2015年5月29日金曜日

大浦"ZIRA ZIRA" FES 2015が開催されます!

今年も「大浦 ”ZIRA ZIRA“ FES」が開催される!
(大浦の若者が主催する大規模な焼肉パーティです)

7月19日(日)15:30〜18:30、場所はなんと亀ヶ丘にて。2015年現在、多分日本一眺めのよい焼肉パーティになるはずである。申込制なので、参加希望の方は「おおうら元気づくり委員会事務局 0993-62-2110」まで。

で、昨年に引き続き告知ポスターもデザインさせてもらったが、今回はあわせて当日販売グッズのタオルのデザインも担当した。

タオルという長細い枠の中に何を表現しようかとあれこれ悩んだが、ふと大浦を囲う山の稜線というテーマを思いついた。開催場所も亀ヶ丘ということで山の上だし、大浦は三方を山に囲まれていて稜線が長く、タオルのような横長のものに表現するには最適である。

そこで大浦町中央部あたりからの写真を繋ぎ合わせて、ベザイテン(弁財天)→長屋山→磯間嶽→陣の尾→亀ヶ丘→高ボ子山(タカボネやま) という長い山稜を描いた。もっとも写真を単純にトレースしたわけではなく、人間の視覚は高低差に敏感であるため高さをちょっと強調したり、より特徴的な形が見える写真を選ぶなど、ある地点から見た現実そのままの山稜線というより「みんなの心の中にある大浦の山々」を表現したつもりである。

で、いきなり話が抽象的になるが、私は「地域の風景」は人間のアイデンティティの形成に一役どころか二役も三役もかっていると思っている。特に特徴的な山容というのはそうだ。つまり、山を仰ぐ風景というのは「自分はここに住んでいる(orここで育った)」という強い感覚を呼び覚ますものだ。そしてその風景を共有することは、人々に連帯意識を抱かせるものである。

古い民話には、「山と山との喧嘩」というテーマがよく登場する。大浦にも磯間嶽と野間嶽(笠沙にあります)が喧嘩した民話が残る。野間嶽は磯間嶽に向かって石の矢を射たがそれが磯間嶽まで届かずに落ちた。今も久保・柴内集落の外れにある鏃(やじり)の形をした「矢石」という大きな石はこのとき落ちたものとされる。

こういう話では、自分の地域への誇りが「擬人化された山」に仮託されているわけだ。その山が他の地域の山と喧嘩するということは、他の地域との確執や優劣の比較がその背景にあったのだろう。山は、とかく「おらが村」的な意識(我が村が一番、というような意識)を惹起するものである。

今ではそんな意識ないのでは? と思うかもしれないが、例えばこのタオルに登場する磯間嶽は、その山容がかなり特徴的であることもあり、それぞれの地域の人が「ここから眺めるのがやっぱり一番だ」と今でも内心思っている。客観的な指標の上では「おらが村」的な意識は持ちようがない世の中だが、自分が住む地域が一番よいところだと思っていたいのが人間である。

桜島の灰にいくら悩まされても、鹿児島市民が桜島を憎みきれないどころか非常なる愛着を抱いているのもそのせいだと思う。大げさに言えば、桜島を否定することは、自分のアイデンティティを否定することに等しい。桜島を眺めるという、ただそれだけのことが鹿児島市民の連帯意識を作っているのではないか。

鹿児島市は政令指定都市になるため南北に細長い無理な合併をしたが、道路交通の事情だけでなく、桜島が西側から見える場所、という共通点があるために錦江湾南岸に延びていったのだと思う。

そういうわけで、タオルが細長いから山稜線を描いたというだけでなく、大浦という地域の連帯意識の象徴として山を表現してみたつもりである。

ちなみにこのタオルの販売による収益はFESの運営に当てられる。このタオルが欲しい! という人は僅かで、実際には地域のお祭りイベントへの寄附として購入する人がほとんどだと思うが、少しでもこのデザインが収益に役だって欲しい。

(後日「南薩の田舎暮らし」でも販売しますので、「大浦の若者を応援したい!」という方がいたら是非購入してください)

2015.6.19アップデート
「南薩の田舎暮らし」で500円+送料で販売しております! どうぞよろしくお願いします。

4 件のコメント:

  1. そのタオルには野間岳も入れて欲しかったなあ!
    大浦ん山じゃなかどい野間岳は、帰郷の折には
    伊作峠の辺りから真っ先に見えて来るわがれんむい・
    ふるさとの山。
    丸くおたやかな峰に、いつもいつも大浦への心が一段と弾む。
    まだ見えない大浦の山々を待ちながら、小湊~恋路ケ浜から
    祈り仰ぐ野間ん岳どんは、まぎれもないふるさとの山やっど。

    チョコ~っとばっかい、さみっかと感じるのはおじん一人かな?
    大浦も笠沙も、一つになって頑張って欲しいのに・・・

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    1. つよしさん

      野間岳いいですよね! 私もすごく愛着ありますよ。でもデザイン的に、大浦の中心部(永田〜久保あたり)からの眺めをトレースしているので、残念ながら野間岳は見えなくて入ってないんですよ。見えてないので野間岳をいれないとという意識がそもそもなかったです。

      大浦、笠沙も一つになって頑張って欲しいというのは私もそのとおりだと思います。「珈琲を飲む会」もそうですし、自分自身笠沙も一体として盛り上げていきたいと思ってますよ! 今回のタオルはちょっと大浦だけフォーカスしすぎたかもですね。次回以降またいろいろ考えます!

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  2. 偶然にも、3月に開局したコミュニティ無線局のリーフレットの表紙も、地域一体をイメージして大浦の山並みをデザインに用いています。今後も、すてきなデザインを楽しみにしています。

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    1. そうなんですね。それは偶然ですねえ! コミュニティ無線局のリーフレットの表紙はどなたがデザインされたんでしょうか。残念ながらリーフレットを見ていないのでぜひ拝見したいですね! デザインにも期待していただきありがとうございます。

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