2013年8月27日火曜日

南薩には、かぼちゃのシーズンが年に2回あります

ここのところずっと、何もかもが砂漠のように乾いていたが、昨日久しぶりの本格的な雨が降った。

この雨を期して先週秋かぼちゃの種を植えており、それがちょうど今日発芽していたので、これはまさにベストタイミングな恵みの雨だ。

例によって先輩農家Kさんの絶大なる協力を得て、今年も秋かぼちゃをやらせていただくことになり、惨憺たる有様だった昨年の秋かぼちゃのリベンジを果たそうと目論んでいるところだったので、幸先のよいスタートにひとまず安心である。

ところで、私も特に意識していなかったのだが、南薩ではかぼちゃを春と秋の2回作付するということが特徴の一つである。かぼちゃというのは、夏野菜ではあるけれどやや涼しい気候を好むので、時期を工夫すれば北海道と東北を除く日本の多くの地域で春秋2回の作付が可能であるように思うが、実際に2回作付しているところは少ないようだ(多分、鹿児島以外にはなさそうである)。

その理由はいろいろ考えられるが、第一には経営作物としてあまりうまみのないかぼちゃをわざわざ1年に2回も作る利点がないということがあるだろう。それに連作を嫌うかぼちゃを1年に2回も作っていたら、度重なる土壌消毒などで土がすぐにバカになってしまうという理由もあるかもしれない。

では、なぜ南薩では春秋2回作付するのだろう? 南九州では4月から5月にはかぼちゃが出来て初物として高値で取引されるので、春にかぼちゃが作られるのは合理的としても、どうして秋にも作付するのだろうか?

それは南薩の早期水稲と関係がある。ご存じの通り、南薩の西部は早期水稲の産地で、新米の季節は8月である。普通は、お米の収穫時期は10月だから、米の収穫後に2毛作で何か作ろうとしても時期的に選択肢は限られるが、早期水稲の場合、8月に田んぼと労働力が空くわけなのでその後いろいろ作ることが可能である。

そして8月というのは、かぼちゃを作付するには霜が降るまでに収穫まで漕ぎ付けるギリギリの時期で、南薩のかぼちゃの多くは、この収穫後の田んぼを利用して作られているのである。収穫後の田んぼというのは、何も作らなくてもどうせある程度の管理が必要になるわけで、であれば何か作付する方が得策である。そのため、南薩の早期水稲収穫後には、蕎麦やかぼちゃといった短期集中型の作物が植えられることになる。しかも水稲後の作付は、土壌消毒の必要がなく経済的かつ健康的である。

さらに、12月は北海道からのかぼちゃが切れる時期にあたるので、市場的な価値も高い。…ということになっていたが、今では輸入ものがあるのでスーパーには一年中かぼちゃがあるし、貯蔵施設の整備などで北海道のかぼちゃも随分遅くまであるため、鹿児島の秋かぼちゃの価値が揺らいでいる面がある。

その上、秋は台風シーズンに当たるため、秋かぼちゃは博打性が強い。昨年の秋かぼちゃが惨憺たる有様だったのは、播種時期の長雨ももろんだが、台風が(直撃でなかったとはいえ)4回も来た影響が大きい。天候のことは人の手ではいかんともしがたいわけで、秋かぼちゃの生産は不安定にならざるを得ない。

しかしながら、1年に2回かぼちゃのシーズンがあるということは他にはあまり見られない特色なので、今まで誰もこれをアピールしようとした人はいないみたいだが、何か活かす道があるのではないだろうか。少し考えてみても何も妙案は浮かばなかったが、いいアイデアがある人はぜひご高教願いたい。

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