2012年5月23日水曜日

秋目のアコウ——集落の永遠のモニュメント

鑑真上陸の地、南さつま市坊津町秋目に、「絞め殺しの木」として知られるアコウの巨樹がある。

目通り幹囲9.3m、樹高11m。容貌魁偉で堂々としたアコウである。樹齢は500年とも1000年とも言われる。その横には墓石など江戸時代の石造物も多数佇立しており、夜にこれを見たら、相当に怖ろしい姿であると思われる。

このアコウは、大きさが飛び抜けているわけではないが、際だった特徴が2つある。

1つ目は、(写真には写っていないが)藤と共生していることである。季節になると美しい藤と面妖なアコウの競演を楽しむことができるという。残念ながら今年は藤の季節は終わっていたので、来年リベンジしたい。このように藤と共生するアコウは、非常に珍しい

2つ目は、写真左下にあるように支柱根が門状に形成されており、その下に道が通っているということである。この道は、アコウの門をくぐって階段を上り、今では廃校となった秋目小学校跡地へと続く。在りし日は、小学生たちが毎日このアコウをくぐって登下校をしていたわけだ。子供たちは、この奇妙なアコウの門をどんな気持ちで通ったのだろう。怖かっただろうか、それともよき遊び友達として、木登りやかくれんぼを楽しんだのだろうか。

ちなみに、秋目小学校は昭和46年に大浦小学校に委託統合され消滅した。秋目集落は、その地形の急峻さ、交通の不便さから人口の減少が続き、空き屋が目立つとても寂しいところになりつつある。そんな人の営みをよそに、このアコウは魁偉な姿で旺盛に葉を茂らせ、未だ樹勢が衰える気配はない。この巨樹は、寂しくなりゆくこの集落の、永遠のモニュメントであるような気がした。

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