2012年6月12日火曜日

『果樹栽培の基礎』

本日も雨なので農業の勉強。ということで『果樹栽培の基礎 (農学基礎セミナー)』(杉浦 明 編著)を読む。

先日読んだ『農業の基礎』と同じく、基本的な考え方を学ぶ本であり、もとは高校の果樹の教科書として執筆されたものということで実践的ではなく、具体の栽培技術については概念的に書かれている程度である。

その内容は、まずは果樹生産の歴史や世界的状況を外観し(第1章)、果樹の生長や果実肥大の仕組みについて解説してから(第2章)、果樹管理の基礎的な技術(剪定、施肥、灌水、施設栽培、加工など)を述べる(第3章)。そして後半は、落葉果樹の栽培・利用法(第4章)、常緑果樹の栽培・利用法(第5章)について概説する、というもの。落葉果樹としては、リンゴ、ナシ、ブドウ、カキ、モモ、スモモ、オウトウ、ウメ、クリ、キウイフルーツ、ブルーベリー、イチジクが取り上げられており、常緑果樹ではカンキツとビワである。

『農業の基礎』と比べて気づくことは、果樹では施肥などの管理にあまり厳密さを求めていないことで、施肥量については『農業の基礎』では複雑な計算式を使って求めていたのに、本書では「果樹のような永年作物では、この算出はきわめて困難である。(中略)標準施肥量を与えてみて、そのときの木の栄養状態をみてかげんする」(p.53)という一見おおざっぱなやり方になっている。

これは、計算式による施肥量の算出が難しいことも一因ではあるが、一回限りの収穫となる一年草の野菜と違い、果樹のような永年作物では、樹勢・樹齢・目的とする樹形などに応じて経年的に管理していく必要があるからだと思う。つまり、計算式に基づいた管理より、樹勢や収量を見ながらの状況に応じた管理が重要になるわけだ。

ちなみに、いろいろな果樹の管理法をざっと眺めていて取り組んでみたいと思ったのは、クリの栽培だ。その理由は、所用労働時間が極端に短いことによる。主要な果樹は年200〜300時間(10aあたり)の労働を要するが、クリでは年100時間を切る。ということで、アクセスのよくない山林に植えるのはぴったりな気がする。放置林になっているうちの山(どこにあるかもよく分からない)をクリ林として活用出来たら面白い。

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