2012年10月15日月曜日

南さつま市の一人あたり医療費は、なぜか異常に高い

我が家の移住後の生活において、最も金銭的負担が大きいのは、実は国民健康保険の保険料(国保税)である。

国保税は、市民税・県民税などと同じく前年の所得に応じて算定されるため、移住によってほとんど無収入になっても大きな負担を払わなくてはならない。派遣切りなど、自己都合でない収入減の場合は減免措置があるが、自己都合で収入が減った場合にはそういった救済措置はない。日本の税体系は終身雇用のサラリーマン社会を前提としているから、こういうことになるのだろう。農家を始めとして、所得が不安定な人はこのおかげで随分割を食っていると思う。

ところで、我が南さつま市は「一人あたりの医療費が高い」とよく言われているのだが、どれくらい高いのか疑問に思い、厚生労働省のデータベース(平成22年度)で調べてみた。

結果は、全国の市町村においてなんと28位。全国で1700以上ある基礎自治体の中での28位だからこれは本当に高い。ちなみに一人あたり年間42万円程度。

さらによくデータを見てみると、一位の和歌山県北山村は54万円だが人口500人たらずの小さな村であり、同村を始めとして人口千人以下と思われる過疎の村が上位のほとんどを占める。28位以上の自治体の規模(被保険者数)を調べてみると、なんと本市より規模の大きな自治体は北海道小樽市(23位)しかない。

同サイズと言えそうなのは、同じ鹿児島県のいちき串木野市(18位)だけで、その他はほとんど零細自治体である。つまり、本市と比較可能な市レベルで言えば、本市の一人あたり医療費は全国3位だということだ。

しかも、平成23年度のデータでは本市の一人あたり医療費がさらに増えて45万円を越えており、他の自治体の額にほぼ変動がないとすれば、平成23年度には本市の一人あたり医療費は市レベルでは日本一になる(全国のデータは未発表)。

一人あたり医療費は高齢化率と相関があり、要は年寄りばかりの自治体はこれが高くなるのは当然であるが、実は、本市の高齢化率は全国的に突出して高いわけではない。具体的には、本市の高齢化率は35%で全国264位であり、高いとはいえこれだけでは医療費の高さを説明できない。

こうしたデータだけから見ると、(実際どうなのかはよくわからないが)本市には不健康な人が多いということになりそうである。本市の一人あたり医療費が異様に高い本当の理由はさらに詳細なデータを確認しなくてはならないが、不名誉なランキングであることだけは間違いない。

これは財政面でも危機的状況なのは言うまでもないことで、今年度から本市の国保税は一気に13.6%も負担が引き上げられた。しかしこの問題の本質的な解決のためには、なぜ本市の一人あたり医療費がやたらに高いのかという理由を究明して、これを低減させていく努力が必要だ。

国民健康保険の財政的危機は、このまま高齢化が進むにつれどこの自治体でも顕在化してくる話だ。本市はこれを先取りしている上に、さらに何かの要因で医療費が高くなっているわけで、課題先進地域として問題に果敢に取り組んで、医療費低減の方策を見つけ、発信していただきたいと思う。シンプルに言えば、本市が病院に頼らなくても長生きできる地域になって欲しいと切に願う。

ちなみに、一人あたりの医療費が高いということは、要は国民健康保険から病院に払われているお金が一人あたりで多いということだ。これを逆に言うと、南さつま市民が行っている病院には一人あたりで高い代金が支払われている、つまり客単価が高いということになる。では、本市の病院はやたらに儲けているのだろうか? ぜひともこの統計を見てみたいものである。

【参考データ】
医療費の地域差(医療費マップ)」(平成22年度) 厚生労働省
平成22年度国勢調査 都道府県・市区町村別統計表」 総務省

4 件のコメント:

  1. はじめまして。
    同一市内の隣の地区に住んでいる者です。
    全国的な傾向とはいえ、南さつま市の国民健康保険税は本当に高いですよね。
    40代で扶養家族がいると、結構な負担額になります。我が家も住宅ローンの次に高い出費が国民健康保険税です。
    毎回、「もったいないなあ」と思いつつ、金融機関で支払っています。子どもたちの大学受験などに回したいところなのですが。
    これから時々ブログを読ませていただきます。

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    1. 翻訳者さん

      コメントありがとうございます。この問題は、財政上の面も健康面も非常に大きいと思いますので、市役所の方にはぜひ意欲的な取組を期待したいと思います。

      また、翻訳者さんは南さつま市の隣の地区に在住ということですから、もし耳寄りな情報などもございましたらお寄せ下さい。今後ともご高覧をよろしくお願いします!

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  2. 風狂さん、お返事ありがとうございます。
    私は自宅で技術翻訳の仕事をしているので、農業とは縁のない生活ですが、庭に草花や果物を植えて楽しんでいます。今は、ブドウの袋かけが終わったところで、色づくのが楽しみです。近いうちにブログにブドウの写真を掲載することにします。

    「耳寄りな情報」が入ったら、適当(適切かわかりませんが)なページからコメントさせていただきます。では、また。

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    1. 翻訳者さん、文字通り翻訳者なんですね! しかも技術翻訳ですか。びっくりしました。ブログも拝見いたしました。たくさん書かれていて頭が下がります。私も不得意ながら英語を使って情報発信をしたいと思っていますが、独りでやっていると、合っているのか間違っているのかがわかりません。最近立ち上げて、既に放置気味ですがこういうブログもやっています。→ http://nansatz.blogspot.jp/

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