2016年8月27日土曜日

自転車を安全に楽しく、そしてかっこよく! 利用できる街へ

南さつま市が、旧加世田市から受け継いだ「自転車によるまちづくり」を再びてこ入れするということで、地域おこし協力隊を募集している、という記事を先日書いた。

【参考】南さつま市が「サイクルツーリズムの実現」で地域おこし協力隊を募集中

実は、その記事にコメントしてくれた方が実際に応募するということがあり、惜しくも採用にはならなかったものの、こうしてブログを通じてご縁を頂けたのはとても有り難いことである。

そういう縁もあり、サイクルツーリズムというのには未だにピンと来ていないのだが(というのは、私自身は自転車に乗って観光したことがないので)、「自転車によるまちづくり」について、しばらくいろいろ考えていた。

市役所の思惑としては、イベントなどにサイクリストたちにたくさん来てもらって、南さつま市を売り込みたい! ということにあるだろう。でも自分としては、「自転車によるまちづくり」を標榜するのであれば、まずは市内にいる自転車に頼らざるを得ない人たち、というのに注目する。つまり、中高生である。

それでいつも思っているのが、自転車通学の中学生のあのみっともないヘルメット! 旧日本軍の鉄兜か! と思うようなダサいデザインの! あれを普通の、かっこいいヘルメットに変えたらどうか、ということだ。

←南さつま市内の中学校では、こういうやつ(画像はこちらのサイトからお借りしました)を共通で使っているが、中学生自身からも大変評判が悪く、このヘルメットを被りたくないから自転車通学はしたくない、というレベルである。たぶん日本の多くの中学校で同じ現象が生じていると思う(都会ではどうなんでしょうか)。

こういう前時代的なヘルメットを使っているから、「ヘルメットはダサい→ヘルメットつけたくない→自転車も乗りたくない」となっているような気がする。中学を卒業するときに、「ようやくこのダサいヘルメットとお別れできる」とホッとした気になる子どもも多そうである。実際、高校に上がってこういうヘルメットをつけて自転車に乗っている子を見たことがない。高校になるとノーヘルが基本になっていないか。

しかし、実際には自転車に乗る上ではヘルメットは大事である。というか安全性が最優先である。こんな、つけたくもないヘルメットをつけさせて、逆教育(ヘルメットはできればつけたくないもの、ということを教えている)している場合ではない。このヘルメット、頭が蒸れるし重いし、機能性もよくない。こんな時代遅れのヘルメットを被らせるより、むしろ、中学校を卒業してもつけたくなるような格好いいヘルメットを支給するべきだ(もちろんデザインも選べるようにすべき)。

だいたい、思春期の若者に、こういうダサいものを強制的に身につけさせるというのは、大げさに言えば一種の虐待であると私は思う。(自分の娘には絶対つけさせたくない!)

というわけで、南さつま市が「自転車によるまちづくり」を掲げるのであれば、まず、自転車に頼らざるを得ない中学生が、気持ちよく自転車通学できるよう、学校指定のヘルメットを機能的でカッコイイものに変えるべきだ。そして、自転車に乗るときはヘルメットをつける方がクールである、ということを認知させるべきだ(中学校の先生自体が分かっていないような気がする)。

しかも実は、ダサい鉄兜のヘルメットと、今ドキの普通にクールなヘルメットは、(エントリーモデルなら)価格的にもほとんど変わらないし、やらない理由がない。これをやれば、「自転車によるまちづくり」が本当に実のあるものになるし、全国的にも注目されるのではなかろうか。ぜひ検討して欲しい。

それから、自分が自転車でどこかへ出かけて行く時のことを考えると、結局キモになるのは自転車の運搬である。今南さつま市がやろうとしている「サイクルツーリズム」だとこれがとても重要になるだろう。つまり、結局は車で観光地まで自転車を運んでこなくてはならず、車が拠点になる。でもそれでいいんだろうか。

私は、一度野間池まで自転車で行ってみたいなあと思っているが、行きはいいとしても帰りは疲れるからイヤである。だから自転車で行って、バスで帰って来られたら便利だ。でも、バスに自転車を乗せられるのかがよくわからない。

