2012年8月9日木曜日

南さつま市定住化促進検討委員会

「南さつま市定住化促進検討委員会」なるものの委員になった。

これは、南さつま市役所が移住・定住施策の充実を図るために設置したもので、具体的には、秋までにそのための施策を検討して報告することとなる。私は、一応首都圏からの移住者だから、その経験を踏まえた意見が求められているわけだ。

ちなみに、移住・定住を促進する目的だが、
  • 南さつま市は毎年約600人が人口減少しており、高い高齢化率とも相まって街の活力が低下している。
  • そこで、街の活力を呼び戻すことを第一の目的として移住・定住の促進を行いたい。税収増などは直接の目的ではない。
ということだ。

先日初回の委員会が開催されたが、意見交換の内容を要約すると、
  • 移住にあたっては人との繋がりが重要。
  • 移住・定住が成功し長続きする人は、何を目指しどういう生活をしたいのかという目的意識が明確な人が多い。
  • 南さつま市の魅力が何なのか明確でない。そこを明確にすることも必要では。
  • 移住・定住してもらいたいターゲットをどう設定するかによって施策が変わってくる。対象者をセグメンテーションして対象ごとの施策案を事務局に考えてもらう。
というところか。

人口減少は多くの地方自治体にとって大問題で、程度の差こそあれ移住・定住促進はかなりの自治体が取り組んでいるし、少しくらいの補助金を出すくらいでは明確な効果はないだろう。もしやるなら、やはり地の利を活かした、独自性のある、目立つ施策をやらなくては税金の無駄になる。

南さつま市は日本の辺境に位置した自然と歴史の豊かな土地なのだから、そこを活かさなくてはならない。そして、目的は「街の活力」なので、単純に人を増やすということではなくて、活力を呼び起こすようなタイプの人に移住してもらう必要がある。そう考えてみると、例えば「起業や事業所開設への手厚い補助」なんて施策はどうだろう?

結局、仕事がなければ移住は出来ないのだし、ただでさえ雇用環境が厳しい中で生産年齢の方をむやみに移住奨励することは今の住民に不利益になる。であれば自ら事業を営む方に来て頂き、できるなら人を雇用してもらえれば一挙両得である。こんな辺境の地で起業なんかするわけがない! というのは思い込みで、今はインターネット環境さえあればグローバルに仕事ができる時代だし、「変化は辺境から始まる」のだから、真にクリエイティブな仕事がこの南薩でこそできるかもしれない。

もちろん、そんな大仰なことでなくても、焼き鳥屋を開くとか、美容室をオープンさせるとか、そういうことでもいいのである。結局は経済活動が盛んであることが街の活力なのだから、どういう事業を営むかはともかく、起業家精神が旺盛な人に来てもらうのが一番だ。

「日本の端っこで起業しませんか?」をキャッチフレーズに、起業資金の補助、無利子融資、土地の斡旋、広報の協力、インターネット環境の整備(光ケーブル)、法務の支援、税制の優遇(5年間無税とか)などなどを行い、南さつま市が「日本一起業家に優しい街」になれば、きっと日本中から起業家が移住してくると思うがどうだろうか。

とはいえ、野心ある起業家はアクの強い人間だったり、旧習を無視したりして、地元の人間と軋轢を起こすことも多い。しかし、「地元でうまくやっていける人間」だけを求めていては、閉鎖的な社会構造を変えることができずに、人口流入は期待できないと思う。自らが変わっていく覚悟があってこそ、外の人間を受け入れることができるのではないだろうか。

2 件のコメント:

  1. こんばんわ。再度コメントさせていただきます。
    本日の風狂さんの論旨とは少し的外れかもしれません。1年ぐらい前でしたか、南日本新聞の南薩担当の記者が、過疎化が進む地域を元気にするのは『よそ者、バカ者、若者』であるという記事を書いてるのを目にしたことがあります。”バカ者”とはその地域の人々に”変わってる”、”バカなことを始めて”と言われても意に介さない人を言うのだそうです。今、事あるごとに”地域の活性化”という言葉が金科玉条のごとく叫ばれます。しかし、人々は”地域活性化”とは具体的に何ぞやという命題を真摯にとらえて行動しているのでしょうか?私は極端かもしれませんが、『人、モノ、金、そして現代はITネットワーク』がそこに生まれることだと捉えています。しかしながら、行政も地域住民もそこで年に1~2回そこそこのイベントを実施して、町興しだ、地域興しだと言って満足してるようにしか思えません。私は今一人で非力でいつまで続くかわかりませんが、”モノを生むために”前にも書きましたが、その地域でも特産品に育てることができるかも知れない果樹栽培に取り組んでいます。キャリア官僚を投げうたれた風狂さんも私も、『よそ者、ばか者(完全にはなれませんが)』だけには当てはまるかも知れませんね。またお考えとアドバイスください。

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    1. uncle farmerさん

      コメントありがとうございます。uncle farmerさんと理由は違いますが、実は私も、最近話題の地域振興にはちょっと違和感を持っています。「よそ者、ばか者、若者」のアイデアや行動力で地域が前向きに変わっていくというのはその通りで、そういう地域興しができる地域はそれでいいと思うのですが、結局、そういう取り組みができるのは一部の地域だけなのではないだろうか? と思うからです。そういう成功した地域興しだけを持てはやすことは、それができない「平凡な地域」を置いてきぼりにすることではないでしょうか。

      では、「平凡な地域」にとっての地域興しとは何かと考えますと、いかにもつまらないのですが、「平凡な人間が、平凡に頑張れば、平凡に生活できて、平凡な幸せを摑める基礎を地域につくること」だと思っています。そして結局、それは地域の産業基盤がしっかりしていることなのだと思います。これは、uncle farmerさんが仰るような「人、モノ、金、ITネットワーク」と趣旨は似ています。

      しかし、産業基盤というのはくせもので、役所が主導で産業を育てようとすると大体は失敗します。インフラを整えるくらいはできるのですが、各地にうまくテナントが入らない「産業団地」が放置されており、やはり地域の人々による自然発生的な取り組みの結果として産業が興るということでないと難しい。つまりは、地域に住む人達による地道な取り組みが地域興しになるのだと思います。そのためには、地域に住む人達の心が前向きに変わっていく必要があります。しかしこれも難しい。前例踏襲的な、事なかれ主義的な、元老政治的な停滞感があって諦念に支配されているのが「平凡な地域」であって、そんな前向きになれるくらいなら既に地域が活性化されているはずです。傑出したリーダーがいればまた違うでしょうが、そんな人材がいるならそれはもう「平凡な地域」ではない。しかし、環境が変われば「平凡な人」が非凡な働きをするのであって、どうやって「平凡な地域」がその環境、雰囲気を変えていくのかということになるでしょう。ともかく、「平凡な地域」にとって地域興しというのは難しい課題ですね。確かに打ち上げ花火的なイベントをやって地域興しとする役所のやりかたは問題ですが、それ以上何をするかというのがなかなか難しいところだと思います。役所主導でぐいぐいやっていくのがいいことなのか、というとそれもちょっと疑問で…。やはり地域に住む人間一人一人が意識してからが勝負なんでしょう。

      こちらこそ、いろいろご教示いただけますと幸いです。

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