2014年2月11日火曜日

南さつま市健康元気まちづくり百寿委員会が発足

南さつま市はやたらと一人あたりの医療費が高いという問題があり、健康で元気な生活を送れるまちづくりを進めるため、このたび百人以上の市民を巻き込んで「南さつま市健康元気まちづくり百寿委員会」なるものが設立された。

私自身はどちらかというと不健康な方だが、なぜかこの委員に選ばれ、先日この設立会に参加したところである。その内容は、「健康元気まちづくり戦略会議」という百寿委員会の上に置かれた会議の委員長である吉田紀子氏の講演と、4つのワーキンググループ(WG)に分かれての自己紹介、次回の日程調整などなど。私は、「地域づくり・人づくり等場の創造」をテーマにする「絆ムスビWG」に配属させられ、今後検討をしていくことになる。

さて、私はこの設立会に先立ち、厚生労働省が策定した「健康日本21」とその参考資料を読んだり、これを受けて鹿児島県が策定した「健康かごしま21」に目を通したりして、健康寿命の延伸のための諸方策の勉強をしていたのであるが、吉田委員長の講演を聞いて目が点になった。

あまり批判はしたくないが、その内容はほとんど「トンデモ」である。人類がみな潜在意識のレベルでは繋がっていてそれを「集合無意識(ユニティ)」というとか、「純な思い」は波動となって伝わって周りの人をも幸せにするとか、健康になるには霊性・魂の健康が大事であるとか、その他資料には「ブラーフマン」「神性エネルギー」「生命場」「宇宙との繋がり感を体感」などの文字が並んでいた。

また、経済成長ではなく精神的幸福が大事といい、その意味でブータンの提唱する国民総幸福量(GNH)を礼賛していたが、平均寿命が日本より20年も短いブータンをお手本にしようとするあたり、ちょっとその意図を理解しかねる。講演を聞きながら、私の出番はなさそうだと暗鬱な気持ちになったところである。

ただし、言っていることはめちゃくちゃ(失礼!)だが、意外にその志向はマトモである。地域作りの成功例として掲げていた奄美、葉っぱを商材としたことで有名な上勝町、アーティストの移住が有名な鹿屋の柳谷(やねだん)集落、農業振興の成功モデルとされる綾町などの紹介を聞いていると、吉田委員長の理想とするまちづくりの方向性が見えてくる。

それは、センスと行動力のあるリーダーの下で、地域資源を活用した住民参加型の産業を興す一方、観光客やアーティストといった外部人材の流入を活発化する、それによってさらに街を活性化して停滞した雰囲気を打破し、住民が生き甲斐をもって取り組める自主的な活動を始めやすくする。また、街・村の景観を重視し、テーマを持って街づくりを進めることの重要性を強調する。こうしたことは、全て首肯できることであり、大賛成だ。

こういう「トンデモ」系の話を聞くといつも感じるが、「健康な人は素晴らしい波動を発散して、周りの人間も幸せにする」ではなく、「健康で明るい人といると楽しくみんな元気になる」と言えば何の違和感もない。「波動」とか「神性エネルギー」とか疑似科学的な説明を持ち出すから胡散臭くなる。ヒューリスティック(経験主義的)なことを科学的に証明されたものだと強弁しようとするから「トンデモ」なのである。

ところで、本会議は「健康で元気な生活を送れるまちづくり」というボンヤリとした目標を掲げているが、喫緊の課題である医療費低減に向けた具体的努力も是非とも必要である。同じことじゃないかと思うかもしれないが、少し違う。

以前ブログでも紹介したとおり、南さつま市は一人あたり医療費が極端に高いが、南さつま市民が他の地域に比べて極端に不健康であるというデータはない(あったらすいません)。ではどうして医療費がこんなに高いのか。以前も書いた通り、医療費に関しては社会慣習と人々の考え方に起因する部分が大きいと考えられるので、南さつま市民を「不健康」と決めつけず、南さつま市の一人あたり医療費がなぜ高いのかをキッチリと分析・公表し、人々の考え方と医療との関わり方を変革していくことも必要だと思う。健康元気なまちづくりも結構なことだが、是非並行して取組を進めていただきたい。

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