先日来の「農業基礎講座」の最終回。今回のテーマは農業経営について。その要諦は極めて簡潔だ。すなわち、
(1)経営状態を改善するには現状把握が大切であり、そのためには数値化が必須。
(2)数値化のためには、複式簿記・青色申告の利用は当然として、業務日誌などをつけて作物毎に労働時間を把握することなども必要になる。
(3)そうして、収入・経費・借入金の償還・労働時間・収益の使途などを把握することによって経営者としての判断が可能になる。
(4)また、家族経営協定や認定農業者制度の活用は、各種制度資金等の利用が可能になるのみならず、曖昧だった家族労働の形態や経営の目標を明確化するというメリットがある。
(1)〜(3)は農業に限らず、事業を経営する場合は当然のことであって、その基本理念は単純明快だ。だが、その具体的管理方法は、業界ごとにさまざまあるものの決定打のようなものはないのが普通だ。例えば、業務日誌をつけよというが、これは具体的にどんなものだろうか?
企業的にプロジェクト管理の考え方でやると、作物別に管理表があって、それに記帳していく方式もあるだろうし、日毎に1シートを使うまさに日誌型の管理もありうるだろう。会計の管理はスタンダードがあるが、業務管理には王道はない。中心となる商材、経営のおかれた状況、労働の体系によっても最適な方法は変わってくる。
しかし、農業経営というのはかなり確立した世界なのだから、最適とはいわなくても基本の管理方法というのは(私が知らないだけで)あるのではないだろうか。こういう研修では、基本的な考え方だけでなく、そういう具体的な好事例を紹介してもらえると有意義ではないかと思った。例えば、話題の農業生産法人ではどういう業務日誌を使い、どういう会計管理をしているのか、そういうことがわかったら面白い。
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