ボランティア活動で、小学校で出前授業をしてきた。
私は東京工業大学という「有名な無名大学」の数学科を卒業しているのであるが、この東工大の同窓会を蔵前工業会といって(東工大は、関東大震災の前には国技館の対岸あたり=蔵前にあった)、この蔵前工業会の行う社会貢献事業が「蔵前理科教室ふしぎ不思議」(通称「くらりか」)というケッタイな名前の出前教室である。
要は、大学の同窓会で理科教室の出前授業をやっていて、それに参画しているわけである。ちなみに蔵前工業会鹿児島県支部では、諸事情を踏まえて本部がやっている「くらりか」とは少し毛色の違う出前授業を行っている。まず、小規模特認校を対象として全学年一緒に授業を行うという点、そして、本家は「科学の原理」をテーマにした実験を行っているが、テーマはそれに限らないという点である。
昨年は単なる手伝いだったのだが、今年は何の因果か私自身が授業をすることになり、本日、鹿児島市立一倉小学校(喜入)で「ペンローズ・タイルできれいな模様をつくろう」という授業を行った。
ペンローズ・タイルについては興味があればWikipediaなどで調べてもらえばよいが、とても簡単に言うと、冒頭に掲げた画像のように、どこまでいっても繰り返しがない、でも規則的に並んだ美しい幾何学模様である。
小学生に(も大人にも)なじみがない材料で、しかも小学校1年生にも分かるように説明しなくてはならないということで、「これってきれいでしょ!? 面白いでしょ!?」以上のことを伝えられたか心許ない(というか多分伝えられていないと思う)。
だが、小学生のみんなが熱心に聞いてくれ、やや時間配分で失敗した点もあったが大過なく終われたことに今はホッとしている。年明けには、伊佐市立南永小学校というところでも授業をするので、今日よりも完成度が高い授業ができるようにしていきたい。
ところで、通常、大学の同窓会のボランティア活動などというものは、金も時間も有り余った退職組が活躍するもので、私のようなガキが出る幕はないのが普通である。しかしながら当同窓会はメンバーが少なく、実働部隊となれる人がほとんどいないこともあり、自分の生活すら成り立っていない私が、なぜかボランティア活動をしているというわけだ。そんな暇があるなら生業に励むべきという気もするが、こういう活動が、生業の面でも何か次の展開に結びついたらいいなと思っている(あんまり期待してないが)。
ページ
▼
2013年11月26日火曜日
2013年11月15日金曜日
「南さつま市 市議会だより」で市議の働きぶりを垣間見る
前回に引き続き「南さつま市長・市議選挙」の話である。
こちらに越してきてもうすぐ2年であるが、市長選はともかくとして、市議選については個人的に話をしたことがある人もおらず、評判らしきものも聞かないので、誰に投票すべきか悩んでしまう。前回偉そうに争点らしきものを提示した手前、適当に投票する(?)わけにもいかない。
しかし考えてみると、新人はともかく現職については4年間の働きぶりを見てみればある程度のことは分かるはずである。例えば、会議録を全て読めばどういう人なのかよく分かるとは思う。だが、当然ながらそういう時間的余裕も気力もないので、少し手軽ではあるが、「南さつま市 市議会だより」(年4回発行)をよすがにして現職市議の仕事の一端を垣間見ることにした。
まずは、一般質問の質問回数を見てみる。一般質問とは、年に4回行われる定例会において、市政に対して自由に質疑を行うものである。質問回数という非常に大雑把な指標ではあるが、年に4回しかない機会であるので、積極性を表しているとはいえそうだ。次表はこれをまとめて質問回数の多い順に並べたものである。
※今回の市議選に出ていない人も含めて現職議員全てを掲載している。
※年月は、「議会だより」の掲載号に対応。
※大原氏は議長であるので、質問回数が0回なのは自然。
これを見ると、ほぼ毎回質問をする議員もいれば、ほとんど質問していない議員もいることが分かる(わかりやすいように色分けした)。しかし質問数が多ければ議員として有能であるというわけでもない。委員会(総務委員会とか文教厚生委員会とか4つある)の審議に力を入れている人もいるだろうし、そもそも重要なのは質問の内容である。
ではその内容であるが、4年分の質問内容を精査するとなると一仕事である。そこで、「市議会だより」には一般質問の項目にそれぞれタイトルがつけられているので(議員自身がつけているようだ)、このタイトルだけを見てみることにした。タイトルだけだと何が何だかわからない質問もあるが、それでも関心分野を大まかに掴むことはできる。
市議会議員の仕事は、基本的には行政側が提案する議題に対して賛成・反対の意見を表明するということだが、一般質問は自分の関心事について行政を問いただすことができるわけで、議員の関心分野がダイレクトに現れる。質問のタイトルを見ることにより、選挙公報等を見るよりも、議員候補者がどういう点に力を入れたいのか明白になるだろう。
というわけで、かなり冗長だが参考になる情報と思うので、4年分の一般質問のタイトルを全て書き出してみた。順番は先ほどのランキングと対応している。なお議員名(※敬称略)の後ろにあるコメントは、中心的と思われる関心分野を私なりに書き出したものである。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
諏訪 昌一:インフラ(ごみ、上下水道、防災等)、医療
鳥居 亮幸:医療、国保税、社会的弱者
清水 春男:医療、福祉、暮らし
貴島 修:農業、大浦町整備、観光
古木 健一:過疎対策、教育、行革
室屋 正和:いなほ館、行政チェック
上村 研一:時事ネタ、教育
石原 哲郎:畜産、施設整備
山下 美岳:砂の祭典、時事ネタ
田元 和美:木花館、行政チェック
下野 認:砂の祭典、金峰町
今村 建一郎:農業、財政
相星 輝彦:砂の祭典、防災
上園 邦丸:公共事業
南 敏子:教育、観光振興
下釡 清和:生活環境改善
有村 義次:住民生活
林 耕二:笠沙トンネル、笠沙町
若松 正伸:安全対策
柳元 拓夫:…
石井 博美:…
