ページ

2016年5月31日火曜日

マルヤガーデンズで講演をすることになったのですが…。

ここだけの話、今年の11月19日にマルヤガーデンズで講演することになった。演題は未定。今、何をしゃべろうか思案している。

私は東京工業大学の数学科、というバリバリの理系の学校を出ていて、その同窓会(蔵前工業会と言います)の鹿児島県支部では年1回講演イベントを実施している。これは「Tech Garden Salon」といって「アートやカルチャーを楽しむように、テクノロジーの世界を楽しみましょう」というコンセプトの、いわば「テクノロジーをテーマにした社交の場」なんである。そして、今年は私にその講師の役割が回ってきたというわけだ(この同窓会、メンバーがとても少ないのですぐに出番が回ってくる)。

このイベント、初回の一昨年は鹿児島大学の山口教授が「コンクリート」の話を、昨年は鹿児島大学名誉教授の井上先生が「まちづくりと景観」の話をした。教授、名誉教授ときて、学者でもなんでもない、百姓の私の出番なのである。うーん、困った。

同窓会のメンバーからは、「普段何をしているかを話すだけでも面白いと思いますよ」などと茶化され(?)てはいるが、そうなるとほとんどテクノロジーの話が出てこないのでイベントのコンセプトとずれることになる。私の農業は、ブログだけを読むと理論的にやっているように見えるかもしれないが、実際は「理論」は1%だけで残りの99%は「根性」だ。

でも自分の普段やっていることとほとんど関係のないテクノロジーの話なんかすることもできないし、結局話せることといえば、「田舎暮らし」のこと以外にはないような気がする。ただ、「田舎暮らし」について語るといっても、「田舎暮らしは楽しい」と言うつもりもないし(都会暮らしだって楽しいと思う)、特にこれといって主張したいこともない。というより、こちらに移住してきてから4年半も経つが、まだ田舎暮らしに対する確固たる視座というか、立場が定まっていないところがあって、語るに語れない部分がある。

そういう風にウジウジ考えていたのだが、一応仮のテーマを決めましょうということになったので、もう内容は考えずに「田舎」と「工学」を合わせて「田舎工学」について話します、と見得を切った次第である。少しでも「テクノロジー」の要素がないといけないと思うと、やっぱりエンジニアリング=工学の視点が必要なのだ。当然、こんな学問は私の知る限りないので、この架空の学問について話してみようと思う。

さて、「都市工学」というと、これは文字通り都市を作っていく工学で、各種のインフラ設計や都市内のゾーニングといったことを研究対象にする。一方マイナーだが「農村工学」という学問分野もあって、こっちは土地改良(農地の造成)とか水利の問題(農業用ダムの設計や運用)というようなことを扱う。要するに、どちらも「生産性の高い地域を作っていくためのインフラ設計」をテーマにしているわけだ。

そういう考え方でいうと、「田舎工学」の内容はどうなるだろう。「農村工学」と近い部分もあるが、ちょっと根本的に違う気もする。そもそも「田舎」というのが情緒的な概念で、都市とか農村みたいな言葉とは違う。鹿児島市内(南薩の人からすれば都会)は首都圏からみたら「田舎」かもしれないし、そもそも出身地という意味で「田舎」ということもあり、「田舎」を人口密度なんかで定義づけることはできない。

つまり「田舎」は常に「誰かにとっての田舎」なのであり、それを語る「人」を抜きにしては成立しない概念である。ということは、「田舎工学」が田舎を作っていく工学だとしても、まず考えなければならないのはインフラとかより「人」である。そして「田舎」という言葉自体が何か「生産性」と別のベクトルを向いているような気がして、都市工学や農村工学みたいに「発展のためのインフラづくり」そのものを語るのは違うように思う。

講演では、今のところ、私自身がどういう考えで南薩の田舎に移住してきたかということを皮切りにして、 「これからの時代、田舎の方がかえって面白い可能性があるんじゃないか」というような雰囲気を伝え、楽しい田舎暮らしを作っていくとはどういうことなのか、というやや分析的な話に持っていきたいと思っている(現時点で、そういう分析があるわけではありません)。

と、書いてはみたものの、正直いうとどういう話をしたらいいのかやっぱりわからない。私には田舎暮らしに関してこれといって信念とか主張がないのでどうも話の「軸」が定まらない感じである。自分が何を言いたいか、ということより、聴衆が何を聞きたいのか、ということから出発して講演の内容を考えた方が早いかもしれない。

というわけで、ブログの読者のみなさんにお願いである! こんな話が聞きたい、ということがあれば(田舎暮らしに直接関係なくても可)、ぜひご意見をコメント欄にでもお聞かせください。講演内容検討の参考とさせていただきます!

2 件のコメント:

  1. 田舎工学とはかなりかけ離れますが、

    地域のつながり(自治会などの是非)など興味があります。
    地域の自治会でネット検索すると
    いろいろな事案や困りごとが出てきます。

    決して強制加入ではない任意の組織ですが、
    地元民はそんなことを知らずわからず、
    絶対入るべきだと主張しますよね。
    移住者からみると、押しつけ的に感じます。

    都会から田舎へ移住する人が増えていますが、
    問題になるのが地域住民とのかかわり方。
    都市的な他人に気がつかないふり?をするあの楽な空間から
    田舎の密なコミニティーについていけないとか、
    自然が多い空間に移住しただけで、
    地域に越してきたわけではない感覚も。

    今は、地域にかかわらなくても買い物も、仕事も成り立ちます。
    この田舎人々とのギャップなどなど
    田舎への移住に付き物のあれこれはいかがでしょう?

    講演会楽しみです!!

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。

      自治会ネタですね。私は割と自治会は必要だと思っていて、都会でもマンションの管理組合が必要不可欠なものであるのと同じことだと思います。しかし、マンションの管理組合の運営にも様々な問題がある(ところが多い)のと同様に、田舎の自治会もかなり問題があるのは確かです。

      また、自治会にかかわらず、地域コミュニティの濃い関係性についても、ご指摘のようにいろいろ問題がありますね。地域の人との関わりや距離感は都会と田舎で全く違うものですから、良し悪し以前の部分がありますよね。

      実際、講演に盛り込むかはわかりませんが、参考にさせていただきます!

      削除