ダンチクは、一見竹のように見えるがイネ科の多年草。放っておくと株立ちで4mほどにも生長し、非常に邪魔なので昨年来駆除を続けているが、なかなか勢力が弱まらない。
写真は、ダンチクを根元まで全て切った上に根元を炭化するほど焼いたにも関わらず、平然と新芽を出してきた様子…。全然応えていないようだ。
このダンチクという植物、Wikipediaで見てみると、とても興味深いものだったのでちょっと紹介したい。
- 花は毎年咲くが不妊性で、有性生殖せずに栄養生殖(地下茎が伸びる)のみで増える。
- 遺伝的多様性が極端に低く、ほとんどの個体が同じ遺伝子を持つクローンである。 おそらく突然変異で出来た一個体がクローンで世界中に広まったのだろう。
- 砂地から泥まであらゆる土壌に適応し、特にヒ素、カドミウム、鉛の豊富な土地でよく育つ。これらの有害金属を植物体内で濃縮するため、土壌の浄化に使える可能性がある。
- 極めて生長が旺盛で、C3植物なのにC4植物と遜色ない光合成能力を持つ(※)。そのため、炭素固定やバイオマス、バイオ燃料として有望な植物として研究されている。
- カリフォルニアでは河川の護岸植物として1820年代にダンチクが導入されたが、ダンチクは動物の餌にも巣にもならず、毒が含まれており昆虫も食べない上、生長が非常に早いこともあり、生態系の多様性を損なうという打撃を与えた。
- ダンチクは火にも非常に強く、焼き払っても根から新芽が出てくる。いくらかの農薬も登録されているが 川岸にあるダンチクの駆除は困難である。
- ダンチクは古くはエジプトでその葉が死体を包むのに使われた他、木管楽器のリード、笛やバグパイプの材料としても使われた。また、紙の原料にもなる。
また、よく「自然のサイクルに無駄はない」ということが言われるのだが、ダンチクは昆虫・動物の食糧にならず、また巣にもならないということになると、生態系の中で果たしている役割が不明で、実は自然界でも無用な存在なのではないかと思う(菌界のことはよくわからないが…)。突然変異で生まれた最強のやっかいものがダンチクなのかもしれない。
なお、Wikipediaにはリードとか笛として使われたと書いているが、これは眉唾だ。ダンチクは確かに繊維質で難いが、意外に脆く、楽器として経年使用に耐える強度があるとは思えない。紙の原料となったのも、イタリアが全体主義体制になって紙の原料が輸入できなくなった時の苦肉の策だったらしい。要は、工芸材としてもダンチクは2級品、3級品だったはずだ。
もし、このダンチクがバイオ燃料として活躍する日がきたら、それはダンチクが世界に対して初めて役に立つ時なのかもしれない。
それはさておき、この強靱な植物の駆除はまだまだ先が見えない。 駆除が困難というこの川岸のダンチクは、ラウンドアップの原液を株に流し込んだら多少はダメージを受けてくれるのだろうか…?
(※)C3とかC4というのは、光合成の方式の違いである。C3植物は普通の植物で、C4植物はより乾燥や低二酸化炭素に耐えることができ、光合成の効率がいい植物。
【謝辞】
この植物がダンチクであることが数ヶ月わからなかったのだが、竹の権威である内村悦三先生にメールで問い合わせたところ、先生にご教授いただき判明した次第である。この場を借りて、内村先生には改めて御礼申し上げたい。
初めまして。
返信削除ダンチクについて知りたくて色々と見ていたら
こちらのブログにたどり着きました。
ダンチク、バイオ燃料として活躍してるみたいですよ♪
http://wired.jp/2012/06/05/green-technology/
私もダンチクって厄介だな…と思っていましたが
見方が少し変わりました(笑)
akiさん
削除コメントありがとうございます。Wikipediaを要約しただけですので参考になったかどうか…。また、情報もいただきましてありがとうございました。多分リードとして使われていたというのも、イタリアでだと思うんですよ。バイオ燃料として使われるのもうまくいくといいですね。
ちなみに、私が対処中のダンチクは川沿いなので(水質汚染が心配で)できないのですが、そうでなければ有効な駆除方法があるんです。
それは、車のエンジンオイルの廃油を1斗官の半分くらい根元にぶちまけることです。イネ科は油に弱いんですよ。廃油は、車の整備工場などでタダでもらえると思います。ただ、環境負荷はラウンドアップの方が遙かに小さいです。周囲に迷惑がかからないような所でだけ使える方法です。
それにしても、ダンチクの強靱さの秘密はなんなのか、誰か研究してくれないかなあ。
はじめまして。
返信削除ダンチクで検索してやってきました。
ラウンドアップは効きましたか?
私もシノタケに手を焼きましたが、まず刈り払って、芽吹いたところに濃いめのラウンドアップを散布すると枯れることが分かりました。雑木は伐採したのち、形成層に沿ってラウンドアップの原液を塗ると枯れますが、シノタケは切り口より、葉に散布したほうが効くようでした。
うりこさんはじめまして。
削除ラウンドアップは使っていません。でも、今のところほぼ駆除できています。完全に根絶やしにするのは難しいのですが、一年に4回ほど草払いすると徐々に弱ってきて、2年目にはほとんど気にならないくらい小さくなることが分かりました。執念と執念の戦いですね!
私も神奈川から南さつまよりもっと南の屋久島に移住する予定です。そこでまた畑を開墾することになるでしょうが、できたら難敵は最初に根絶やしにしてから始めたいと考えています。後の手間が断然違いますし。
返信削除屋久島への移住予定なんですね! であれば、まずダンチクが生えているようなところは開墾しない方がよいでしょう。ダンチクが生えているところは、地下水位が高かったり、排水が悪いところが多いです。栽培には向きません。同じ荒れ地でも、やはり雑木が生えているところがよいと思います。伐採も楽々ですしね。
削除こんにちは。ダンチクで検索してやってきました。
返信削除ダンチク、(Arundo donax)はリードや笛として実際に今でも普通に使われています。
国によっては、ダンチクはケーンと呼ばれますが、ケーンを使って作った笛がケーナです。オーボエやクラリネットのリードの材料としても使われます。但し育った地域によって特性が違うらしく、主に地中海沿岸の畑で栽培されたものが使われているようです。
はじめまして!
返信削除私が作っている田んぼの横の川にもダンチク多数です!森と化してます!大水が出た時には水害にもなりかねません。市役所に伐採を洋望してますが早いことになりません。とりあえず一回伐採をして、その後は小まめに刈ろうと思ってます。
島根県浜田市 籾山
60年位昔はちくわの芯として使われていました。
返信削除葉を笹舟にして遊びました。
今は使い方がわからないので邪魔な暖竹はラウンドアップを
掛けてみようかと想います。