(質問なし)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こうして見てみると、政治的な方向性はともかくとして、誰が何に積極的なのかはわかるし、タイトルの付け方を見ると、人柄までもおぼろに見えてくるような気がする。既にほとんどの人は誰に投票するか決めているとは思うが、ご参考になれば幸いである。
ところで、この「市議会だより」、作りはぶっきらぼうというか一見無味乾燥だが、じっくり見てみるとよくまとまっており、冗長すぎず淡泊すぎずちょうどいい資料である。最新号の編集後記に「今任期最後の議会だより編集が終わる 毎回皆さんから読まれる紙面づくりには程遠いものになってしまった」とあったが、そうでもないと思う。今後の編集にも期待しています。
こちらに越してきてもうすぐ2年であるが、市長選はともかくとして、市議選については個人的に話をしたことがある人もおらず、評判らしきものも聞かないので、誰に投票すべきか悩んでしまう。前回偉そうに争点らしきものを提示した手前、適当に投票する(?)わけにもいかない。
しかし考えてみると、新人はともかく現職については4年間の働きぶりを見てみればある程度のことは分かるはずである。例えば、会議録を全て読めばどういう人なのかよく分かるとは思う。だが、当然ながらそういう時間的余裕も気力もないので、少し手軽ではあるが、「南さつま市 市議会だより」(年4回発行)をよすがにして現職市議の仕事の一端を垣間見ることにした。
まずは、一般質問の質問回数を見てみる。一般質問とは、年に4回行われる定例会において、市政に対して自由に質疑を行うものである。質問回数という非常に大雑把な指標ではあるが、年に4回しかない機会であるので、積極性を表しているとはいえそうだ。次表はこれをまとめて質問回数の多い順に並べたものである。
名前 | 質問 回数 |
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | ||||||||||||
2月 | 4月 | 8月 | 11月 | 2月 | 5月 | 8月 | 11月 | 2月 | 5月 | 8月 | 11月 | 2月 | 5月 | 8月 | 11月 | ||
諏訪 昌一 | 16 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
鳥居 亮幸 | 16 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
清水 春男 | 16 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
貴島 修 | 16 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
古木 健一 | 15 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
室屋 正和 | 12 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
上村 研一 | 10 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
石原 哲郎 | 8 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||
山下 美岳 | 7 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||
田元 和美 | 7 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||
下野 認 | 7 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||
今村 建一郎 | 7 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||
相星 輝彦 | 6 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||
上園 邦丸 | 6 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||
南 敏子 | 5 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||||
下釡 清和 | 5 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||||
有村 義次 | 4 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||
林 耕二 | 4 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||
若松 正伸 | 3 | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||
柳元 拓夫 | 1 | ○ | |||||||||||||||
石井 博美 | 0 | ||||||||||||||||
大原 俊博 | 0 |
※年月は、「議会だより」の掲載号に対応。
※大原氏は議長であるので、質問回数が0回なのは自然。
これを見ると、ほぼ毎回質問をする議員もいれば、ほとんど質問していない議員もいることが分かる(わかりやすいように色分けした)。しかし質問数が多ければ議員として有能であるというわけでもない。委員会(総務委員会とか文教厚生委員会とか4つある)の審議に力を入れている人もいるだろうし、そもそも重要なのは質問の内容である。
ではその内容であるが、4年分の質問内容を精査するとなると一仕事である。そこで、「市議会だより」には一般質問の項目にそれぞれタイトルがつけられているので(議員自身がつけているようだ)、このタイトルだけを見てみることにした。タイトルだけだと何が何だかわからない質問もあるが、それでも関心分野を大まかに掴むことはできる。
市議会議員の仕事は、基本的には行政側が提案する議題に対して賛成・反対の意見を表明するということだが、一般質問は自分の関心事について行政を問いただすことができるわけで、議員の関心分野がダイレクトに現れる。質問のタイトルを見ることにより、選挙公報等を見るよりも、議員候補者がどういう点に力を入れたいのか明白になるだろう。
