意外かも知れないが、古民家の音響は極めていい。
私は一応ちょっとしたアンプで音楽を聞いているが、スピーカーはいらなくなったミニコンポのスピーカーだし、耳は悪いし、音に特別こだわるタイプではないけれど、それでも違いがわかるくらい、音の質がいい。
古民家の音響がよい理由は、その構造にある。
我が家は昔、天井裏で蚕を飼っていたようで、天井裏に割と広い空間がある。古民家であれば、蚕ならずとも米倉庫や藁置き場になっていたり、天井裏の空間が活用されていたことが多いだろう。
また、部屋の仕切りがあまりないことも相まって、オーディオから発せられた音がこの天井裏の空間を通じて家全体に共鳴し、よく響く。しかも、不明瞭な響き方ではなくて、一音一音が明晰に、繊細に鳴り響く。オーディオから一番離れた部屋にいても、音楽が不思議なくらい自然に聞こえる。これは、鉄筋コンクリートの建物に比べ、無用な音の反射がないからとも思う。コンクリートの壁は、むやみやたらに音を反射させるのでよくない。
つまり、古民家にオーディオを置けば、家そのものが楽器になり共鳴するのだ。特に中低音の響きには艶があり、中音域の奥行きが豊かに聞こえる。ジャズやクラシックを聴くのには最高の環境と思う。ただ、ポップスやロックで、高音がキンキンしているような曲の場合、もしかしたら迫力が削がれてしまっているような気もする。まあ、何事にも一長一短はある。
ちなみに、家そのものが共鳴するため、家の外にも音楽がよく聞こえ、都会であれば騒音問題になりそうなほどだ。ここは田舎で家もまばらだから深夜でもない限り気にする必要はないだろうが…。
古民家は音響がいいというのは何も私だけが言っているのではなく、ネットを見てみると結構いろいろな人が古民家で音響を楽しんでいるみたいだし、先日伺った美山のたけずみ屋さん たけずみ本舗では古民家にバカでかいスピーカーが鎮座して最高の音響環境を演出していた。
音響の基本はまず空間(部屋)であって、そう言う意味では、古民家はオーディオマニアの家として一つの選択肢だと思う。まあ、そのためだけの部屋(オーディオルーム)には及ばないのかもしれないが、リタイア後に、古民家に移り住むオーディオマニアがいてもおかしくないレベルだと思っている(私自身はオーディオマニアではないので戯れ言にすぎないけれど)。
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