2012年8月5日日曜日

適地にこだわって作った「お家で食べているお米」

私が大変お世話になっている先輩農家Kさんの作ったお米(コシヒカリ)が、郵便局で(米農家が)「お家で食べているお米」として販売されている。南薩は早期水稲の地域なので、新米の季節は8月だ。

私の家に東京から友人が泊まりに来るということが話に出ると、Kさんから「せっかくだから新米を食べてもらって!」と、私もその米を少し(結構な量)いただいた。私の田んぼの稲刈りは友人の来訪に間に合わないので、気を利かせてくれたのだ。有り難い。

早速食べてみると、新米だから美味しいのは当たり前だが、うちの米に比べて濃厚な感じがする。去年までうちは父が(田植えや稲刈りは農家に委託して)お米を作っていたのだが、無農薬で作られたその米も美味しいとは思っていたものの、追肥をしていなかったので、もしかしたら養分の乗りがよくなかったのかもしれない。

ところで、我が大浦町には干拓によって造成されただだっ広い水田があるが、Kさんは干拓地ではなく、山手側の狭い田んぼ数十枚でお米を作っている。干拓地は一枚の田んぼが広く作業効率はよいが、美味い米を作るには山手側の田んぼの方が適しているという。

まず、干拓地も客土によって改善されているとはいえ、山手の方が土壌が豊かである。そして水が清涼である。干拓地は水系として下流に位置するため、どうしても他からの排水が混じるし、場合によってはそこに残留農薬も入ってしまう。さらに、干拓地では大規模作付けということでヘリコプターによる共同の薬剤散布を行っているため、農家個人での減農薬を行いにくい。Kさんは減農薬米を作っているのである。

こうした理由から、 Kさんは敢えて手間のかかる山手の田んぼを使っている。私も少しだけ作業を手伝わせてもらったので実感したが、一枚の田んぼが狭く不整形であると、1反(10a)あたりの生産コストはだだっ広い田んぼに比べて非常に高い。田植えや稲刈りも面倒だし、畦の管理(草払い)も大変だ。要は、作業効率が悪い。それなのに生産物である米の価格は農協による取引だと大規模生産による田んぼと同じなので、はっきり言って条件はよくない。

Kさんも、そういう理由から営農当初は干拓地での水稲生産を目指していたそうだが、美味しいお米を生産するためには山手の田んぼが適しているということで、生産の中心を山手側に移していったそうだ。こうして適地にこだわって作った米が美味くないわけがないだろう。

ちなみに郵便局での販売は、どうやらWEBではやっていないみたいで、実際に郵便局に行って注文する必要がある。しかも、注文用紙は南薩の郵便局でしかおいていないようだ(どこが北限なんだろうか…?)。5kgで2,800円、10kgで5,200円。現在の注文用紙の有効期間は8月17日までのようなので、ご賞味ありたい方は南薩の郵便局まで早めに足を運ばれたい。

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