というわけで、かなり冗長だが参考になる情報と思うので、4年分の一般質問のタイトルを全て書き出してみた。順番は先ほどのランキングと対応している。なお議員名(※敬称略)の後ろにあるコメントは、中心的と思われる関心分野を私なりに書き出したものである。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
諏訪 昌一:インフラ(ごみ、上下水道、防災等)、医療
- 市長所信表明に関して 他
- 市の一体化、ごみ処理に関して 他
- 汚水処理問題について 他
- 合併後の一市としてのまとまりをどう醸成していくか
- 汚水処理・雨水対策問題について
- 本町の用水路の対策について 他
- 災害対策について 他
- 福島第一原発事故に関連して
- 市防災計画に関連して 他
- 税と社会保障の一体改革に関してどう考えるか
- 中心市街地の汚水処理のあり方について
- ごみ処理についてのその後の検討状況について 他
- 国保の医療費の傾向と対応について 他
- 生活保護の切下げについて 他
- 防災対策関係 他
- 保健・医療と健康について 他
鳥居 亮幸:医療、国保税、社会的弱者
- 高齢者を差別する医療制度は廃止させよう
- 介護保険の応益負担の軽減は 他
- 障がい者の「応益負担」廃止に向けた対応は 他
- くらしに応じた国保税軽減を行う考えは
- 高齢者が安心して医療をうけられる対策は 他
- 高齢者が住みなれた地域で暮らせる対策は
- お金がなく医療受診できない事態なくす対策
- 介護サービス取り上げ等不安をなくす対策は
- 「非関税障壁」撤廃は産業暮らしを変える
- 「一体改革」阻止・国保負担の軽減対策等
- 後期高齢者医療制度廃止の公約を守らせよう
- 国保税の大幅引上げに対応した軽減対策は
- 子ども未来のため「原発ゼロ」への要請を
- 後期高齢者医療制度の廃止を要請する考えは
- くらしを破壊する消費税増税阻止の要請を
- 長生き社会の基盤を崩さない対策
清水 春男:医療、福祉、暮らし
- 福祉・暮らしを守り安全なまちづくりを
- 福祉、暮らしを守る安全なまちづくりを 他
- 市民が安心して暮らせる為の防災対策等
- 子育てが、安心して出来る南さつま市を
- 吹上浜砂の祭典の会期について 等
- 市民が安心・安全に暮らせる南さつま市を 等
- 地震から市民が安心・安全に暮らせるように 他
- 地域に活力を・住民が楽しく暮らせる街づくりを
- 『TPP、ゴミ処理、病院・特老の公立存続』等
- 住民が安心して暮らせる南さつま市をつくる
- 住民が安心して暮らしていける南さつま市を
- 南さつま市の統一は旧町の活性化で決まる 等
- 地域の変化に対応した住宅・公共交通政策等
- 合併して8年目、均衡ある発展めざす市制を 等
- 燃油高騰で農林水産業を支援する対策を
- 国保税引下げ、はり・きゅう助成見直しを
貴島 修:農業、大浦町整備、観光
- 市長のマニフェスト・パワーアップ宣言について
- 新幹線効果の活用・民営化・救急車・生ゴミ対策
- スポーツ観光・農業の継続的発展・学校再編
- 鳥獣害対策・保健師の配置・公共下水道等
- 避難所の強化・農業委員会選挙について
- ヤンバルトサカヤスデ駆除、地域審議会対応 等
- 砂の祭典・学校体育施設照明料金・3セク売却 等
- 国道226号小湊バイパス・津貫みかん100周年等
- 大浦中校庭整備・校庭松鳴・工事の評価点制度
- 大浦町オフトーク・砂の祭典・スポーツ振興等
- 消防・旧はまゆう建設予定地・亀ヶ丘整備・砂の祭典
- 青年の登用・広域観光・第3セクター等の民営化
- 公用車・遊休公有地の管理、大浦川、観光協会等
- 市道三本松・小浜線、大浦町オフトーク等
- 児童館・ヤスデ・下水道・農産物輸出入等
- 鳥獣害対策・国道改築・スポーツ観光振興等
古木 健一:過疎対策、教育、行革
- 国道270号・226号の整備について 他
- いなほ館の健全化策について
- 小中一貫校取組の方向について
- 株式会社いなほ館の経営健全化について
- 花渡川上流の整備について
- 行政事務の確認と監査のあり方について
- 地上デジタル放送の普及状況と対策
- 「仰げば尊し」の斉唱について
- 「行財政改革と集中改革プラン」について
- 「中学校武道必修に関連して」
- 「加世田地区9小学校の再編について」 他
- 「投票所を現状の体制で行うことについて」
- 空き公共施設等の状況と活用計画について
- 万世特攻平和祈念館について
- 加世田南部地域の開発をどのように考えるか
室屋 正和:いなほ館、行政チェック
- いなほ館の運営、ボートに関する特定事業等
- 行政改革・実施計画(集中改革プラン)、いなほ館の油再流出の対応等について
- 元職員の不適切な会計処理、庁舎内の喫煙・自治会の再編について
- 給食センター・子宮頸がんの公費助成・建設事業費の財源等について
- 行政改革、実施計画(集中プラン)、いなほ館の経営、検討委員会等について
- 海抜表示板等、第三セクターの決算、部長制の見直しについて
- 観光振興・いなほ館の公募・予算議決等について
- 一般会計予算・いなほ館・防災計画・人口減等について
- 行政監査・リフォーム補助金・ボート基金・いなほ館・メガソーラー等について
- 崖浸食・立会人の選任・第三セクター・教職員の不祥事・ボート基金等について
- 条例・要綱、職員適正化計画、レクの森公園整備計画について
- 防災無線・各実証事業・農地水対策について
上村 研一:時事ネタ、教育
- 財政健全化・保育園、学校再編について 他
- 合併後5年の節目にあたって、マニフェスト、市営住宅の水洗化について 他
- 震災に伴う予算への影響について 他
- 住みよい・暮らしよい地域づくり、学校再編
- 学校再編時の制服購入補助・柔道必修化について
- 漁業振興・イベントと地域活性化・本庁舎整備について
- 「第三セクター」と「公の施設」、小児入院施設について
- 投票区再編、消防広域化、閉校記念事業補助金について 他
- アベノミクスについて 他
