実は今、南薩のポストカードを作っている。
きっかけは何だったか忘れたが、南さつま市が近年「南さつま海道八景」のプロモーションに力を入れているように、南薩のこのあたりは絶景の宝庫であるにも関わらず、なぜかポストカードの一枚も販売されていないため、「ないなら自分たちで作っちゃえ!」と軽い気持ちで始めたのが昨年のこと。
私の写真の腕前はドシロウトであるため、高校の同級生でセミプロカメラマンA君の絶大な協力をお願いして快諾をもらい、また笠沙の現代アート写真家こと向江 新一さんからの写真提供もあって、写真についてはあまり心配していなかったが、いざ撮影をお願いする段階になると(ここをこんな風に撮って欲しいと具体的にお願いしたわけではないが)結構難しい仕事であることに気づいた。
というのも、単なる風景写真ではなくてポストカードにするものだから、見る人が「美しい」と感動するだけでなくて、風景を自分のものとして共感して、それを人にあげたいと思ってもらわなくてはいけない。また、コンテストで入賞するような写真は、撮影者の独自の視点であったり、他の人が見逃していた美しさなどが表現されていることが多いと思うが、ポストカードの場合はあまり独自性がありすぎてもいけないと思う。それは、ポストカードの風景は、撮影者だけのものではなくて、手紙を出す人のものでもあるべきだと思うからだ。
だから、凡百の観光地のポストカードは、誰も文句が言えないような、代表的な絶景を無難に配置するということになっているのだと思う。そして、それで十分な場合もあるだろう。けれども、せっかく私のような一個人が発案して作る風景ポストカードなわけだし、そういう無難なやり方ではなく、これまでにない南薩の表情を切り取ってみたいという欲もある。
このあたりのことは、実際に写真を撮るA君が考え抜き、また悩み抜いたであろうことで、写真を選ぶ(という傲岸な立場の)私はあまり考える必要はなかったのかもしれない。だが、南薩の絶景でポストカードを作る以上、自己満足で終わらせずに、地域の多くの人に実際に使ってもらいたいと思っているし、しかもタダで配るのではなく、大浦ふるさと館等で販売して、経費分くらいは回収したい。ビジネス的にそのくらいできなくては、ただの素人の遊びになってしまう。
それに、この数ヶ月間、A君は写真撮影のために貴重な休日の多くを費やしているわけで、私の方としても自然に、ポストカードを作るということが本当はどういうことなのか、なんとなく考え続けてきた次第である。
そして、ついに、A君からも素晴らしい写真の数々が入稿され、今、印刷段階に入っているところである。5種類作る予定で、シリーズタイトルだけ事前告知しておくと「Nansatz Blue」という。別に青をテーマとしたポストカードというわけではなかったのだが、入稿された写真を見ていると美しい青の写真が多い! ということから、今回は青に絞ってポストカードを作ることになった。「今回」ということは「次回」があるはずで、まだ何も完成品を出していないうちから次回のことを考えるなんて笑止千万とは思うが、A君の撮ったたくさんの写真を目の前にして、5種類とはいわずまだまだ作るべきだ、という思いが強くなった。やはり、南薩は美しい。
うまくいけば発売は8月末か9月初旬である。改めてお知らせするので是非注目してほしい。
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