中学生や高校生なんかも、バスで南さつま中心部(加世田)に行くときに、自転車をバスに乗せられたら行動範囲が広がるので喜ぶと思う。

というわけで、南さつま市内を走るバス(路線バスとコミュニティバス(つわちゃんバス))は、全部自転車と一緒に乗っても構わないです! ということにしたらとてもいいと思う。全路線ほぼ利用者が低迷しているので、特に設備をいれなくてもできることだ。

ついでに言うと、路線バスもコミュニティバスも、詳細な時刻表が市のWEBサイトには掲載されているが、バス路線というのは地元住民以外にはかなりわかりにくいもので、観光にはほぼ使えないものである。こういう詳細な時刻表も、地元民でないと読み解けない。それにそもそも便数が少ないので、実際観光客が利用できるかというと怪しい。でも時々は使いたい人というのがいる。

例えば、昨年私が開催したイベント「海の見える美術館で珈琲を飲む会」に来てくれたあるお客さんは、鹿児島市内からバスで来たそうで、5時間もかかったそうである(加世田まではすぐ来られるが、そこから会場の美術館までが便数がない)。

田舎にいると「自家用車を持っている人以外は相手にしなくてよろしい」みたいな態度になりがちだが、観光をする上ではやっぱり公共の交通機関が基本だ。電車が通っていない南さつま市は、タダでさえそこに負い目があるわけだから、せめてバスくらいわかりやすく使えるようにして欲しい。

具体的には、(私も詳しくないので見当外れかもしれないが)ナビタイムのような時刻表検索サイトにコミュニティバスの時刻表をちゃんと提出し、スマホで検索できるようにするくらいのことはしたらいい。しかもそれが、先述のように自転車も積めるということだったら、これで喜ぶ人がいるんじゃないかと思う。「サイクルツーリズム」で南さつまに来るような人は、自転車で長距離を移動するのでバスなんか使わないと思うかもしれないが、自転車がパンクしたり、自分が負傷した時にはバスで帰りたくなるはずなので、やっぱり公共の交通機関を使えるという安心感は欲しいはずだ。

そもそも、公共政策である以上、たとえ観光であったとしても、ごく一部の「サイクリスト」を相手にすべきではなく、最も弱い立場にある人に裨益する形で政策を考えなければならないと私は思う。もちろん観光客向けの、打ち上げ花火的なイベントもあっていい。でも街はまずは住民のものである。住民が、自転車を安全に楽しく、そしてかっこよく! 利用できる街になることが、「自転車によるまちづくり」の目標ではないだろうか。そしてそれは結局、観光で南さつま市を訪れた「サイクリスト」の利益にもなるはずだ。

【情報】
秋に行われる南さつま市の自転車の一大イベント「ツール・ド・南さつま」が現在参加者を募集中。受付は8月31日まで。

4 件のコメント:

  1. 先日、自転車先進県の某市へ行って来ました。
    その市では、高校生がスタイリッシュなヘルメットを被ってママチャリに乗っていました。
    市の職員に尋ねたところ「数年前にヘルメット購入の助成をして、自転車通学者全員が今のヘルメットを購入しました。」と答えてくれました。
    その市では、多くの大人がヘルメットを被って自転車に乗っていました。
    さすが自転車先進県だなと強く感じました。

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    1. しんいちさん、コメントありがとうございます。

      それは素晴らしい取組ですね。ぜひ役場のサイクルツーリズム担当の方に教えたいと思います。
      自転車先進県の某市、は具体的にはどこなんでしょう?

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    2. 愛媛県八幡浜市です。
      詳しく調べたところ、高校生の自転車死亡事故を防止するために県が助成金を出して、自転車通学の県立高校生全員にヘルメットを無償配布したそうです。それらのヘルメットは、高校生の意見を参考にして軽量で通気性の良い製品が選ばれたそうです。
      『愛媛県 高校生 ヘルメット』で検索すると、詳しく知ることができます。

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    3. ありがとうございました。ぜひ南さつまでも参考にしてもらいたいですね!

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