「栗マロンかぼちゃ」という、なんだかとても重複感のある名前を持つブランドかぼちゃをご存じだろうか?
これは、1個2000円程度、(基本的には通販でしか売っていないようなので)送料を含めると1個3千円近くという、かぼちゃとしては相当高額なブランド品、私の知る限りでは日本かぼちゃ界の最高峰である。
私は、一応「加世田のかぼちゃ」を暫くは作っていこうと思っているわけだが、実際のところ「加世田のかぼちゃ」がどれくらい美味しいのかということに疑問を抱き、この最高峰のかぼちゃを取り寄せて食べ比べてみることにした。というのも、確かに「加世田のかぼちゃ」は大変美味しいかぼちゃだと思うが、井の中の蛙なのかもしれない、とも思うからである。大体、かぼちゃなんて真面目に食べ比べしたことがない。
で、結果だが、確かに「栗マロンかぼちゃ」の方が美味い。が、その差は思ったほど大きくない、と思った。
シンプルな料理で比べた方がよいということで、「栗マロンかぼちゃ」を切ってオーブンで蒸し焼きにしてみたが、オーブンから出した時に広がる蜜のような甘い香りがすごい。これは「加世田のかぼちゃ」にはなく、まるでメープルシロップの香りのような、お菓子のような香りで、とてもかぼちゃとは思えない。
だが、味や食感は、まあこういう言い方をしてしまうと実も蓋もないが、所詮はかぼちゃである。「まさか、こんなかぼちゃが存在するなんて…!」というような驚きを期待していた方が悪いのかもしれない。かぼちゃとしては文句なく大変美味しいけれども、1個2000円以上という値段に見合った味なのかどうかはよく分からない。というか、「加世田のかぼちゃ」の最良のものの味と、だいたい同じくらいだと思う。
しかし、決定的に違うものがある。パッケージとパンフレットである。たかがかぼちゃのくせに、フルーツキャップでくるまれ冷蔵便で配達される上、WEBで説明していることも含めて、「栗マロンかぼちゃ」がいかに手間がかかり、いかに美味しいのか、また熟度の見極め方と言ったようなことが数ページにわたって書かれたパンフレットが同封されている。高級フルーツでも、ここまでやっているのは少ないと思う。
ちなみに、「栗マロンかぼちゃ」は栽培にやたら手間がかかる、ということなのだが、そこで説明されていることのほとんどは「加世田のかぼちゃ」でもやっていることだ。まあだからこそ大体同じ味になるのだと思うが、こういうブランド化の努力をしたことで、「栗マロンかぼちゃ」と「加世田のかぼちゃ」には(少なくともWEB上の存在感の点では)雲泥の差がついている。
産地や小売りにはそれぞれの思惑があるので、どちらが正しい戦略なのかは分からないが、日本かぼちゃ界の最高峰とそれなりに比べられる美味しさを持ちながら、「加世田のかぼちゃ」が一般的にはほぼ無名なのはもったいない。手間がかかる割には儲けが薄いということで生産が漸減しつづけている「加世田のかぼちゃ」だが、そのポテンシャルは決して低くはないと再確認した次第である。
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