- 農家の日照り対策・大当海岸公園の管理
石原 哲郎:畜産、施設整備
- 口蹄疫への対応について 他
- 第一次産業の育成について 他
- 体育施設の整備について 他
- 口蹄疫及び鳥インフルエンザについて 他
- 東日本大震災を受けて本市の対応は
- JAの合併について 等
- 防災・農業振興・体育施設整備・駐車場整備
- 自治会パートナー制度について 他
山下 美岳:砂の祭典、時事ネタ
- マニフェストの具現化について
- 口蹄疫対策は万全か 他
- 吹上浜砂の祭典について 他
- 吹上浜砂の祭典の成果と総括 他
- 定住促進について
- アベノミクスと緊急経済対策について 他
- 観光振興について 他
田元 和美:木花館、行政チェック
- 窓口対応・商業活性化・木花館の開店等
- 防火水槽用地の取得・「木花館」開店 等
- 市政1年目の評価・行政嘱託員の適正化 等
- 吹上浜砂の祭典の成果について 等
- 産業振興・公共下水道・職員の意識改革等産業振興について
- 職員の人材育成・産業振興・自主防災組織 等
- 防災対策・奉仕作業・通学路・人材育成 等
下野 認:砂の祭典、金峰町
- 金峰レクの森構想等について
- 市道月型篠田線拡幅工事等について
- 旧金峰レクの森整備事業等の今後について
- 市有地等の財産管理について 等
- 砂の祭典会場の工事計画・集落再編について等
- 砂の祭典会場等の整備について
- 大坂小・白川小・大田小の今後の活用策について
今村 建一郎:農業、財政
- 市長の所信表明等について
- 財務(債務)状況について 他
- 人口の動向・集落担当制について 他
- 農業野現状と課題・観光事業・行政内部体制について
- 当市の農業の現状と今後について
- 農業関係・震災について 他
- 財産・財務状況及び不法投棄の現状について
相星 輝彦:砂の祭典、防災
- 新川集落災害防止策・砂の祭典について
- ガンバリーナかせだについて
- 食育の推進・吹上浜砂の祭典 他
- 自治会に関する制度・職員数の適正化等
- 市役所本庁、支所等の防災対策他
- 防災教育、自主防災組織について 他
上園 邦丸:公共事業
- 赤字の続く三セクをこのまま運営する考えか
- 公共事業は地場産業、広域農道整備事業 他
- 震災の影響と命の大切さについて
- 人口を増やす対策・道路等の維持管理について
- 住民負担の軽減策・ふるさと神話について
- 加世田地域の学校再編計画 他
南 敏子:教育、観光振興
- 親子20分読書・トイレ改修・油流出田・木花館等
- いなほ館油流出の水田活用策について、木花館前国道横断歩道設置 他
- 観光の表示、市道の整備について
- 通学路の安全確保・中学校武道必修化・空家条例の制定について
- 環境衛生について
下釡 清和:生活環境改善
- 市議等選挙・新型インフルエンザ・通学路用防犯灯、市道等の点検補修整備など
- 高齢者・生活環境対策と風力発電の課題、松くい・ナラ枯れ対策、小湊生活環境整備
- ハウス被害・クジラ処理・人口減対策・公共下水道(汚水処理)・道路の速度規制 等
- 死亡欄・共同募金・らっきょう振興・松くい虫対策・浄化槽保守点検業等を増やす考え等
- 災害と道路・職員の資格と人事等・浄化槽保守点・検業と清掃業者との関連・松くい虫対策等
有村 義次:住民生活
- ゴミの分別・処理等、空家対策、環境基本計画、景観計画、自治会活性化・再編
- 財政健全化・空き家対策など
- 防災対策(防災対策概要版・地域防災訓練・自主防災会について)
- 環境問題・平和都市宣言・看板について 等
林 耕二:笠沙トンネル、笠沙町
- 株式会社杜氏の里笠沙の経営について 他
- どうなっている!! 笠沙道路・大笠小中学校再編に係る問題点と提言
- 国道226号笠沙トンネルの進捗状況について、学校再編による教職員空き家住宅について 他
- 笠沙トンネル平成28年開通予定について 他
若松 正伸:安全対策
- 地域産業の振興、住民サービス
- 地域の安全対策、自主防災組織は
- 交通安全対策、不快害虫「ヤンバルトサカヤスデ」の駆除対策、今後の常備消防体制について
柳元 拓夫:…
- 最低制限価格について 他
石井 博美:…
(質問なし)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こうして見てみると、政治的な方向性はともかくとして、誰が何に積極的なのかはわかるし、タイトルの付け方を見ると、人柄までもおぼろに見えてくるような気がする。既にほとんどの人は誰に投票するか決めているとは思うが、ご参考になれば幸いである。
ところで、この「市議会だより」、作りはぶっきらぼうというか一見無味乾燥だが、じっくり見てみるとよくまとまっており、冗長すぎず淡泊すぎずちょうどいい資料である。最新号の編集後記に「今任期最後の議会だより編集が終わる 毎回皆さんから読まれる紙面づくりには程遠いものになってしまった」とあったが、そうでもないと思う。今後の編集にも期待しています。
2013年11月14日木曜日
南さつま市長・市議選挙、ですが…
2013年11月11日〜17日(投票日)で、南さつま市長選挙、及び市議会議員選挙が行われている。なので、選挙カーがそこら中を走り回っており、大変にやかましい。ドイツでは選挙カーや街頭演説が禁止され、「静かな選挙」が行われていると聞くが、日本もそうあって欲しい。
そもそも、選挙カーも政治的理念を述べるとか、何か意味のある主張をするのならばいいのだが、単に候補者の名前を連呼し、「ご支援をお願いいたします」とか言うだけだから、(私にとっては)ほとんど意味がない。
というか、選挙カーだけでなく、選挙においてほとんど政治的主張がなされないというのもまた違和感がある。正確を期すれば、選挙公報には少しはそういうことも書いてあるし、個人演説会などで確認はしていないので、全くないというわけではないのだろうが、少なくとも選挙の中心は政策論争ではない。
