4月1日にタカエビ漁が解禁された。というわけで、近隣にある博物館併設の宿泊施設「笠沙恵比寿」でタカエビ会席を食べたのだが、このエビ、非常に美味である。
タカエビというのは、鹿児島でもあまり知られていないが、日本に数多いエビの中でも相当に美味しい部類に属すると思う。
このエビは所謂「甘エビ」であって、熱を通さなくても美しいピンク色をしており、刺身で食べることができる。食感は、甘エビよりもぷりぷりとしていて、甘味はよりさっぱりしている。
これは甘エビと同じように深海(300〜600m)に棲むエビであるが、一般に言われる甘エビ=ホッコクアカエビとは種類が違う。ホッコクアカエビは死後の自己消化の過程でアミノ酸が生じるために甘くなるらしく、捕獲後しばらく経ってからでないと甘味が感じられないのだが、タカエビは新鮮な状態でも甘いので、甘さの原因が違うのかもしれない。この違いが、ぷりぷりとした食感と甘味が両立するタカエビの優れた形質の根本にあるのだと思う。
また、タカエビと甘エビの見た目の違いとして大きいのは、タカエビは長い髭が紅白になっているということだ。髭が紅白というのは大変おめでたい姿だが、髭はデリケートなために輸送途中に取れてしまうことが多く、市場ではなかなかお目にかかれないものらしい。そもそも、タカエビは鹿児島でも東シナ海側の限られた漁港でしか獲れないもので、タカエビ自体が希少であり、あまり市場に流通していないのだが。
なお、タカエビは地方名で、正式な種名はヒゲナガエビだと解説されることが多いが、これは本当だろうか。ヒゲナガエビとタカエビには形態や味に微妙な違いがあるので、どうもこれは疑わしい。私はこれを地方の亜種であると思っているが、どうだろうか。
ちなみに、笠沙恵比寿のタカエビ会席は、前菜からご飯ものに至るまで全てタカエビづくしである。タカエビは甲殻類らしいクセがあまりなく、食感もあっさりとしているので、最後まで美味しい。だが、正直に言えば、メニューにもう少し工夫が必要かとも思った次第である。例えば、途中でエビ以外のものを一品挟むといった箸休めが必要であろう。
こんにちは。えびの人です。
返信削除先日、笠沙恵比寿でタカエビづくしの食事をいただいてきました。
生、焼き物、揚げ物等とおいしくいただきましたが、やはり最初から最後までタカエビづくしは正直きつかったのです。舌がエビ味に麻痺するというのか、エビのありがたみが薄れてしまうというのか・・・。
食後にスタッフの方に意見を申し伝えたところ、少しでもタカエビのおいしさを味わってほしいとの思いがあるとのことでしたが、今後の参考になりますとも言っていただきました。
少し話が脱線しますが、私が南さつま市にときどき行く機会があるというのは「笠沙恵比寿」に行くからなのです。あそこの魚料理は本当においしくて、時々無性に食べたくなるのです。