先日、露地(9尺トンネル)のかぼちゃを収穫して農協に出荷した。出来はどうだったかというと、想定よりも出荷コンテナの数が少なかったので、やや不作だったと言えるだろう。
不作だった原因はいくつかあり、重要な時期に強風が吹いて樹勢が弱ったから、ということもあるが、主な原因は当初「有機的管理」、つまり「なんちゃって有機農業」でやろうとしたためだろうと思われる。そこで、個人的な備忘メモになるが、今回感じたことを記しておこうと思う。
まず、今回コンパニオン・プランツというものを試してみたが、これにはあまり効果はなかった。コンパニオン・プランツとは、簡単に言えば生育を互助するような相性のいい植物を共に植えることをいう。かぼちゃの場合はネギと相性がいいということで、種の段階からネギを混植してみた。これ以外の条件をきっちり同じにしていないので、統計的に意味のあるデータは取れなかったが、どうも効果はあったとしても小さいようだ(まあ、元よりそんなものだろうとは思う)。ただ、これに関しては別段手間やお金がかかることでもないので、今後もいろいろ試してみたい。
次に、今回は農薬を1回しか使わなかった。というか、最初は栽培期間中無農薬で作ろうと思っていたのだが、結局カボチャうどん粉病が激しすぎて葉が持ちそうになかったので、やむなく1回使った、というのが実態である。農協に出荷するものなので、農薬を無理に減らす必要はないし、減らしても特に値段が変わることもないけれど、農薬が経れば経費も減るし、自分が嬉しいので試してみたところである。結果から言えば、農薬は2回は使った方が経営的には良かったと思う。
当初はアブラムシがひどく、大丈夫か不安になったが、これは意外と放置していても平気で、一部潰滅したところもあったが、思ったほど広がらなかった。適切な間隔で定植していれば、特に何も対策をしなくても、アブラムシによる減収効果は2〜5%ではないだろうか。これは最近よく言われるようになった「経済的被害許容水準」というやつに合致しているだろう。ちなみに、この経済的被害許容水準というのは、乱暴に言えば「この程度の病害虫だったら、経済的被害が小さいから放っておきましょうね!」という考え方である。
結局かぼちゃの病害虫防除の主戦場はうどん粉病であって、これをどれだけ避けうるかによって農薬が減らせるかが決まるのだと思う。
こうしてほんの数ヶ月ではあるが有機的管理をしてみて思ったのは、有機農業というのは農薬なり化学肥料なりを使わない農業、ということではなくて、圃場生態系を整えて病害虫の発生を抑制することで農薬や化学肥料を使わないで済む農業なのであって、単に農薬を減らそうとしても全然お話にならない、ということである。まず圃場生態系、つまり圃場に住む微生物から昆虫までの生態系をバランスのよいものにするのが第一歩で、わかりやすい言い方をすれば「土作りを頑張ろう」ということに尽きる。
だが問題は、どうしたらいい土が作れるのか、ということでこれには自分の中にまだ回答がない。さらに、本当によい土が作れたら、農薬使用をなくせるのかどうかも実際のところよく分からない。よく分からないけれども、しばらくはいろいろ試してみて、どういう可能性があるのかを実感してみたいと思っている。
こんにちは!
返信削除以前溝辺で無農薬の緑茶作りに取り組んでいらっしゃる方を取材したことがあるのですが、その方はニーム(インドセンダンの木)の実を直輸入してそれを発酵させたオリジナルの害虫忌避剤のようなものを作ってらっしゃいました。研究・開発の努力にびっくりしましたが、真摯に取り組む姿がとても感動的でした。
風狂さんも応援してます!
苦労されただけお話も長かったですが(笑)興味がおありでしたら紹介しますよ~(^^)
sawachobiさん、コメントありがとうございます。ニームの実から作る害虫忌避剤ですか。聞いたことないです。すごいですね…。
削除私は、ニガリでキオビエダシャクの防除ができると聞いたので、ニガリを購入する手間を省いて海水そのものを10倍に薄めて今日散布してみました。手抜きしたい方なんで、有機農業は向いてないかもしれませんね…。
有機農業を本格的にやってみようという時は、sawachobiさんに溝辺の方をご紹介いただきたいと思います! ありがとうございます。