では選挙(投票行動)の中心に何があるか、というと、「誰から投票をお願いされたか」ということだと思う。日頃お世話になっている人に協力をお願いされて、その候補者が特に悪そうな感じもなく、他の候補者がよく知らない人ばかりとなれば、その人に投票するのは自然だろう。もちろん、実際に誰に投票したかはお願いした方にはわからないから、しがらみ云々というより、誰からお願いされるかということが、候補者のスクリーニング(篩い分け)として機能していると考えた方がよい。それはそれで、悪いことではないのかもしれない。
しかし、市政というものを市民全員が考える数年に一度のチャンスでもあるし、静かに市政の在り方を見つめ直し、議論することがあってもいいのではないだろうか。
というわけで、自分なりに選挙の争点らしきものを考えてみた。
第1に、人口減及び高齢化への対応である。全国で問題になっていることであり、移住定住の促進といったパイの奪い合い的な対処ではなく、少ない生産人口で街の活力をどうやって維持・増加させるかという観点が必要と思う。産業政策、文化政策、観光政策などを複合的に組み合わせ、停滞した街の雰囲気を打破することが必要だ。もちろん、高齢者を福祉の受益者とだけ見るのではなく、高齢者の力をどう活かすかということも重要である。
人口減というのは、ある意味で子育ての終了にも似ている面がある。子どもが家を巣立っていけば、子ども部屋はいらなくなるし、広いリビングもいらなくなる。家の中は年老いた夫婦だけになり、家庭の活力はある面では失われる。しかし、いらなくなった子ども部屋は何か別のことにも使えるし、定年を迎えるとお金は減るが自由に使える時間は増える。不要な部屋や空いた時間をどう使うかということは、老夫婦の見識次第で素晴らしい可能性も持っている。人口減と高齢化も非常に大きな問題ではあるが、それと同じように、これまでと別の資産が増えるという側面もある。
例えば、人口減により、近年当市では小学校及び中学校の閉校が続いているが、閉校した学校の校舎は実は大きな資産である。大きすぎる公民館として使うのが無難なのだろうが、こういった遊んでいる資産をどう使うか、それが行政の腕の見せ所ではないだろうか。ぜひ前向きな活用を期待したいものである。
第2に、前項と関連するが財政の健全化。南さつま市は全国的に見ても異常に国民健康保険からの支出が大きい(一人当たり医療費が高い)という問題があり、国民健康保険及び介護保険は市の支出の約1/3を占めているので、この問題は大きく取り上げ、改善していく必要がある。今回の市議選でも、福祉の充実を訴えている候補者は多いが、「健康で長生きできる環境」を整えることを訴えている候補者がいないようなのは残念だ。医療費の抑制については、数値目標を定めて意欲的な取り組みをしていくべきである。
市の方もこれに関しては専門家に分析をお願いする予定にしているらしいが、私としてはかなり深刻な問題と思うので、政治的なレベルで取り上げていただきたいと思う。全国的な比較をしてみれば分かる通り、医療水準を低下させずに、医療費をどうやって下げるかということに関しては、南さつま市は日本で最も先端的な取り組みをすべき自治体である。
第3に、合併効果の顕在化。当市は2005年に5つの自治体が合併して誕生したが、既に合併より8年経っており、自治体の寄せ集めではない、南さつま市としての形を見せていく段階に来ている。市議選では、「支所はなくさせない」とか、「各地区の均衡ある発展を」とかいう主張を見るけれども、(私も支所がなくなったらイヤだが)実際には資源配分には冷徹な判断が必要である。もちろん、合併により住民サービスを向上させるべき部分もあってしかるべきだし、合併すなわち過疎地の切り捨てであってはならない。
これに関して隣の南九州市では面白い取り組みがある。南九州市でのお茶の銘柄茶を「知覧茶」に統一しようという動きである。南九州市は市町村として全国一の荒茶の生産量を誇るが、統一した茶のブランドを持っていなかった。これを、市町村合併及び(予定されている)JAの合併に合わせて知名度の高い「知覧茶」にしようという話である。面白いのは、生産量で言えば知覧より頴娃(えい)の方が大きいということで、量が多い方に合わせるという普通の考えでいけば「えい茶」になってもおかしくなかったし、間を取って「南九州茶」という新たなブランドを立ち上げる案もあっただろう。しかし、「知覧茶」の知名度による今後の発展を考えて、あえて生産量の小さな「知覧茶」に統一することにしたのである。
知覧の人には、これまでコツコツと積み上げてきたブランドを他の地区の人に乗っ取られたように思う人もいるかもしれないし、頴娃には「えい茶」がなくなって寂しく思う人もいるかもしれない。というか確実にいるだろう。でも、「知覧茶」に統一する方が未来があると賭けるわけだ。私は、こういうのが合併効果なのではないかと思う。小さな地域の何かが断絶しても、より大きな何かが発展していくような政策が南さつま市でも求められているのではないだろうか。少なくとも、合併を前向きに捉え、それを活用していこうとする考えはあるべきだ。
例えば、些末なことではあるが「加世田郷土資料館」、「笠沙恵比寿」、「輝津館(坊津)」、「歴史交流館金峰」と各地区にある博物館的施設をどう運営していくか。現在はこれらの学芸員間の組織的交流すらもないようだが(伝聞です)、南さつま市の豊かな歴史という資産をどう活用していくのか、各地区でのバラバラの展示から一つ上の段階に進むべき時期だと思う。
以上の3点は、真剣に検討して書いたものではないので、これ以上に重要なことがあるかもしれない。いや、市長選、市議選に出るような人には、もっと深く、広く検討し、我々が気づかない部分まで熟考していて欲しい。だからこそ、ワンフレーズ選挙ですらない、選挙協力だけが踊る選挙が残念だ。各候補者とも、実際には熱い思いを抱いた人なのだろうから、ぜひ中身の濃い選挙活動が展開されることを希望する。
そもそも、選挙カーも政治的理念を述べるとか、何か意味のある主張をするのならばいいのだが、単に候補者の名前を連呼し、「ご支援をお願いいたします」とか言うだけだから、(私にとっては)ほとんど意味がない。
というか、選挙カーだけでなく、選挙においてほとんど政治的主張がなされないというのもまた違和感がある。正確を期すれば、選挙公報には少しはそういうことも書いてあるし、個人演説会などで確認はしていないので、全くないというわけではないのだろうが、少なくとも選挙の中心は政策論争ではない。
