2014年2月7日金曜日

廃校利用の「検討」はやめて、公募しませんか?

既に決まっていたことではあるが、旧笠沙高校の校舎解体工事が始まった。大変残念なことである。

笠沙高校の校舎利用については、以前も半分冗談・半分本気でブログ記事に書いたことがある。それと重なる部分もあるが、改めて解体工事を眺めていて、思うことを書き留めておこうと思う。

ともかく、こうして高校の校舎が壊されていくのは寂しいことで、ほとんど部外者である私ですらそうなのだから、地元の人や卒業生にとってはもっともっと寂しいことだろう。時代の流れといえばそれまでだが、やはり、校舎を別の形で有効利用できていたら…と思わざるを得ない。

市でも「笠沙高校跡地利用対策協議会」を立ち上げて、跡地利用を議論・検討していたが、今から思えばそれが間違いだったと思う。というのは、「○○に利用しては?」という意見が出ても、その運営をどうするのか、予算をどうするのか、そして何より運営主体をどうするのかという話が具体化しないかぎり、全ては机上の空論である。そして、そこまでを「対策協議会」が担うというのはちょっと現実的ではない。

やるべきだったのは、「旧笠沙高校の校舎を使いませんか?」と広く呼びかけて、その利用法を提案してもらい、行政や住民がそれを審査する、という公募ではなかったかと思える。この方法だと、例えば都市部で説明会を開催するといった、広く呼びかける手間はあるが、それさえやれば行政や住民は提案を審査する立場になるため、知恵を絞って苦労する必要もなく、運営や予算に悩む必要もない。

公募の結果、ロクなところが応募して来なかったら該当者ナシで全部を棄却してもよい。だが、民間が行う事業だから、完全に地元住民の意向に沿った利用にならないのは当然である。というより、現今の財政・経済事情の中で、「地元住民の平穏な生活」というある種の既得権を守っていく余裕はどこにもない。このまま過疎地として静かに滅んでいくという選択肢を取らないかぎり、「平穏な生活」を捨て、活性化のために都市からの有象無象を受け入れる覚悟がいると思う。

もちろん、南さつま市で実施したい事業に活用するならその方がよいが、そういう事業もなく、議論がまとまらないまま、校舎の老朽化が進んでどうしようもなくなったというのが実態だと思う。なにより、主管である教育部が、学校の統廃合などより喫緊の課題を抱えている中で、廃校利用という、ある意味では「やらなくても誰も困らない仕事」に手間を掛ける余裕がなかったということが一番の「敗因」ではないか。

これから、近くだと玉林小学校、赤生木小学校、笠沙小学校が廃校となり、その校舎が空くことになっていると思う(※)。この3校の校舎利用については、笠沙高校と同じ轍を踏んで欲しくないと強く思っている。行政や住民で積極的に「これに利用したい」というアイデアがなければ、ぜひ廃校利用の事業を公募をしていただきたい。海道八景沿いでもあるので、独創的な事業が提案されるかもしれない。校舎をほとんどタダで提供すれば、普通は赤字になる事業でも可能になる。廃校で誰かの夢が叶えられるかもしれないのだ。関係者の英断を期待したい。

※この3校のうち、どれかは公民館にする予定のように仄聞したが、廃校を公民館として利用するのはあまり上策とは言えないように思う。

【参考】
ちなみに文部科学省でも、〜未来につなごう〜「みんなの廃校」プロジェクトというのをやっているので、行政関係の方は是非見てもらいたいと思う。以前は廃校利用は様々な制約があったが、現在では随分簡単になってきている。

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