米国からアーモンドを導入しようとした時に輸入した苗の子孫なのではないかと思われる。果樹を輸入するというのは大変なのだ。

こういう事情から、果樹の世界というのは、意外にグローバルではない。野菜や穀物は結構品種がグローバル化しているのだが、果樹の場合は輸出入が簡単でないために各国で独自の品種改良が行われており、いい意味でも悪い意味でもガラパゴス化しているわけだ。

例えばイタリアは世界的な栗の名産地で、日本でも「イタリア産の栗」といえば栗の中でも美味しいものと考えられているが、イタリアの栗の品種(例えばピエモンテ)は日本にはこれまで入ってきていなかった。日本でも栗の栽培は盛んなのに、植物検疫が面倒だからピエモンテ栗を日本に導入しようという人がいなかったのである。最近、熊本の方がピエモンテ栗を輸入し、日本でも栽培する「マロンプロジェクト」という取組をやっているが、こうした例は稀有であり、輸入に手間がかかる上に気候風土が合わないリスクもある海外の品種を敢えて手に入れようとする人はほとんどいない。

だが、一度やってみたいと思うとやってみずにはおれない性分なので、是非とも地中海のアーモンドの品種を導入したい。何かよい方法があればいいのだが、今のところ良案が浮かばない。苗ではなくタネの場合は検疫が免除される(場合がある)ので、アーモンドのタネを個人輸入して実生で育てるというのが現実的だが、それですら簡単ではなさそうである。でも「マロンプロジェクト」ならぬ「南薩のアーモンドプロジェクト」ができたら面白い。いい知恵があったらお貸し願いたい。

4 件のコメント:

  1. とても魅力的な記事でした。
    また遊びに来ます!!

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  2. アーモンド大好きなので凄く興味があります!今はどんな状況ですか?!

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  3. 私はアーモンドの接木苗を販売してましたが、スイート系は食用可だけど、ビター系品種は毒素が強く、食用不可等の情報を知り、販売している苗の生産者は、随分前から美味しく食べて健康なので、おそらくスイート系であろうと思いますが、品種等全く調べる事も出来ず、同様に、品種確定した苗を入手したいと考えてます。

    実生(種を購入して育てる)では、親と同じ性質にはならないし、スイート系でも毒素の強いビター系になる事もあるらしいので、種の輸入はお勧めしません。

    私は『クルミ』の優良品種を輸入したいと考えているのですが、同様に良案が見当たりません。

    毎日食べてるのは『ペルシャクルミ』だと思いますが、その輸入交配種と思われる長野の『信濃クルミ』を接木で増やそうと、長野の販売業者に購入の問い合わせをしましたが、『業者には販売しない!』と一括されました...

    サラリーマンで趣味の範囲ですが、『果実を生産・販売や、接木苗を生産販売したい。』と書いて問い合わせしたからでしょう...

    そうなったら、大元のから仕入れて生産するしかないな。と思ってます。

    ブラックな所では輸出は抜け道も多く、日本の高価な松等は、中国に裏ルートで輸出され、富裕層に買われてますが、輸入は敷居が高くて、困っています。

    PS.植木の名産地、久留米市田主丸町から、鹿児島の方にも苗を送ってます。

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    1. 吉瀬さん

      コメントありがとうございます。アーモンド以外にも、ちゃんとした品種がわからなくて困っているものがいろいろあるんです。たとえば「ペカン」とか。日本で売られているペカン(ピーカンナッツ)は、どれも「ペカン」とだけしか表示されていないんですよね。あれも品種がいろいろあるんですけど…。

      私もいろいろ調べたのですが、結局は本場から輸入するしか手がないので、1年間の隔離栽培を行ってちゃんと植物検疫を受けるのが一番早道なんだということがわかりました。アーモンドはちゃんと出来そうということになったら、いずれそうして正規の輸入をやってみたいです。

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