では選挙(投票行動)の中心に何があるか、というと、「誰から投票をお願いされたか」ということだと思う。日頃お世話になっている人に協力をお願いされて、その候補者が特に悪そうな感じもなく、他の候補者がよく知らない人ばかりとなれば、その人に投票するのは自然だろう。もちろん、実際に誰に投票したかはお願いした方にはわからないから、しがらみ云々というより、誰からお願いされるかということが、候補者のスクリーニング(篩い分け)として機能していると考えた方がよい。それはそれで、悪いことではないのかもしれない。
しかし、市政というものを市民全員が考える数年に一度のチャンスでもあるし、静かに市政の在り方を見つめ直し、議論することがあってもいいのではないだろうか。
というわけで、自分なりに選挙の争点らしきものを考えてみた。
第1に、人口減及び高齢化への対応である。全国で問題になっていることであり、移住定住の促進といったパイの奪い合い的な対処ではなく、少ない生産人口で街の活力をどうやって維持・増加させるかという観点が必要と思う。産業政策、文化政策、観光政策などを複合的に組み合わせ、停滞した街の雰囲気を打破することが必要だ。もちろん、高齢者を福祉の受益者とだけ見るのではなく、高齢者の力をどう活かすかということも重要である。
人口減というのは、ある意味で子育ての終了にも似ている面がある。子どもが家を巣立っていけば、子ども部屋はいらなくなるし、広いリビングもいらなくなる。家の中は年老いた夫婦だけになり、家庭の活力はある面では失われる。しかし、いらなくなった子ども部屋は何か別のことにも使えるし、定年を迎えるとお金は減るが自由に使える時間は増える。不要な部屋や空いた時間をどう使うかということは、老夫婦の見識次第で素晴らしい可能性も持っている。人口減と高齢化も非常に大きな問題ではあるが、それと同じように、これまでと別の資産が増えるという側面もある。
例えば、人口減により、近年当市では小学校及び中学校の閉校が続いているが、閉校した学校の校舎は実は大きな資産である。大きすぎる公民館として使うのが無難なのだろうが、こういった遊んでいる資産をどう使うか、それが行政の腕の見せ所ではないだろうか。ぜひ前向きな活用を期待したいものである。
第2に、前項と関連するが財政の健全化。南さつま市は全国的に見ても異常に国民健康保険からの支出が大きい(一人当たり医療費が高い)という問題があり、国民健康保険及び介護保険は市の支出の約1/3を占めているので、この問題は大きく取り上げ、改善していく必要がある。今回の市議選でも、福祉の充実を訴えている候補者は多いが、「健康で長生きできる環境」を整えることを訴えている候補者がいないようなのは残念だ。医療費の抑制については、数値目標を定めて意欲的な取り組みをしていくべきである。
市の方もこれに関しては専門家に分析をお願いする予定にしているらしいが、私としてはかなり深刻な問題と思うので、政治的なレベルで取り上げていただきたいと思う。全国的な比較をしてみれば分かる通り、医療水準を低下させずに、医療費をどうやって下げるかということに関しては、南さつま市は日本で最も先端的な取り組みをすべき自治体である。
第3に、合併効果の顕在化。当市は2005年に5つの自治体が合併して誕生したが、既に合併より8年経っており、自治体の寄せ集めではない、南さつま市としての形を見せていく段階に来ている。市議選では、「支所はなくさせない」とか、「各地区の均衡ある発展を」とかいう主張を見るけれども、(私も支所がなくなったらイヤだが)実際には資源配分には冷徹な判断が必要である。もちろん、合併により住民サービスを向上させるべき部分もあってしかるべきだし、合併すなわち過疎地の切り捨てであってはならない。
これに関して隣の南九州市では面白い取り組みがある。南九州市でのお茶の銘柄茶を「知覧茶」に統一しようという動きである。南九州市は市町村として全国一の荒茶の生産量を誇るが、統一した茶のブランドを持っていなかった。これを、市町村合併及び(予定されている)JAの合併に合わせて知名度の高い「知覧茶」にしようという話である。面白いのは、生産量で言えば知覧より頴娃(えい)の方が大きいということで、量が多い方に合わせるという普通の考えでいけば「えい茶」になってもおかしくなかったし、間を取って「南九州茶」という新たなブランドを立ち上げる案もあっただろう。しかし、「知覧茶」の知名度による今後の発展を考えて、あえて生産量の小さな「知覧茶」に統一することにしたのである。
知覧の人には、これまでコツコツと積み上げてきたブランドを他の地区の人に乗っ取られたように思う人もいるかもしれないし、頴娃には「えい茶」がなくなって寂しく思う人もいるかもしれない。というか確実にいるだろう。でも、「知覧茶」に統一する方が未来があると賭けるわけだ。私は、こういうのが合併効果なのではないかと思う。小さな地域の何かが断絶しても、より大きな何かが発展していくような政策が南さつま市でも求められているのではないだろうか。少なくとも、合併を前向きに捉え、それを活用していこうとする考えはあるべきだ。
例えば、些末なことではあるが「加世田郷土資料館」、「笠沙恵比寿」、「輝津館(坊津)」、「歴史交流館金峰」と各地区にある博物館的施設をどう運営していくか。現在はこれらの学芸員間の組織的交流すらもないようだが(伝聞です)、南さつま市の豊かな歴史という資産をどう活用していくのか、各地区でのバラバラの展示から一つ上の段階に進むべき時期だと思う。
以上の3点は、真剣に検討して書いたものではないので、これ以上に重要なことがあるかもしれない。いや、市長選、市議選に出るような人には、もっと深く、広く検討し、我々が気づかない部分まで熟考していて欲しい。だからこそ、ワンフレーズ選挙ですらない、選挙協力だけが踊る選挙が残念だ。各候補者とも、実際には熱い思いを抱いた人なのだろうから、ぜひ中身の濃い選挙活動が展開されることを希望する。
2013年11月2日土曜日
高田磨崖仏の大黒天と天照大神の謎
南九州市の川辺に、高田磨崖仏という史跡がある。以前紹介した「高田石切場」の近くに屏風状になった岩壁があり、そこに数体の仏像が刻まれているのである。
これの多くは、1678年に西山寺是珊往持という人が刻んだもので、廃仏の際には藪に隠れてわからなくなっていたため現代まで残ったといういわくをもつ、小規模ながら雰囲気のある磨崖仏である。
先日、この高田磨崖仏を見に行って大変びっくりしてしまった。彫られているのは、観音、薬師、阿弥陀、毘沙門天…まではまあよいのだが、その他に大黒天もあるのである! 磨崖仏というのは、基本的には密教、修験道系の仏教が彫るものであるため、基本的にはそれらの宗教で中心的な役割を果たす仏や天(神さま)が表現される。具体的には、観音菩薩とか薬師如来とか、もちろん大日如来といったものが中心だ。
ところが、この高田磨崖仏には大黒天もいらっしゃるわけである。大黒天が彫られた磨崖仏というのも他にないわけではないが、実際に見たのはこれが初めてである。
大黒天、つまり大黒さまというのは、一般には仏教の神さまであるとは認識されていないが、天台宗(いうまでもなく密教です)においては尊ばれる存在である。というのも、比叡山は大黒天信仰の発祥の地であり、比叡山においては大黒天は僧侶の食事の守護神的なものであるからだ。これは、比叡山を開いた最澄自身が、そこで三面大黒天というのを感見した(※)からという。
と、教科書的な知識はあるのだが、実際に大黒天が仏教の信仰の中でどのように扱われ、跪拝されてきたのかというのは正直よく知らない。岩壁に尊像を刻むというのは大変な作業なわけで、そこに表現する内容は厳選されていたのだと思うが、その選択が、観音、薬師、阿弥陀、毘沙門天、そして大黒天である、というのが非常に意外であった。大黒さまへの信仰も、仏教の中でかなり重視されていたということなのだろうか。
また、この高田磨崖仏にはさらに変わった表現もある。それは1711年に頴娃脇七兵衛という人が追加して刻んだもので、なんと天照大神の像があるのである。こちらはやや技術が劣っていたためか損傷が激しいが、阿弥陀如来立像みたいな感じの神像である。
こちらは大黒天よりももっと謎が深く、江戸中期である1711年に天照大神の神像を刻むということの意味が私にはよく分からない。後期国学の流れで日本の神話などが改めて注目されるのは幕末のことであるし、そもそもこの頃は『古事記伝』の本居宣長すら生まれていない時代である。天照大神という存在が、アマテラス系の神話の残っていない鹿児島で、岩壁に刻むというような信仰を受けていたというのは、意外を通り越して奇妙な感じを受ける。
そういうわけだから、この天照大神をどういう目的で刻んだのかも謎であるし、どういう信仰に基づいていたのかも謎である。というより、磨崖仏ならぬ「磨崖神」というのは非常に数が少なく異例の存在であるから、謎だらけなのである。
江戸の後期には次第に仏教の力が衰え、(今でいう)神道の勢力が強力になっていき、明治維新に至って国家神道の成立を見るわけだが、その前段の江戸中期に、神道的なものが一体どう信仰されていたのかというのも意外によくわかっていない(私が不勉強なだけかもしれませんが)。江戸後期になって急に活気づくということもなかろうと思うので、中期にはその前段となる「何らかの動き」があったのだろうが、その一端がこの岩壁に刻まれた天照大神ではないかと思えるのである。
つまり、なぜ頴娃脇七兵衛はここにアマテラスの神像を刻んだのか、という問いは、突き詰めていくと江戸の国学の流れを全ておさらいしなければならないような内容を孕む、重要な問題に思えるのである。
この高田磨崖仏は、同じ川辺にある清水磨崖仏の存在に隠れてあまり着目されることがない。しかしその内容は極めて異色なものを持っているので、今後研究が進み、謎が解明されることを切に期待したい。
※ 「感見」とか「感得」というのは平明な現代語に置き換えづらいが、「幻を見た」ということに近い。
これの多くは、1678年に西山寺是珊往持という人が刻んだもので、廃仏の際には藪に隠れてわからなくなっていたため現代まで残ったといういわくをもつ、小規模ながら雰囲気のある磨崖仏である。
先日、この高田磨崖仏を見に行って大変びっくりしてしまった。彫られているのは、観音、薬師、阿弥陀、毘沙門天…まではまあよいのだが、その他に大黒天もあるのである! 磨崖仏というのは、基本的には密教、修験道系の仏教が彫るものであるため、基本的にはそれらの宗教で中心的な役割を果たす仏や天(神さま)が表現される。具体的には、観音菩薩とか薬師如来とか、もちろん大日如来といったものが中心だ。
ところが、この高田磨崖仏には大黒天もいらっしゃるわけである。大黒天が彫られた磨崖仏というのも他にないわけではないが、実際に見たのはこれが初めてである。
大黒天、つまり大黒さまというのは、一般には仏教の神さまであるとは認識されていないが、天台宗(いうまでもなく密教です)においては尊ばれる存在である。というのも、比叡山は大黒天信仰の発祥の地であり、比叡山においては大黒天は僧侶の食事の守護神的なものであるからだ。これは、比叡山を開いた最澄自身が、そこで三面大黒天というのを感見した(※)からという。
と、教科書的な知識はあるのだが、実際に大黒天が仏教の信仰の中でどのように扱われ、跪拝されてきたのかというのは正直よく知らない。岩壁に尊像を刻むというのは大変な作業なわけで、そこに表現する内容は厳選されていたのだと思うが、その選択が、観音、薬師、阿弥陀、毘沙門天、そして大黒天である、というのが非常に意外であった。大黒さまへの信仰も、仏教の中でかなり重視されていたということなのだろうか。
また、この高田磨崖仏にはさらに変わった表現もある。それは1711年に頴娃脇七兵衛という人が追加して刻んだもので、なんと天照大神の像があるのである。こちらはやや技術が劣っていたためか損傷が激しいが、阿弥陀如来立像みたいな感じの神像である。
こちらは大黒天よりももっと謎が深く、江戸中期である1711年に天照大神の神像を刻むということの意味が私にはよく分からない。後期国学の流れで日本の神話などが改めて注目されるのは幕末のことであるし、そもそもこの頃は『古事記伝』の本居宣長すら生まれていない時代である。天照大神という存在が、アマテラス系の神話の残っていない鹿児島で、岩壁に刻むというような信仰を受けていたというのは、意外を通り越して奇妙な感じを受ける。
そういうわけだから、この天照大神をどういう目的で刻んだのかも謎であるし、どういう信仰に基づいていたのかも謎である。というより、磨崖仏ならぬ「磨崖神」というのは非常に数が少なく異例の存在であるから、謎だらけなのである。
江戸の後期には次第に仏教の力が衰え、(今でいう)神道の勢力が強力になっていき、明治維新に至って国家神道の成立を見るわけだが、その前段の江戸中期に、神道的なものが一体どう信仰されていたのかというのも意外によくわかっていない(私が不勉強なだけかもしれませんが)。江戸後期になって急に活気づくということもなかろうと思うので、中期にはその前段となる「何らかの動き」があったのだろうが、その一端がこの岩壁に刻まれた天照大神ではないかと思えるのである。
つまり、なぜ頴娃脇七兵衛はここにアマテラスの神像を刻んだのか、という問いは、突き詰めていくと江戸の国学の流れを全ておさらいしなければならないような内容を孕む、重要な問題に思えるのである。
この高田磨崖仏は、同じ川辺にある清水磨崖仏の存在に隠れてあまり着目されることがない。しかしその内容は極めて異色なものを持っているので、今後研究が進み、謎が解明されることを切に期待したい。
※ 「感見」とか「感得」というのは平明な現代語に置き換えづらいが、「幻を見た」ということに近い。
2013年11月1日金曜日
『南薩の昭和』に写真を提供しました
今般『写真アルバム 南薩の昭和』という本が刊行された。昭和の頃の南薩の写真を、地域の人達や行政からかき集めた、そんな本である。パラパラとめくってみると、なかなか興味深い写真が並んでいる。
実は、これに私も十枚程度の写真を提供したので、今日謹呈で贈られてきたところである。
この写真提供に関しては、少し心残りがある。
というのも、我が家に残っていた古い写真からいくつかをピックアップして出版者の方に提供したのだが、編集の最終段階になって、大浦地域の写真提供が他の地域に比べて極端に少ないということを伺った。既に写真提供の締め切りは過ぎていたが、改めて我が家の写真庫を見直したところ、未整理の写真や大浦小学校・中学校の古い卒業アルバムが出てきて、例えば亀ヶ丘の頂上に巨大なパラボラアンテナがあった様子など、大浦の昭和を垣間見ることができる写真が結構たくさん見つかったのである。
だが、締め切りが過ぎていたため、当然だがそれらの写真を提供することはできなかった。提供して掲載された写真もそれなりの写真だったと思うが、それらと同じくらい貴重な写真をこういう機会にアーカイブに残せなかったことが残念である。
それにしても、こういう、地域の写真アルバムの制作はこんなものなのかも知れないが、制作の仕方には驚かされた。写真提供ができるという連絡をしたら出版社(の下請け?)が写真をスキャンしに来て、それだけで終わりだったからだ。写真の謂われとか、背景情報などを取材するのかと思っていたのだが、話をしてもメモすら取らなかったので不審に思っていたところ、キャプションの執筆は各地域で適当な人に下請けさせていたようだ。
キャプションの執筆を担った人も、写真提供者からの話がないと書きにくかっただろう。というより、提供者からの話を元に書くのが当然の制作の仕方だと思うが、出版社はどう考えていたのだろう。
一応付言しておくと、私が提供した分の写真に関しては、そのキャプションは私が執筆や確認に関与しているので、他の写真も結局はそういう対応を取ったのかもしれない。しかし、であれば、最初に写真のスキャンをする時についでに取材していればより効率的であり、やはり出版社のやり方は謎である。せめて雑談のメモぐらい取ればキャプション執筆者の労苦は半減したはずだ。
というように、編集に関してはどうも怪しいところがあるものの、南薩の昭和を覗く貴重な写真がたくさん並んでいるアルバムに、僅かではあれ我が家から写真を提供できたことは喜ばしい。自分としても記念になったし、枯れ木も山の賑わい程度ではあっても社会貢献になったのではないだろうか。
実は、これに私も十枚程度の写真を提供したので、今日謹呈で贈られてきたところである。
この写真提供に関しては、少し心残りがある。
というのも、我が家に残っていた古い写真からいくつかをピックアップして出版者の方に提供したのだが、編集の最終段階になって、大浦地域の写真提供が他の地域に比べて極端に少ないということを伺った。既に写真提供の締め切りは過ぎていたが、改めて我が家の写真庫を見直したところ、未整理の写真や大浦小学校・中学校の古い卒業アルバムが出てきて、例えば亀ヶ丘の頂上に巨大なパラボラアンテナがあった様子など、大浦の昭和を垣間見ることができる写真が結構たくさん見つかったのである。
だが、締め切りが過ぎていたため、当然だがそれらの写真を提供することはできなかった。提供して掲載された写真もそれなりの写真だったと思うが、それらと同じくらい貴重な写真をこういう機会にアーカイブに残せなかったことが残念である。
それにしても、こういう、地域の写真アルバムの制作はこんなものなのかも知れないが、制作の仕方には驚かされた。写真提供ができるという連絡をしたら出版社(の下請け?)が写真をスキャンしに来て、それだけで終わりだったからだ。写真の謂われとか、背景情報などを取材するのかと思っていたのだが、話をしてもメモすら取らなかったので不審に思っていたところ、キャプションの執筆は各地域で適当な人に下請けさせていたようだ。
キャプションの執筆を担った人も、写真提供者からの話がないと書きにくかっただろう。というより、提供者からの話を元に書くのが当然の制作の仕方だと思うが、出版社はどう考えていたのだろう。
一応付言しておくと、私が提供した分の写真に関しては、そのキャプションは私が執筆や確認に関与しているので、他の写真も結局はそういう対応を取ったのかもしれない。しかし、であれば、最初に写真のスキャンをする時についでに取材していればより効率的であり、やはり出版社のやり方は謎である。せめて雑談のメモぐらい取ればキャプション執筆者の労苦は半減したはずだ。
というように、編集に関してはどうも怪しいところがあるものの、南薩の昭和を覗く貴重な写真がたくさん並んでいるアルバムに、僅かではあれ我が家から写真を提供できたことは喜ばしい。自分としても記念になったし、枯れ木も山の賑わい程度ではあっても社会貢献になったのではないだろうか。